なぜ高専には女子が少ないのかを考えてみた。

高専とは?

こんにちは!北国で情報工学を専攻している高専生です。

まずは、高専についてざっくりと説明すると、中学校を卒業してからの五年間、おもに機械工学や電気工学などの工学系を勉強し、エンジニアを育成する学校です(工学系以外の学科もありますが、ここでは割愛します、すいません)。また、高専は企業からの評価が高く、「高専生は優秀」という印象をもつ人も増えてきました(マジか?)

しかし、企業からの評価が高い高専ですが、とにかく女子学生が少ないです。国立高専機構によると平成29年5月1日の時点では、本科の学生の男女比は男性が約8割、女性が約2割でした。僕に彼女がいないのも、この男女比が原因です(確信)。

この高専の学生の男女比から「なぜ高専には女子が少ないのか」という疑問が浮かび上がるでしょう。僕も高専で過ごした5年間ずっと疑問でした。しかし、その答えがウィリアム・フォン・ヒッペルの「われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか」という本である程度解説されていました!なので、それに基づいて「なぜ高専には女子が少ないのか」について考えていきたいと思います。

性別による違いによって女子高専生が少ない?!

この本の中では、このような面白い研究がありました。それはピッツバーグ大学のミンテ・ワンの研究チームが行った約1,500人の被験者を長期に渡って追跡した研究です。

まず、研究チームは学生の大学進学適性試験(SAT)の点数に基づいて、「高い数学力と高い言語能力の両方をもつ学生」と「高い数学力をもつが中程度の言語能力しかない学生」を区別しました。

どちらの集団も数学力は高いのですが、前者の言語能力も高い集団の3分の2は女性でした。これに対し、後者の言語能力が中程度の集団は3分の2が男性でした。

つまり、数学の才能がある女子学生はあらゆる面でも賢い場合が多い一方で、多くの男子学生は数学や科学だけが得意な傾向が強いことがこの研究では示されています。

また、ミンテ・ワンはあらゆる面で賢い学生よりも、数学だけが得意な学生は物理科学や工学の分野での仕事に就く割合がはるかに高いことを突き止めました。そして、これらの職業の選択は、学生たちが早い段階で自ら語っていた興味と一致しているものでした。

一方で、あらゆる面で賢い学生は、大まかにいうと物理学者やエンジニアになることにそれほど興味がないということがこの研究でわかりました。

この研究結果から、「なぜ高専には女子が少ないのか」について考えると、数学力のある男性の多くは数学だけが得意な場合が多く、そのような男性の多くはエンジニアになりたいと思い、高専に入学する。一方で、数学力のある女性の多くはあらゆる面で賢い場合が多く、そのような女性はエンジニア以外の仕事に就こうとする人が多いので、高専には入学しない。と考えられます。

男性は「モノ」に関心があり、女性は「人」に関心がある!!

見出しに書いたように、この本では「男性はよりモノに関心をもち、女性はより人に関心をもつ」と主張しています。これはアメリカとカナダの50万人以上の男女の職業の好みを調べた分析でも、同じ傾向が明らかになっています。

この性差は生後1歳未満の赤ちゃんにも表れています。例えば、男の子はトラックを好み、女の子はお人形を好む傾向があります。

また、バンダービル大学のデイビッド・ルビンスキー率いる研究チームは、数学的な能力が高いアメリカ全土の学生1,500人以上を対象者として選び、長期間にわたって追跡調査しました。

これらの対象者に仕事の好みについて尋ねたとき、男性は女性よりも「コンピューターや道具などのモノを使って働く」「影響力のある何かを発明・作成する」ことに興味がありました。一方、女性は男性よりも「人と一緒に働く」「自分の仕事の結果が他者に大きな影響を与える」ことに興味がありました。

つまり、数学的な才能がある男性と女性のあいだでさえも、モノに関心があるか、人に関心があるかどうかに性差があると言えます。

この研究結果から、「なぜ高専には女子が少ないのか」について考えると、男性は「モノ」、つまり工学分野に関心を持ちやすく、女性は「人」、つまり工学分野以外の人と直接関わる分野に興味を持ちやすいからだと考えられるます。

じゃあ高専に行かない女子が行く学部って、どこだろう?

最後に少し気になったので、調べてみました。ちょっと寄り道している話であり、根拠も弱いので、読み飛ばしていただいても結構です。また、データは下のリンクから引用しています。

上のリンクからExcelのファイルをダウンロードし、ざっと目を通すと保健学では、約62%が女子学生でした。その中の薬学部では約60%が女子学生、看護学部では約91%が女子学生でした。また、教育学部では約60%が女子学生でした。これらより、高専や工学部などに行かない選択をした数学力がある女性は、薬学部や看護学部などに進学している可能性があると考えてられます(根拠は弱い)。

確かに、薬剤師さんや看護師さんは人と関わることが多い職業なので、女性の「人に興味を持ちやすい」「自分の仕事の結果が他者に大きな影響を与えることに興味がある」という傾向に一致していますね。

まとめ

以上のことより、「なぜ高専には女子が少ないのか」という疑問に対して、女性は人に関心を持つ傾向が高く、数学力のある女性はあらゆる面で賢いことが多いので、エンジニア以外の職業に就きたいと考えるからだと考えられます。(もちろん、これが絶対的な要因ではなく、別の要因もあると思います)

また、本記事では、あまり日本の社会状況を考慮していなかったので、いつか、その部分からも考えられたらいいと思います。

初めての投稿なので、拙い文章ではありましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました!!

男女平等社会に向けて

これまでに、女性はエンジニアという職業を選ぶ人が少ない傾向があることを示してきました。しかし、これは女性がエンジニアに向いていないということを示すものではありませんので、注意してほしいです。ただ興味や関心があることが職業選択のときに影響するということだけの話です。

また、僕個人的には女性のエンジニアがもっと増えてほしいと考えています。その理由は最高のチームには女性が多いという特徴があるからです。

1兆ドルコーチには、チームの「集合知」について調べた研究がありました。

研究チームは、なぜ一部のチームは個々のメンバーのIQの総和よりも賢いのかについて調べました。

理由は3つあり、一つ目は「一人、二人が発言を独占せずに、全員が議論に貢献する」二つ目は「そのようなチームのメンバーは複雑な感情を読むのが上手い」三つ目は「そのようなチームには女性が多い」ということが理由としてあげられています。

つまり、女性のチームメンバーが十分にいるチームがいいチームになりやすいと考えられます。

そして、僕はチームで仕事をする以上、個人で仕事をするよりも成果をだせるようなチームがいいです。なので、いいチームを作りやすくするために、女性のエンジニアが増えるといいな~と思っています。

もちろん、男性のエンジニアも必要ですよ!!(まぁ、優秀ならどっちでもいいよね!!)

参考文献

この記事を書くにあたり、「われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか」という本を参考にしました。この本には進化心理学の観点から、人間について書かれていて、とても面白い本でした(まだ、読んでいる途中)。

例えば、「多くの人が自分のルックスを実際より20%増しで考えている」や「情報収集が偏っていればいるほど、人は説得力を増す」などの面白い話が多くありました。なるほど~となることが多く、この本を読めば新しい考え方が手に入れらるかもしれません!!興味がある人は下のリンクをクリック!!


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