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正月とクリスマスとラマダンと

髪の毛が白くなるまでスーツに縁のない生活を送っていたからでしょうか。
お恥ずかしながら、日本に新年互礼会の催しが世の中に存在することを知ったのは40歳過ぎてから。
新年の初顔合わせという形で年始挨拶を交わし、安八(あんぱち)町でも仕事始めの日に行われ、昨日、伺いました。
 
外国人から見ると不思議な式典らしい。
欧米のキリスト教の地域は、年末年始の休みではなく、クリスマス休暇なので、1月2日から始まることが多い。
 
一方、イスラム教には大晦日も正月もありません。
そのかわり、ラマダン(断食)明けのお祭りが、正月に近い。
イスラム教は太陰暦なので、太陽暦で数えると毎年、1年で10日ずつ早くなっていき、今年は4月1日から30日までが当たります。
 
国教がイスラム教のマレーシアに滞在中、ラマダン明けに遭遇したことがありました。
その時、避暑地のキャメロンハイランドのホテルに滞在していたのですが、ラマダン明けまでしか予約が取れません。
まぁ、それ以降は、近くのホテルに移ればいいやと気楽に考えていたのです。
 
翌朝、チェックアウトした後、トランクを引き、キャメロンハイランドのホテルを探しまが、空き部屋が全くありません。
こうなったらキャメロンハイランドを離れようかなぁとも思ったのですが、ラマダン明けの光景を見てみたい気もします。
あきらめずにトランクを引きながらホテル探しを続けました。
 
街を何往復もしている僕の姿が目に入ったのでしょうか。
あるビジネスホテルの従業員から、彼が仮眠をとる部屋を借してくれることを提案されました。
室料は通常の部屋の2倍(たぶん)。
きっと彼の懐に入るのでしょうが、それでも僕にはありがたく、支払いました。
 
街は予想以上の人混み。
前日まで静かな避暑地が、お盆の時期の軽井沢のような状態になっていたのです。
渋滞はひどく、なにより飲食店でのひとりメシがきつい。
初詣客で賑わう伊勢神宮周辺のおかげ横丁の飲食店にて一人で食事する感じでしょうか。
こうして翌日、キャメロンハイランドを離れたっけ……
と、昨日の互礼会が始まるまで座って待つ間、会場の舞台緞帳を眺めながら、ぼーっと思い出していました。

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