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「若い」と言われ、舞い上がったら……とほほ。

シネコンでナイロン製のベストを着た若い女性に声をかけられました。
こういった場合、たいてい会釈して通り過ぎるのですが、「血管年齢測定」の言葉で立ち止まりました。
測ったことがなかったのです。

手のアルコール消毒を済ませ、タッチパネルに性別と年齢を打ち込み、左手の人差し指を機械に突っ込みます。
血中酸素濃度計のように。
 
「43歳!!10歳も若いなんてすごいじゃないですかぁ!!!」
 若い女性は声を張り上げます。
この後、何か売りつけられるのと思ってしまうくらい。
 
しかし、「若い」と言われたことで嬉しくなっている自分に気づき、少し恥ずかしくなりました。
白髪なので老けてみられるからでしょうか。
病院の待合室で母の車椅子の隣に座っていたら、
「旦那さま優しいですね」
 と高齢者の女性から言われたこともありました。
 
「筋力も測ってみましょう!」
 若い女性は握力計を渡してくださいます。
僕はニンマリしながら握力計を握りました。
「わーー、すごい!こちらは……」
 年齢を合わせる表に出た数字と合わせます。
「ん?あれ?53歳……」
 年相応です。
「わーー、すごい!」と言ってしまった手前、彼女はバツが悪そうになり、テンションは一気に下がりました。
まぁ、そのおかげで何も売りつけられることもなく、スポーツジム会員などに勧誘されることもなかったけどね。
 
その後の僕はと言えば、映画の待ち時間にスマホを取り出し、「握力 鍛え方」を検索し、
昨日から腕立て伏せを始めたとさ。

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