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登山家が救ってくれた一言

登山家の田村真司さんが発した「だいじょうぶ」の柔らかい一言で救われたことがあります。

スキーウェアブランドの仕事をしていた時のこと。
そのブランドの輸入代理店の会社の社長を、短い期間でしたが田村さんが務めていたことがありました。

話は逸れるようで、でも、繋がっていますが、
一昨日、田の中屋(田中社長も元エアリアルスキーの有名選手で、スキー関係の共通の知人友人もいらっしゃるので)のイベントで聴いた独立研究者「森田真生」さんの話によれば、
初対面でも、感覚的に合いそうだなぁと思ったとき、小腸などの内臓センサーが反応して変化するらしい。
話を戻すと、田村さんは、初対面の時から、まさに内蔵で感じられるような方でした。

ディレクターで関わっていた当時、スキーブランド、もしくはスキー業界の方の中には、僕のことを快く思わない方もいらっしゃったでしょう。
スキーも登山もやらない得体のしれない旅人が、
カタログやWEBのディレクションをしているのですから当たり前ですよね。

何となく、そんな空気を察したことがあり、居心地悪そうにしている僕に声をかけてくださったのが田村さんでした。

「だいじょうぶですよ」
 と。

30年以上スイスに住み、実際にお目にかかったことは数えるほどしかありませんが、
お目にかかった時は、爽やかな笑みの中に、包み込むような優しさがあふれていました。

「イシコさん、今度、キリマンジャロでミーティングでもしましょうよ」
 と冗談なのか本気なのか区別がつかない感じでおっしゃり、
地球全体が仕事場であり、遊び場のように考えている方だったのです。

僕がブランドを離れてからも、
いつでもスイスを案内するので来てくださいと、
一年に一度程度ですが、SNS上で、やりとりを続けていました。
世界一周の際、伺うことができず、
このところ、新たにスイスにご縁ができたこともあり、
来年、海外の旅取材が再開できたら、お互いご紹介がてらのスイス旅を考えていたのです。
残念でなりません。

僕は様々なことで迷った時、
または、旅先で、ボーッとしている時、
逝った方々を想い出しながら、
空想の会話を繰り広げることがあります。
田村さんも、間違いなくその中の1人に入るでしょう。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。

昨日の「お別れの会」にて、いただいたボトル(田村さんが登頂した山々が一覧表示されています)は旅に出る時、大切に使わせていただきます。
それにしても田村さん、エベレストに4回も登っているとは……。

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