『雑談の一流、二流、三流』ブックレビュー

雑談には苦手意識がある。酒さえイってしまえばいくらでも適当話がこけるが、こと酒なしの場―――エレベーターでばったり案件やら飲み会の一杯目が来る前の変な時間、研修の前の知らない人との無の時間etc―――は”オレがやらなきゃ誰がやる”みたいな、気のせいな力みが生じている。そんな僕が、いい本に出会った。
この本は、雑談をロジカルに以下の6つのパートに分け解説している。
① 雑談のはじめ方
② 話の広げ方
③ 聞き方とリアクション
④ 雑談の盛り上げ方
⑤ 相手の懐に入る方法
⑥ 好印象の残し方

雑談に苦手意識がある人は、きっと上記のうちのいずれか(または全部)のスキルを知らないのだろう。各パートについて5~10程度のコツが掲載されており、しかも1つにつき4ページで完結するので、とにかく読みやすかった。なにより簡単に取り組めそうなコツがたくさんで、なにより『読んだ後、人と話したくなった』のだ。そして実際、読んで以降会社でなんとなく、雑談が怖くなくなっている。
ここでは今後僕が意識していきたいものをいくつか載せていく。

【雑談のはじめ方】

一流は、相手に焦点を当てることから始める(P25)
人が一番意識しているのは自分自身。だからたとえ天気の挨拶をするときにも相手に主題を向ける。
×「今日は暑いですね。。。」
○「今日は暑いですね。30℃を超えるみたいですよ。夏バテとか平気ですか?」

一流は、挨拶にツープラスする(P33)
自然と会話をスタートするには、挨拶にもう二言追加する。
×「おはようございます。。。」
○「おはようございます。昨日は遅くまでありがとうございました。しかし部長、本当にタフですね。」

一流は、相手が心地よく話せるような「表情」を準備する(P41)
映画『マスク』を演じたジム・キャリー、世界中の人気者ミッキーマウス。彼らに共通するのは言葉ではなく表情で言葉を交わせること。相手を受け入れる用意がある、オープンな表情を見せるべし。

【話の広げ方】

一流は、相手が話したくなるように質問をする(P63)
会話を深める質問(「なぜ?」)、広げる質問(「他には?」)、進める質問(「それで」「それから」)を使い分けること。相手が話しやすいように引き出していく意識が重要。

一流は、相違点を探して距離を縮める(P79)
共通点を探すより、相違点を探すほうが楽。相違することを恐れず、その点を面白がって聞くこと。
たとえば「セロリが好き」という人がいて、自分は嫌いな時は
×「そうなんですね、私は嫌いです」
○「そうなんですね。私はちょっと苦手で。。。ちなみになんで好きなんですか?・・・へぇそんな楽しみ方があるんですね!ちょっとチャレンジしてみようかな。」

【聞き方とリアクション】

一流は、頷き+感嘆詞を使って聞く(P89)

反応の反対語は『無反応』ではなく『無視』。相手に、話を聞いているということが伝わるように、感嘆詞(「へ~」「ほぉ~」など)付きでありのまま感情を表現すること。所ジョージさんが好例。

【雑談の盛り上げ方】

一流は、オノマトペを使う(P119)
擬声語、擬音語、擬態語を使ってインパクトのある話をする。芸人の宮川大輔などが好例。
擬声語:「げらげら」「わんわん」など、人間や動物の声を表すもの
擬音語:「キラキラ」「バタン」など、自然界の音や物音を表すもの
擬態語:「つるつる」「さらさら」など、状態を表すもの

一流は、一人質問をする(P131)
「~~と思いません?」「こんなことあります?」のように相手に話を振っているような表現をする。一方的に話しているのではなく、全体と会話しているような演出ができる。

一流は、状況次第で空気を変える(P139)
盛り上がっていない飲み会に途中参加した時などは、自ら笑うこと。感情は伝染する。『幸福論』の著者アランの言葉に、「幸福だから笑うのではない、笑うから幸福なのだ」という言葉がある。

【相手の懐に入る方法】

一流は、腹を見せ合う(P169)
人間は情報が少ないと不安になり、好感を持ちづらい。仕事のメンバーと、思い切って仕事以外の話(プライベートの趣味や家族関係)をすると、思いもかけない親密さに繋がり、話しやすくなる。

【好印象の残し方】

一流は、記憶に残った具体的なエピソードを伝える(P183)
去り際に、抽象的な感想を述べるのではなく、具体的なコメントを残すべし。
×「今日は楽しい話をありがとうございました」
○「今日の創業時の苦労話、めちゃめちゃ勉強になりました。また聞かせてください」


一流は、見えなくなるまで感謝を伝える(P191)
別れ際にほんの少しだけ、出会えたことに感謝する気持ちを表現する。エレベーターであれば完全にドアが閉まるまでお辞儀をせよ。お見送りのシーンでは相手の姿が見えなくなるまでお見送りせよ。友達との別れ際でも相手が見えなくなるまで大きく手を振る。

上記の中でも、『挨拶+ツープラス』で雑談を始めることと、『具体的なエピソードを伝え』て好印象を残すことはとても参考になった。全体を通しては、要はまずはこちらが相手に対してオープンになるだけでなく、受け入れ態勢(話を是非したい、という姿勢)をあちらに感じてもらう工夫が必要ってことだと思う。
雑談、是非仕掛けてみよう。

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