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武尊vs天心考察

改めてTHE MATCH 2022の武尊vs天心を見ている。
やっぱり多くの人が予想した通り、1Rが勝負だったね。そこを制した天心が勝ったと。
天心のスピードに武尊の目が慣れるまでに、天心の右ジャブが正確に当たっている。そして1R終了間際にダウンをとった。だから2R以降、精神的にも有利な状態で試合を進められた。
あと、ルールを本当にうまく使って、『試合』を組み立てる天心の巧さが印象的だった。バッティングや咄嗟の投げに対し実際のダメージより大きめなリアクションを取り、武尊の積極性を奪おうともしていた。逆に勝負論だけでなく観客の盛り上がりを強く意識するショーマンシップの高い武尊としては、タイムストップ中観客が沈むのを気にしてどんどん焦っていくシチュエーションとなっていた。
さらに、オープンスコアシステムも武尊の精神をさらに焦らせた。1Rでダウンをとり、目が慣れてきた2Rでも互角の戦いとなったうえで、2R終了時に目に見えて天心に優位なスコアになっていることが明確化した。天心としては残り3分もてばいい、武尊としては残り3分で倒さなくてはいけないシチュエーションとなり、大きな攻撃を意識せざるを得なくなった。3Rに向かう武尊のメンタルはどれほどだったか、想像に余りある。

それにもかかわらず、3Rの本能むき出しの笑顔で向かっていく”武尊タイム”は本当にかっこよかった。身体じゅうの膿を吐き出すような、5年以上にわたるあらゆる束縛から解放されるかのような戦い。それでもとんでもない技術でスウェーする天心の技術―――

最後の瞬間まで交錯した拳は圧巻。判定後、敗北した絶望感でたまらないはずなのに相手にも観客にも礼儀をし尽くした武尊もまた、真の男だった。カッコよかったよ。

「出会えてよかったっすよ―――」
試合後の抱擁で、天心は武尊にそう言ったように聞こえた。こちらこそ、こんな試合に出会えてよかった。

ありがとう、最強の男たち。

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