可動域(ROM:Range Of Motion)の 臨床的解説

身体の各関節には可動域というものが存在します。
その関節がゼロ地点からどこまで動くことができるのか、また動かせることができるのかという評価方法です。
ゼロ地点というのは、解剖学的基本姿位といって、その関節における筋肉の収縮が始まっていない状態といえます。
動くことができるか、動かせることができるか、という2つの表現は自動(Active:能動的)と他動(Passive:受動的)という意味で、自らの力を使う自動と、他者に動かしてもらう他動に分けることができます。
自動は自らの筋肉を収縮させて関節を動かしていますが、他動は筋肉を収縮させずに関節を動かして(動かされて)います。
我々は患者さんの関節や筋肉の状況を理解するためにこの2つのROMを評価することがあります。

さらにこのROMは可動の範囲(角度)を計測するだけでなく、どのような動かし方をするか、動かされ方をするかを観察することで有意義な所見を得ることがあります。
例えば左肩を外転させる際、必ず頚部を左肩に側屈させる、左股関節を屈曲させる時に必ず腰椎を伸展させているなど、他の部位のCompensation(代償)の存在を推測することが可能です。
臨床においてはこのROMに加え、触診による圧痛の確認、軟部組織のトーンの評価、MMT(Manual Muscle Testing)、神経機能評価などを併用して総合的に身体評価をし具体的なアセスメントをしていきます。

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