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最後の寿司

最後に食べたのは寿司だった。

特になんの思い入れもないが、美味しいので仕方ない。

なんでもかんでもエモさを求めるのもおかしい話なのだ。

最後の食事くらいは好きなものを選んでもいいだろう。

もう終わってしまうのだから・・・


あ、平成の夏の話だ。

気象庁の定義では、9月からは秋なのだ。

最終日である8/31は奇しくも金曜日だった。

何かが起こる気がした。

何か起きてほしいと願った。

なにやら楽しげなハプニングでも起こらんもんかと思っていた。


もちろん起こらなかったのだが・・・

それでもその日は、それなりに面白い夜であった。

大学の時に好きだった女の子と寿司を食べたのだ。

その子の、旦那と3人で。


もちろん、その子に未練があるワケでもないし、特別な気持ちはなかったのだが、こうやって時代は変わるし、それによって俺たちは半ば強制的に大人になっていくのだと痛感した。

少なくとも、俺の影響できない、周りからの目は俺を30歳目前独身男性なのだ。

家に着くともう「平成の夏」はあと1時間だった。

その1時間で何ができるだろうか。

俺は来る新しい季節のために風呂に入ることにした。

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