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網戸

俺の家には網戸がない。
なぜかは知らない。
だからと言って不便に思ったことはないし、今更つけようとも思わない。

少し前までは暑くてクーラーを使っていたが
最近は涼しいので窓を開けて寝ている。

風の日には、あの子の街から俺の街へとやってきて
懐かしい香りを持ってくる。
遠い昔の思い出が、頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消える。

雨の日には、考えられないほど多くの雨が、しんしんと砕ける音がして
なんだかぞっとする。

何もない日は、遠くからエレキギターの音が聴こえて
夜の始まりの終わりを告げる。

俺の家には網戸が無い。


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