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霧雨

別に気にしなくてもいいくらいの、微かな雨だった。
彼女が出してくれたのは大袈裟な特大の傘。
俺はそれを受け取る。

昨日食べたうどんを思い出した。
香川県出身の俺にとってうどんとは、好物以上の意味を持つ。
うどん以外に有名な名産品がないのでアイデンティティとなっている。

高校の時、何日連続でうどんを食べられるか、試したことがある。
結果は15日。
止まった理由は、そういえば今日のような雨だった気がする。

気にしなくていいくらいの、微かな雨だった。
はずだったが、高校帰りにうどん屋に寄る気を失わせた。

本当に微かな雨だった。
彼女に借りた大きな傘を広げ、駅を目指す。

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