「世界に一つだけの花」より前の人、後の人。

この世界は競争社会だと、普通に思っていた。

若いころ、TVCMで「24時間戦えますか♪」ってめっちゃ流れてた。

今はあのCM流せないだろう笑


「市場価値の高い人材」っていうのがあって、それを目指すべきだと、普通に思ってた。20代のころは、年収を高くすることをすごく意識していた。年収は、自分の価値を現わすものだと信じていた。


30歳近くになって、どうやらそういう競争社会とか、弱肉強食社会を「新自由主義」とか呼ぶらしいと知った。色んな思想が世界にはあって、マイケルサンデルは共同体主義って分類されるんだとか。

「世界に一つだけの花」が紅白のオオトリで歌われたのはどうも2003年みたいだ。僕の20代の頃。競争社会のど真ん中で、世紀の大スターが、押しも押されぬNo.1アイドルが「No.1にならなくてもいい」って歌ってた。


あれは「24時間戦えますか♪」を普通に聞いて生きてきた世代には、なんとも言えない歌詞な気がするし、世界の一つだけの花を子供のころから聞くことになった世代には「そういうもんなんだ」と浸透していったのかもしれない。


今日、同世代の芸人さんの話を聞いた。その芸人さんと一緒にご飯を食べた友達(←僕より若い)が「でもまだ彼(芸人さん)は、一位を取ってやるって思ってるみたいなんだよね。もう一位を取るとかって時代じゃないのにね」と言った。


いやーーーー。いやーーーー、俺はその芸人さんの気持ち、正直めちゃ分かるよ!!


だって、競争で勝ち抜くことこそが人生だって、そういう空気の中で育ってきたもんなぁ。

そのあと、もっと若い人とちょっとしゃべる時間があったんだけど「え?競争するとか、一位を取るとか、あんまり考えたこともないですけど、、、」みたいな反応。


こういう人たちはきっと「世界に一つだけの花、の後の人」の人なんだろう。


幼少時代の大ヒットソングで「No.1にならなくてもいい。元々特別なオンリーワン♪」とかいっぱい聞いてたら、そりゃそうなるかもしれない。


世代の意識とか、世代の空気とかって変わっていくんだよな。
ある本によって。ある政治家によって。ある歌によって。
そういうもんなんだろうな、と思う。

同世代とか、ちょっと上の人と話してると「競争から降りる」っていう話がちょいちょい出てくる。

出世争いとか、そういうのから降りてから楽になったよね、みたいな。


その話が、共感する話であるのは、みんな「競争のレールに乗っていた」実感があるからだ。乗っていたから、降りることもできる。


でも「世界に一つだけの花、の後の人」たちはそもそも競争のレールに乗ってすらなかったりするから「降りる」って感覚も共有されないだろう。

僕は、新自由主義は好みじゃないから、変わればいいのに、とか、変えたい、とか思ったりするんだけど、無理に変えようとしなくても、すでに「の後の人」たちは違うのかもしれない。

ちゃんとそれに沿った社会システムへアップデートされていくような気もする。

僕はと言えば「競争から降りた」とか言いながら、やっぱりどっかで「天下とったる」みたいなのが染みついているなと思う苦笑


若い友達からの「石川さん、もうそういう時代じゃないよ笑」の声が聞こえてきそうだ。

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