やめることの勇気。

このnoteは、2020年7月21日に配信されたいしかわごう公式メルマガ「Going!」の内容を編集したものです。

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オッス、いしかわごうだ。

今日は、真面目な話をしたいと思います。

ちょっと長いです。

横浜FC戦の前に配信したメルマガの号外で、横浜FCの一美和成について触れました。


彼は熊本県大津高校出身。つまり、谷口彰悟と車屋紳太郎の後輩なんです。

熊本の大津高校といえば、高校サッカーの名門です。

心身ともに鍛えられていたのでしょう。谷口彰悟と車屋紳太郎も怪我の少ない選手なのですが、以前、「なんでそんなに頑丈なんですかね?」と車屋紳太郎に何気なく尋ねると、高校時代のトレーニングがとてもキツかったことを明かしてくれました。大津高校時代に、色々と鍛えられたのでしょう。

振り返ってみると、大津高校といえば、過去には土肥洋一さん(元日本代表)や
巻誠一郎(元日本代表)、植田直通(日本代表)などといったそうそうたる選手を輩出してきていますが、みな身体が頑丈なイメージがあります。

特に土肥洋一さんは、2000年開幕戦から2006年までリーグ戦まで216試合連続フルタイム出場という当時のJリーグ新記録を樹立してます(2014年に鹿島の曽ヶ端準が記録を更新)。

ただ大津高校のOBを調べていたら、久しぶりに、思い出した顔がありました。


それは、宮坂くんのことです。

宮坂くんと言われても「誰?」と思うかもしれません。

宮坂くんとは宮坂翔選手。

もう13年も前になりますが、自分がサッカーライターとしてキャリアを積み始めたばかりの2007年。大津高校からJ2の東京ヴェルディに入団した選手です。

190センチの長身を武器にした大型センターバック。高校サッカー選手権にも出場しました。

ルックスが抜群で、モデルのような甘いマスクのイケメンだったので、当時刊行されていた「Soccer ai」では、その外見も注目されて取り上げられていました
(ググってもらえれば、彼の画像は出てきます)。


ただ新人選手として入った年は、ラモス監督でJ1に昇格しなければいけないシーズンで、フッキ、ディエゴ、名波浩、服部年宏、土屋征夫と・・・・J2とは思えない破格の大型補強を敢行。高卒1年目の彼にトップチームでの出番が巡ってくることはありませんでした。

なので、彼との会話はほとんどクラブハウスでのもの。性格に掴みどころがなくて、どこか不思議だったけど、おっとりしていて意外と面白い子でした。

チームがJ1昇格を果たして迎えた2年目の2008年。

開幕前にイヤーブック用の取材をすると、「去年は体作りに力を入れていたので、
今年は試合に出れるように頑張りたい」
と意気込みを語ってくれていたんです。

でも残念ながら、その年もトップの試合に出ることはありませんでした。

それどころか、サテライトリーグに帯同しても、試合に出るのは、トップ所属の彼ではなく、ユースの選手がそのポジションで出場していたこともありました。

つまり、ユースの控えなんです。途中から出てもパフォーマンスに精彩はなく、プロとしては厳しい出来だったと言わざるを得ません。高卒の選手ですし、まだ少し時間がかかるかなという印象でした。

その後、練習にもまるで姿を見かけなくなり、聞くと、実は膝の状態がかなり悪く、夏に半月板の手術を行ったとのことでした。

ある時クラブハウスで見かけたときに状態を聞くと、手術を終えて、今はリハビリしながら別メニューでトレーニングしているとのこと。

結局、戻ってきたのは秋だったと思います。

ただ復帰を果たしたものの、自分が全体練習に参加するとチームメイトの足手まといになると思ったので、シーズン終盤は監督に申し出て、自ら全体練習に加わらず、別メニューを選んでいたそうです。

そして、彼はそのシーズン限りでサッカー界を去る決断をしています。

このとき自身のブログで、膝の状態が悪くてサッカーが続けられないこと、チームの力になれなかったことが本当に悔しいこと、 そして「僕はサッカーが嫌いです。」とも告白して物議を醸しました。

僕が目の当たりにした、「若くしてサッカー界から去っていった才能」の一人です。

あの時のブログに書いた内容のすべてが本音だったとは思いません。

高卒2年目ですから、まだ20歳。あのとき、自分の気持ちにどうやって折り合いをつけて、サッカーをやめるという決断をしたのかはわかりません。

大好きなサッカーでJリーグのプロになる。
・・・サッカーをかじっていた人間からすると、紛れもなく「選ばれた人間」のはずです。でも彼は色々な事情があり、20歳で「サッカーをやめる決断」をした。

頑張って、夢や目標を叶えることはとても素敵なことです。でも、それをやめること、手放すことには、すごく勇気がいたはずです。

このメルマガでは、「始めること」についてよく語っています。

でも「やめること」って、「新しく始めること」と同じぐらいの勇気やエネルギーがいると思います。

現在の彼が、どういう人生を歩んでいるのかもわかりません。そしてやめる勇気を持って、それを乗り越えた先で歩んでいるであろう現在の人生が、良いものであって欲しいなと良いなと思ってます。

サッカーの現場に長くい続けていると、サッカーから去っていった才能はどうしても忘れてしまいますが、大津高校の話で宮坂くんの存在を思い出し、そんなことをふと考えてしまいました。

今日は、そんな真面目な話でした。

・・・あっ、このメルマガはやめませんよ・笑。


ごうちゃんは、やめへんでーーー!!

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