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戻る場所があるからこそ、チームは前進できる。そして「縦横無尽」の家長昭博が見せる、2年目の進化。(リーグ第3節・ガンバ大阪戦:2-0)

 等々力競技場でのガンバ大阪戦は2-0で勝利。

ホーム等々力では、今季初勝利となりました。ただ内容的には完勝だったものの、試合後の選手は反省点を口にしていました。

「ウチらしくないし、あんまりこういう試合はしたくなかったが、わり切ったサッカーをさせてもらった」(谷口彰悟)

「向こうもこっちもバテバテだったので、見ている人はつまらないゲームだったかもしれないが、勝ち切れてよかった」(阿部浩之)

 このガンバ戦は、「結果」を取りに行った試合であったことは、試合中のプレーの端々からも感じられました。

 スタメンに関しても、センターバックに車屋紳太郎を起用した点は少し意外性があったものの、前線のカルテットやダブルボランチ、そして最終ラインの顔ぶれなどを見てみると、いわゆる「慣れ親しんだメンバー」でスタートしています。90分を振り返っても、交代枠を含めてピッチに立った新加入の選手は、後半途中にエウシーニョに代わって右サイドバックに入った新人・守田英正だけ。いわば、「2017年版の鬼木フロンターレ」で臨んだ試合だったとも言えます。

 「チャレンジャー」であることを口にする鬼木監督からすればちょっと意外でもありましたが、中二日での連戦で確実に勝ち点3を取るということ、そして試合直後には海外遠征の移動があるという、特殊なシチュエーションということも踏まえたら、背に腹は変えられなかったのかもしれません。

 シーズンは長いですから、勝つべきところでは冒険せずに「鉄板メンバー」で手厚く勝ちに行く。そういうチームマネジメントのできる指揮官であることを感じた試合でもありました。それに慣れ親しんだ顔ぶれでプレーできるメリットというのがありますからね。

・・・とまぁ、そこらへんは本文でも詳しく掘り下げています。今回のゲームレビュー、ラインナップはこちらです。

1.「まだ成長している段階。去年のままじゃ勝てない。でも去年、なんで勝ったのか。それを大切にすることも大事」(中村憲剛)。戻る場所があるからこそ、前進できる。この試合で見せた、チームとしての経験値を生かした戦い方とは?

2.「向こうが出てこないなら、無理をする必要はないかな」(阿部浩之)、「チームの中で賢く戦うということができていたと思う」(谷口彰悟)。勝てていない相手に「またか」と思わせた、ネットの一撃。そしてボールを動かし続ける、したたかな試合運びができていた要因とは?

3.「とにかくリズムというか、チームがうまく回るように。自分で持ちすぎないようにしました」(車屋紳太郎)。なぜG大阪戦で、指揮官は谷口と車屋による「熊本兄弟CBコンビ」を起用したのか。つなぎ倒したビルドアップと、被シュート2本の完封劇の背景を読み解く。

4.チームのペース配分を考えながら、前線で守備のスイッチ役を担い続けた中村憲剛。「自分が穴を開けないようにしていた」と語る彼が意識していた、現実的な舵取りとは?

5.まさに「縦横無尽」。誰にも止められない、2年目の家長昭博の進化。そして「ゲームで見て皆さんが判断してくれればいい」と語る、彼なりの美学とは?

以上5つのポイントで、冒頭部分も含めて全部で約8500文字です。今回は語るべきポイントがたくさんありましたし、ボリューミーだと思います。ぜひ読んでみてください。

なお、プレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第3節・ガンバ大阪戦)

では、スタート!

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