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「First impression〜決勝弾の布石となった三笘薫のアウトサイドパスに思う。 」(カタールW杯アジア最終予選:日本代表 1-0 オマーン代表)

 長友佑都からパスを受けると、ゆっくりとしたドリブルを開始。まずは対面にいたアルアグバリをひょいと交わして置き去りにする。

日本代表デビューを飾った三笘薫の記念すべきファーストプレーだった 。

 すぐにオマーン代表の右サイドバック・アルハルティがカバーリングに寄ってくる。だがギアを上げてカットインしていく加速力が予想以上だったのか、それともあの長い脚での独特のストライドに間合いを外されたのか。ここでの駆け引きも三笘が主導権を握る。

 瞬間的に後手を踏んだアルハルティは、たまらず腕をかけて倒すことで三笘の突破を阻止するしかなかった。次の瞬間には主審からの笛が鳴らされて、日本はペナルティエリア横の位置からをフリーキックを獲得していた。

 45分30秒。後半のキックオフから、わずか30秒足らずの出来事である。

 後ろから腕をかけられて倒された格好になった三笘薫は、ごく平然としている。何事もなかったように、長いハイソックスをまくしあげながら立ち上がって次のプレーに戻っていく。夏まで所属していた川崎フロンターレで何度も見た、いつものような光景だった。いきなり2人をぶっこ抜いたドリブルを披露したが、彼にとってはこれが平常運転なのである。

一連のプレー映像に「まず、魅せました」とDAZN実況の西岡さんが描写すると、解説の岡田武史さんが「良いですねー」と微笑んだような声をあげ、佐藤寿人さんも「良い入り方をしましたね」と続く。

 ちなみにこのオマーン代表戦の後半が始まった時刻は、日本時間深夜2時だ。どこか既視感を覚えるような展開の前半に、眠気と戦っていた日本のサッカーファンも少なくないかもしれない。そんな中、後半から代表デビューを飾った三笘薫が繰り出したファーストインパクト・・・・日本のサッカーファンの眠気覚ましにもなったに違いない。

 そしてこのワンプレーで、オマーン代表の選手たちも顔色が変わったように見えた。おそらく「・・・・こいつはヤベェ」と思ったのだろう。すぐにオマーンも、三笘薫の突破に対策を施してくる。

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