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「本当の強さとは何か」 (2021ACL第5節・大邱FC戦:3-1)

「たぶん画面で皆さんが見ている以上にひどかったです」

試合翌日のオンライン取材に応じた鬼木達監督は、そう苦笑いを浮かべた。何の話かというと、ACLの第5節となった大邱FC戦が行われたブニョドコルスタジアムのピッチ状態のことである。

それまでの4試合、川崎フロンターレはロコモティフスタジアムでゲームを行っていた。こちらは、そこまで悪くないピッチ状態をキープしていたが、今回初めて試合をすることになったブニョドコルスタジアムは、ちょっと様子が違った。

DAZN中継の画面越しでも「えっ?」と言いたくなるような、見るからに荒れたピッチ状態だったのだ。

 もちろん、チームも過去のACLでは様々なアウェイを経験している。だが、過去と比較しても比較にならないほどだったようで、鬼木監督は似た状態として、プロになる前の記憶にまで遡ったほどだった。

「(過去の)ACLでもないですね。それこそ、自分たちが学生の時にやっていたような感じです。スパイクの裏には、土がずっと埋まっている状態。それによって滑りますし、(芝が)えぐれるというほどではないですが、スパイクの裏にはずっと土がへばりついている状態。ピッチはボコボコですし、選手は難しい状態だったと思います」

 もちろん、ブニョドコルスタジアムのピッチ状態が良くないということは、チームにも情報として入っていた。ただ、実際に現場を目の当たりにすると、やはりナーバスにならざるを得ない状態だ。キャプテンの谷口彰悟が、振り返る。

「事前には聞いていたし、写真でも見ていました。ただ実際に立ってみると、思っていた以上にひどかったというか、芝生がほとんど土のようなピッチで、ぼこぼこしているところもあった。そこに水を撒いているので・・・」

 荒れたピッチに加えて、暑さも厄介だった。キックオフ時の気温は37度。それまでのウズベキスタンでのナイターゲームはカラッとした暑さだったが、この時は湿度も25%。風も通りにくいスタジアムの構造になっているため、より蒸し暑さを感じた中でのキックオフだった。

 このような環境で臨んだ大邱FCとの首位突破をかけた直接対決。指揮官はどんなゲームプランと策を準備していたのか。これまでと少し違うこんな指示を伝えて、選手たちをピッチに送り込んだという。

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