いしかわごう
試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(CS準決勝:鹿島アントラーズ戦)
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試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(CS準決勝:鹿島アントラーズ戦)

いしかわごう

11月23日は等々力競技場でチャンピオンシップ準決勝・鹿島アントラーズ戦です。

 試合前日には風間監督の会見も行われ、数十人の報道陣が麻生の練習場に集結。タイトルをかけた戦いの始まりを感じさせる、緊張感ある雰囲気が漂っていました。

 とはいえ、選手に気負いはありません。

練習後に聞くと、「今まで見た中で一番(報道陣が)多いんじゃないですか」と笑っていたのは車屋紳太郎。「練習の時もたくさんカメラが来ていて、注目度は高いですね。プレッシャーはかかるかもしれないですけど、それを楽しむ気持ちが大事だと思っています。あとはサポーターが後押ししてくれるので」と、やはりホーム・等々力で戦えるアドバンテージを口にしていました。


 すでに報道されていますが、復帰したばかりの中村憲剛はベンチスタートが濃厚となっています。コンディションを考慮しての風間監督の判断だと思いますが、こういう大事な試合で中村憲剛がベンチスタートというのは、あまり記憶にありません。

ただ、トーナメント戦での等々力競技場、相手が鹿島アントラーズ、そして中村憲剛のベンチスタート・・・・というキーワードで、記憶の糸をフンフンたぐっていたら、とある試合を思い出しました。

 それは2010年のナビスコカップ準々決勝第2戦です。

・・・・覚えているでしょうか?

中村憲剛は、前日に日本代表選手としてグアテマラ代表戦に出場。その翌日、等々力で行われたナビスコカップ・鹿島戦に中0日の超強行日程での途中出場すると、見事なゴールを決めて、劇的な逆転勝利の立役者となったんです。

 ずいぶんと懐かしかったのと、ちょっと神がかり的な勝ち方をした試合だったので、少しプレーバックしたいと思います。

  アウェイでの第1戦を1-2で敗戦して迎えた第2戦でした。
前半32分に、田坂祐介が待望の先制点をあげれば、そのわずか1分後に鹿島が追いつく。ゴールが生まれる毎に合計スコアとアウェイゴールルールで、両チームが天国と地獄に振り分けられていくという、まさにカップ戦の醍醐味の詰まった展開でした。

 ただフロンターレは、同点に追いつかれたタイミングで、右サイドバック・森勇介が負傷交代。本来ならば、守備の選手同士の交代で一枠を使うところです。しかし当時の高畠監督は「このままでは敗戦なので、攻撃的にいきたいということで、谷口を入れて田坂に右SBをやってもらって、点を取りに3トップに代えた」と、森の負傷交代で谷口博之を入れて、田坂祐介を右サイドバックに配置する采配を見せるんです(田坂祐介はこのときから緊急事態ではサイドバックやってました・笑)。

 後半になってもスコアは動かず、トータルスコアは2-3です。このままだとフロンターレの敗退となる中、63分の場面で投入されたのが、中村憲剛でした。大阪での試合を終えて、当日の朝に新幹線で東京に戻ってきたばかりという、中0日の強行出場。

 入ったポジションは、[4-3-3]のトップ下ですが、プレーエリアは第1戦同様、かなり自由でした。

「ヴィトール、タニが動いてくれていたのでやりやすかったし、自分は止まってボールを受けることができた」(中村憲剛)

 中央で上下動するだけではなく、左右のエリアにも頻繁に顔を出し、攻撃の起点としてアクセントを加え続けていくと、75分、右サイドでボールをトラップした瞬間、小笠原満男から激しく身体をぶつけられ、ファウルを獲得。しかもこれで小笠原は二枚目の警告を受けて退場。試合結果を大きく左右する分岐点となりました。

 すると残り時間、10人の鹿島は、ひたすら守備を固めます。

「ケンゴさんが入ると、縦パスが入るし、横パスからサイドチェンジのボールも多くなる」とは田坂祐介の言葉。徹底して左右から揺さぶり、セカンドボールも拾える展開になると、空いてくるのは真ん中のエリアです。 ジュニーニョが縦に切れ込んだしかけから、こぼれ球に走り込むと、右足を一閃。

「真ん中で構えていればボールがこぼれてくると思っていた」(中村憲剛)

 抑えの利いた低い弾道のミドルシュートを豪快に突き刺して、劇的な同点弾に。これでトータルスコアは3-3。

 ただ、こうなると勢いはフロンターレ。試合終了間際に、田坂祐介が前線にクロスを上げると、競っていたのは谷口博之。

「中にいたのが、空中戦に強いタニだったので、アバウトなボールを蹴りました(笑)」(田坂祐介)

 谷口が競り合いながらも足に当てて落とすと、ゴール前で押し込んだのはヴィトール・ジュニオールでした。

「エリアに入ったら、後ろ向きのタニからボールが出てきた。タニのトラップミスがゴールにつながった(笑)」(ヴィトール)

こうして勝ち越しに成功し、トータルスコア4-3で鹿島に勝利。前年度のナビスコカップでは、ジュニーニョの伝説の3本指シュートで鹿島を下していただけに、またも「等々力の奇跡」が起きた夜だったわけです。

 なお試合後の中村憲剛は、「二日連続は、これまでではじめての経験。コンディションうんぬんではなく、気力だけだった。サポーターのみんなの声が後押ししてくれた。走らせてくれた。最後は等々力の力で勝たせてもらった。何としても勝たなきゃいけない試合で、鹿島から勝利を奪えたのは大きい」と語っていましたが、さすがに疲労困憊していました。

・・・・いやぁ、懐かしいですね。

というわけで、「トーナメント戦での等々力・鹿島アントラーズ戦」、「中村憲剛のベンチスタート」というと、この試合を思い出すことを中村憲剛本人に伝えたところ、「そんなことがあったね。中0日、6時の新幹線で大阪から帰ってきて、そのまま試合に出て、点を取ってしまったんだよね。あのときはまったく動けなかったけど(笑)」と笑っていました。

 今回の鹿島戦がどんな展開になるかはわかりませんが、中村憲剛がベンチにいることで、もし窮地になっても、きっと等々力では何かが起きるはずです。


・・・・驚くかもしれませんが、ここからがプレビューの本編です・笑。ここまで読んだあなたは、ぜひ本編も読んでみてくださいね。

今回のラインナップはこちらです。

1.気になる予想スタメン。セットプレーの意外なキッカーとは?

2.「鹿島の距離感」で守備をさせないための2つポイントとは?

3.「そうすればリーグ戦の鹿島戦とは違う展開になる」。ディフェンスリーダー・谷口彰悟が語る、同じ轍を踏まないための守備の改善点とは?

4.エウシーニョ、エドゥアルド・ネット、エドゥアルド、そしてチョン・ソンリョンの外国人選手4人が語る、大きな試合で大事なこととは?

5.「みんなでひとつになってやろうという雰囲気ができてよかった」(中村憲剛)。練習後、選手だけの円陣で確認したこととは?これは、チームの目と、気持ちを揃えて臨む一戦である。

以上5つのポイントで、冒頭の鹿島戦振り返りも含めると、約8000文字となっております。この大事な試合に向けて気合を入れたい方は、ぜひ読んでみてください。

では、スタート!

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サッカーと将棋をコンテンツ化するフリーランスです。Number Webなどに寄稿。著書は「将棋でサッカーが面白くなる本」、「川崎フロンターレあるある1&2」など。「サッカー脳を育む」、「サッカー上達のためのマインドとメソッド」など中村憲剛の著書の構成も担当。