見出し画像

新装再編版「スラムダンク」を語る〜第6巻:日本漫画史上に残る名言「あきらめたらそこで試合終了だよ」。

今回は第6巻のレビューです。

表紙の考察からいきましょう。
表紙は不良時代の三井寿。アンニュイな表情をしていますね。

新装再編版の表紙イラスト第1弾が発表された時、もっとも反響があったのがこの三井寿のイラストだったようです。確かにかっこいいですし、人気ありますね、ミッチー。

背後には桜木軍団の4人がいて、後ろから三井を眺めて(睨んで?)います。

 どういう意味の込められたイラストなのか、いろいろと考えてみたけど、ちょっとわからなかったですね。

ただ三井襲撃事件における、桜木軍団のファインプレーは欠かせないものでした。桜木のピンチに駆けつけたこともそうですが、バスケ部が廃部にならなかったのは、桜木軍団によるとっさの嘘(自分たちのグループを抜けてバスケ部に戻りたいから、三井とバスケ部を襲撃した)によるものと、それに堀田たちの不良グループが同意したからです。

そう考えると、バスケへの未練を持って思い悩んでいる三井に何かを感じ取っている桜木軍団という構図なのでしょうか。うーん、わかりません。

帯カバーのコメント:「いちばん 過去にこだわってんのは アンタだろ・・・」

宮城リョータが三井に言い放ったセリフです。やはり過去に思いを巡らせて葛藤している三井というイラストなのかなと思います。

 三井寿というキャラクターに関しては、最初はただの不良のつもりで描いていたら、井上先生がだんだん好きになってしまってバスケ部に入れることにした・・・・というのはわりと有名な話だと思います。

 確かに、もしバスケ部に入れるつもりで登場させていたら、もう少し人相とか良くしているはずですからね。もし三井がいなかったら湘北というチームはどうなっていたのか・・・・当初は、桜木軍団の水戸洋平をバスケ部に入れる構想があったなんて噂も聞きますよね。水戸がバスケ部員になってたかもしれません。

 第6巻のタイトルは「湘北問題児軍団」。

三井の過去編が中心で、1年生同士の練習試合で三井がヒザを痛めて入院するんですけど・・・まさかの個室っ!高校生で個室!ミッチー、どう考えても富裕層なんじゃないでしょうか。

お見舞いにきてくれた木暮くんとの会話では、湘北高校に入学を決めた理由として、スラムダンク史上・・・いや、日本漫画史上に残るあの名言が出てきます。

「最後まで・・・希望を捨てちゃいかん あきらめたらそこで試合終了だよ 」

この言葉に救われた人って、いったい何億人ぐらいいるんですかね。それぐらいの名言です。そして最後に、三井と安西監督の再会による「バスケがしたいです」につながります。

 この名場面を読み返して思ったのですが、安西監督というのは、どういう立場の人なのか、意外と謎ですよね。

 初登場時に「たまにしか来ない」と彩子が言っていたので、おそらく放課後だけ来るバスケ部の専属コーチ的な立場なんでしょうな。もし湘北の教師だったら、三井がバスケ部を辞めてからも、さすがに学校内で何度かすれ違ったりしていたはずですから。

 かといって陵南や田岡監督や豊玉高校のように、バスケに力を入れている私立高校で雇われている監督やコーチというほどでもなさそうなので(湘北は公立高校ですし)、ボランティアに近い形のコーチといった立場なのでしょうか。もちろん、全て想像ですけどね。

 三井が加わって、インターハイ予選開始。
一回戦は三浦台戦。村雨が、海南大付属に借りを返すと言っているので、去年はベスト8まで勝ち進んで海南大付属に負けた、ということなのかな。試合中に、海南の帝王・牧が登場して来るのだけど、制服が学ランじゃなくてブレザーだから、本当にただのホスト。

 一回戦突破後、トーナメント表が出ているのですが、陵南のブロックをよく見ると、浜田中央と松元、さらにその下には南原と内村第二がいます。ダウンタウンとウッチャンナンチャンがいるという、ちょっとしたネタが盛り込まれています。

 2回戦は角野戦。
150点ゲームで圧倒していたこともあり、桜木&流川をのぞく一年生トリオのうち、桑田と佐々岡は汗をかいているので、途中から出場したようです(「ラスト1分!」の声を出しているベンチから)。

 なおこの3人の名前は、おそらくスラムダンク連載時(90年代)に活躍したプロ野球投手から来ていると思われます。それぞれ、桑田真澄(巨人)、佐々岡真司(広島)、石井一久(ヤクルト)ね。2年の潮崎はおそらく、潮崎哲也(西武)でしょうな。

 ベスト8まで勝ち進み、次は準優勝の強豪・翔陽との対戦。勢いにのるチームとはうらはらに、退場癖が治らずどこか憂鬱な花道が赤木家へ。

 スラムダンクは登場人物の家族構成がわかる描写がとても少ない漫画で、父親と母親がしっかり出てきたのは赤木家ぐらいです(あえていうならば、沢北ぐらい)。主人公の花道ですら、倒れた父親は生きているのか、母親はいるのかなど、家族構成も最後まで明かされることはありませんでした。

そういう意味では、赤木家の家族団欒は貴重なシーンでもありました。一軒家でそれなりにしっかりした家のようです。ちなみにゴリは北村中出身ですが、晴子は四中出身なんですよね。このへんの違いも少し気になります。

 次の7巻の翔陽戦から、スラムダンクは本格的バスケ漫画として邁進していきます。


ここから先は

0字

¥ 100

ご覧いただきありがとうございます。いただいたサポートは、継続的な取材活動や、自己投資の費用に使わせてもらいます。