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精神疾患は家族の病である

私は家族療法をメインとしている臨床心理士です。

フィンランド発祥の

"オープンダイアローグ"という治療法
日本でも紹介され、筑波大学の精神科医・斎藤環先生などが導入されてから、すでに数年が経ちます。
(詳細は上記リンクをご参照ください)

オープンダイアローグはもともと、統合失調症の治療法です。

精神疾患の中でも最たるもの、というか、
「薬物療法なしには治せない・薬物療法でも一生治らない人もいる」
とされてきた統合失調症が、
薬物治療一切無しで!!!
家族と当人と治療者チームの
対話のみで完治するという、
信じがたいような画期的な治療法が発明され、その効果が実証されてしまったのです。

この情報を私が初めて知ったのは、確か2012年頃だったと思いますが

ま、マジですかー!!!


という驚きを持って受け止めたのを覚えています。

だって、統合失調症といえば
一介の臨床心理士レベルでは対応不能なもの。

入院・薬物治療が不可欠であり、
臨床心理士がカウンセリングをするとしても
妄想などの症状の悪化を防止するため
孤独を防ぎ
生活を整えるお手伝いをする…

…程度の「支援」しか出来ないものだと
これまで思い込んでおりました。

思い込み、思考停止は可能性を潰すのです。


しかし、オープンダイアローグを知ってからというもの、
私は家族療法を自分の専門分野としてきたことに俄然、自信と確信を深めました。
オープンダイアローグは、家族全員の参加が基本です。

やはり、家族の病なのだ。精神疾患は。

やるべきことは、家族の治療なのだ。


ここで、絶対に誤解して欲しくないのは

「家族の誰かが元凶(悪者)で
被害を受けた家族メンバーが精神病になる」

という短絡的な理解をしないでほしい、
ということです。

悪いけどそんな単純な構造ではないので。

家族療法でいちばんネックになるのが、この誤解なんですね。

症状がある「患者」を「治療する」ために、
家族の誰かが土下座して謝らなければならないとか、
罪を背負って贖罪の日々を送らなければならないとか、
無いですからー!


例えるとですね。
身体の病気に置き換えましょう。

誰でも、身体に弱い部分ってありませんか?
例えば、ストレスかかると胃の調子が悪くなります…とか
腰痛になりやすいです…とか。
疲れると扁桃腺が腫れやすいです…とか。

そういう時、
もちろん胃が悪ければ胃腸薬を飲む、腰痛には湿布を貼るなどの対症療法もするでしょうけど、
「最近、無理しすぎてたな」とか
「少し休もう」とか
考えて、
全身的なケアをしようと思いますよね?普通。

この時に、まさか
「胃よ、お前が弱すぎるのが悪い」とか
「心臓よ、お前が強すぎるのが悪い」とか
考えませんよね(笑)。


それと同じことです、家族療法は。

家族というのは、バラバラな個人の集まりではなく、
一個の有機体なのです。

そのため、家族全体に負荷がかかっていると
「弱い部分(人)」に症状ないし問題が
起こります。

ですので、家族全体の負荷が一体なんなのかを考え、全体をケアする、あるいは家族の構造を変えるという考え方が必要になるのです。


この場合の「家族全体の負荷」とは、
身体の病気のように「外からのストレス」とか、あまり単純に考えることは出来ません。

過去の傷、トラウマであったり、家族の歴史に関わることであったり、
さまざまなことが考えられます。


私は個人のカウンセリングであっても、
こうした家族療法の視点からアプローチします。

心理療法には様々な理論があります。
家族療法が絶対だ、唯一だ、と言うつもりはありません。
私自身、家族療法的でないアプローチをすることもあります。


しかし、治療者が心底から信じるアプローチをすることが、クライアントに対し誠実ということだと思います。

日本では家族療法は少数派で、認知度も低いです。
ただでさえカウンセリングを受ける人口自体が少ないのに、その上さらに少数派って、どんだけイバラの道(笑)。

でもね。
薬飲んでるだけじゃ、どうにもならないって、みんな、感じていますよね?


私は、自分が心から信じるものを売るセラピストでありたいです。





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