12星座の話-その5.5:双子座、補足

双子座の話

双子座の支配星・水星の話

に書き切れなかったことをすこし。



この映像に描かれた世界は、とても双子座的です。
互いの共通点を見いだし、そこにコミュニケーションが生まれ、意味が生まれ、不思議な連帯が生まれます。

この映像が大変興味深いのは、「新たに示された共通点」により、新しい分断が生じることです。
「社会的階層」という分断を解消するために、「子供がいる/子供がいない」「いじめられた人/いじめた人」というふうに、新しい分断を用いているのです。
私たちは「融合」する時も、別の「分断」を必要とするものなのでしょうか。
まったく次元の違う分断を持ち出して初めて、最初にあった分断を無効にできる、ということなのでしょうか。

双子座の世界は、どこまでも「新しい分断」を続けてゆくことで、やがて全ての分断を無効にできる、という夢によって動かされているのかもしれません。すべての分断を相対化して、分断をアイデンティティのようなものに転換しようとする衝動を消し去ろうとしているのかもしれません。

死にゆく存在であるカストル、神の子ゆえに不死であるポルックス。
ふたりは死によって分断されていますが、なぜか「双子」です。

ことば、論理、ロゴス。
「理」は「ことわり」であり、割るもの、分割するもの、切り離すものです。
刃物と風の星座には、深い関わりがあります。
言葉もまた、ものごとを切り分ける力です。ことをわける力です。
「私たちは親友だよ!」といったとたん、「親友以外の、それほど親しくない友」が、ふたりの背後に現出します。
「ふたりは親友だよね」という、融合を促す言葉が、言葉の「きりわける」機能により、「親友でない存在」を二人から、きりはなすのです。
料理の名人が鮮やかに包丁を振るうように、ほんものの切断は、そこに新しい融合と調和を生み出します。
切ることによって、つながっていくもの。
私たちはそんな営為を「コミュニケーション」と呼んでいるのかもしれません。