天空に「入る」こと 1/3
エジプトのピラミッドやイギリスのストーンヘンジ、南米のインカ文明、マヤ文明の遺跡。そんな古代の遺跡と、「星」が関係している、という話は、とてもロマンチックだ。
春分や秋分、夏至や冬至、天体の天頂・天底通過など、太陽があるピークのような点に達する時間を、多くの遺跡が空間的に「捉えて」いるらしい。
様々な学説の中には、ロマンティックな想像がゆきすぎて、オカルトチックになってしまった仮説もあるようだ。その気持ちはわからないでもない。一方、慎重な研究の元、信頼に足るとされる定説も多々ある。
太陽の動きは四季を刻み、人間の生活に直接関わってくる。
寒暖はもとより、狩猟採集する植物や動物のようすや農耕の計画など、是非とも必要な「情報」だ。
現代でも「これから寒くなる・暑くなる・雨が多くなる」などの情報は私たちの生活の必需品と言える。
いつから寒くなり、いつが熱さのピークで、いつ頃雨期になるのか、それが知りたい。
古代の人々がそう思っただろうことは、容易に想像できる。
ただ、「生きるために必要・便利な情報を得る」という、実利的な感性だけで、あれほど大きな建造物が構築されたのだろうか。
少なくとも研究者たちは、そうは思っていないらしい。
季節の変わり目などの情報を得るためだけなら、それほど大きな建造物や、大がかりな仕掛けは、特に必要なかったはずなのだ。