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石井理加再生への道⑤


先日、藤尾勘太郎さんの開催する無茶祭の小道具の制作のお手伝いに行った。

藤尾さんとは2022年に広報で入った舞台で初めてご挨拶し(昔からお名前は存じており、藤尾さんと亮子ちゃんのやってる配信ラジオを聞くなどして、一方的に親しみを感じていた。が、お会いすると、何か話して良いか分からず話せなかった)、それ以降も藤尾さんがチラシを作られた公演で私が広報PRで入ることが3回ほどあり、勝手に親しみを感じていた、お話ししてみたい人ナンバーワンだ。

Twitterでお手伝いを募られていて、これはチャンスと思い手を挙げた。藤尾さんの舞台で使うスペシャルな小道具の制作が私にできるのか若干の不安はあったが、好奇心が勝った。私は人に会いたいのである。

当日は私の他にもう1人お手伝いに来た方がいらして、藤尾さんと3人での作業だった。
リーディング作品で使用する小道具(だいたいテーブルの上で使用する物)を、ある特定の資材で作っていく。
「これがこうなったら可愛いんじゃない?」
「あ〜、この蓋が取れたら可愛いかも!」
藤尾さんは可愛いを連発する。
その可愛いは、いわゆる「可愛い」とは少し違う。
ポップさ、愛らしさ、愛嬌。
佇まいの上品さ、気取らなく、親しみやすいけど、揺るがない軸がある。
そんなイメージだ。


「石井さんは◯◯を作ってください!」と言われ、恐る恐る、えんぴつで紙に下書きを開始した。

こういう作業、普段ならパソコンでやってしまう。
作成するものの写真をネットで探してきて、サイズを調整して、イラレのシェイプ機能でトレースする。
今回は実物の写真をスマホで見ながら、鉛筆で紙に書き出す。
実物だとこれくらい?でも舞台で使うから少し大きめ?太すぎる?でも、ちょっと太いくらいの方が可愛い?
手描きで描くことにも自信がないし、公演で使う小道具出だし、このまま進めていいのか不安でいっぱいだった。

「こうすると可愛いかも!」
藤尾さんが閃く。
私が作ったものに、藤尾さんが手を加え、仕上げることになった。
よし、その土台なんだからとにかく作ってみよう。勇気が出る。
勝手に背負い混んでいた肩の荷が下りて、急に楽しくなってきた。

作業は思ったより早くできた。
フリーハンドで描くことは慣れておらず、抵抗感があったが、やればできるし、出来も悪くなかった。
とても可愛くできた。
普段、こういう作業をデジタルでやるのは「トレースすれば出来上がる」という答えが見えて、確実に出来上がるという安心感があるからだと気づく。
それはクリエイティブではない、作業だ。
自分の技術力に対する不安、自分に作れるだろうかという不安、そして早く完成させて安心したいという急ぐ気持ち。
不安に支配され、完成を急ぐあまり、無難で差し障りのないデザインばかり作っている、最近特にチャレンジしてないなっていうことに気づき、ハッとした。

ひとつ目の小道具が無事に上手く作れたらので、そこから勢いを増して、2つめ、3つめを作る。
自分、フリーハンドでも描けるんじゃん、できるじゃん!と気をよくして、どんどん作業を進めた。

藤尾さん、もう1人のお手伝いにいらしていた方との雑談も楽しかった。
小道具、美術をこうしたい、ああしたいと話されていて、無茶をすることを楽しんでいて、溢れるエネルギー、ポジティブでクリエイティブなパワー、藤尾さんはキラキラしていて、素敵だった。

良い1日だったな、とほくほくしながら帰路に着く。
人と作業するの楽しいな。
藤尾さんのエネルギーすごいな。
主宰して、誰か手伝って〜って言えて、手伝いたい!って人が集まってくるってすごいな。(翌日、翌々日もお手伝いの人が来ていた)
なんて魅力的な人なんだろう、どれだけ思慮深くて、どれだけの手を動かしているんだろう。
興味、尊敬が尽きない。

後日、SNSで稽古場の写真があがっていて、私が切り出したシャンパンボトルや、グラスが使われていてホッとする。(使い物になって本当に良かった…!)

公演は21日から。観に行くのがとても楽しみです


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