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家族のゆくえは金しだい

お金に関する思い出

幼少期、両親はお金のことで揉めていた。
父は結婚当初広告代理店勤務、母は自動車のキャンペーンモデル。
昔の写真には、若い父と母が寄り添って笑っている。
母の父親は代々医者家系、母の母親は当然ながら医者との結婚を勧めたが、それを押し切って結婚した。

父はサラリーマンだったが、無類の料理好き。
会社帰りに調理師学校に通っていた。サラリーマン全盛時代に、残業や周りに合わせることなく、我が道を貫いているのが当時から窺える。
程なくして、上司とソリが合わなくなった父は、退職。
都内に小さい飲食店を開業する。
私が幼稚園の頃だった。

今でも覚えているが、レストランの手伝いに母も当然のことながら駆り出された。
そんなとき私と三つ下の弟は、レストランの物置のようなスペースに折り畳みパイプ椅子が2つだけあって、そこでずっと待っていた。
当時どうやってその空間で待っていたのかもう思い出せない。

またあるときは、夕方から自宅に私と弟二人だけで留守番させられていたこともあった。私も小学校一年生ぐらい。ビデオを見ていいと言われていたけれど、外が次第に暗くなっていく中で弟と二人で過ごすのは怖くて悲しかった。不安だった。
それももう詳細なことは思い出せない。

飲食店というのは忙しく、そして普通にしているだけではもうからない
そういう印象しか私には残っていない。

父は「小金持ちは嫌いだ」とよく言っていた。
父のことで母の実家からよくお金を借りていたようだが、父が頭を下げたのか、母が工面したのかよくわからない。
多分父が頭を下げたことはないのだろう。
父から母方の実家への感謝の言葉を私は聞いたことはない。

父からしてみれば医者に負けずに見返してやりたい、そのためにはサラリーマンではダメだということだけはわかっていたようだが、ビジネスの才覚にも、人格にも恵まれていなかった父が、その夢を叶えることはなかった。


未成熟な親の特徴の一つ

ありがとうといえない。
ごめんなさいといえない。
この二つに当てはまるのは毒親の気配がすると言っても過言ではない。

どんなに悪くても
言い訳を並べて、謝ろうとしない。
悪かったと思っているだの、言葉数が多くても、
大切な一言が言えなかったら意味がない。

父はありがとうもよっぽど出なければ言わないし、自分が悪くてもほぼ謝らない。そして母も同じだ。
二人に共通するのは「自分は悪くない」そう思っていることだ。
お互いに悪口を言い合って、ストレスを溜めて暮らしてたが
今思えば、本当に二人はお似合いだ。
それ以上素敵な人と出会えるはずもなかったのだ。

お金さえあれば?

私にお金さえあれば
母をここまで嫌いにならずに
距離が取れたのだろうか

家族にお金さえあれば
どんなに性格が悪くても
ごめんなさいもありがとうが言えなくても
諍いにならずに済んだのだろうか

現時点で思うことは
お金でほとんどのことは解決できる
だからあればあったほうがいいと私は思っている。

合わない親は高級老人ホームに入ればいいし
お手伝いさんを雇えばいい
代行業者もあるからそれで解決することもできる

ただお金で唯一解決できないのは
自分の心の傷だと思う
それは自分が親と向き合い
親の呪いを自ら解くしかないからだ



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