お別れの後
株式会社石黒金属製作所の犬が亡くなって寂しい北山です。東大阪市で製缶、鈑金、溶接業をしています。
前回の続きで、両親がペットロスになってしまい、孫を連れて実家に行っても、息苦しく、ふと間ができるとぐすんぐすんと泣き、父親は野球中継を観ているかと思っていたら、どろーんとどんよりした顔になり虚空を眺めていました。今年好調の阪神タイガースを観ても心ここにあらずです。
母親は相変わらず小さい白い犬の人形を連れています。しまいに父親は犬の入っていた小屋に顔を突っ込むようになり、犬のにおいがするかもって言ってました。
やはり、廊下、庭、布団、トイレ、どこにいても犬の面影が顔を出してきます。それは確かにとても辛いです。庭で白い花が揺れたら、前の犬も白いマルチーズだったので、そこにいるような気がすると言っていました。
奥さんや姉の家族や色んな人と相談して、もう荒療治ではありますが、もう一度犬を飼うしかないと言う結論になりました。
正直僕も、悪い言い方をすれば替えの犬を連れてきたとうつるのが辛いですし、前の犬のことを上塗りする様で気がすすまないところもあります。
それでも、犬がいなくなって、犬がいてくれる生活は幸せなんだとつくづく思いました。犬がそばにいてくれて無邪気に遊んでいたり、触ったときの肌の感触、一緒に団らんの時間を過ごすのは、とても幸せな時間なんだと。
両親は悲しみに暮れ、犬をまた飼うなんて頭にこれっぽっちもなかったとおもいます。
姉と相談して、両親に黙って犬を探すことにしました。両親が断った場合は、姉の家族が飼うと言うことになりました。自分達のしていることは正しいことなのかわかりませんでした。
生命の大切さを軽んじてないかモヤモヤしてしまいます。そこのところも無責任にならないように、相談に相談を重ね、迎え入れる犬を大事にしようと話し合いました。
というか、正直もうワンちゃんにきてもらうしか、僕たちに人間にできることはなかったんです。
姉の家には、実家と同じ犬種のマルチーズを飼っています、姉の勧めで、マルチーズを購入したお店で探すことにしました。
結果的に小型犬、性格が穏やかなど考慮し、選択肢を絞りました。
姉はもしかしたら自分が飼うならマルチーズが良いと言っていたのですが、亡くなった犬と同じ犬種を連れていくことは、前の犬の記憶を上塗りしかねないので、やめておこうと言いました。
色んな犬種をみて、どの子も可愛く、もうクタクタになり決め切れなくて困っていたところ、うちの奥さんがふと、あの子どう?って言いました。
黒いチワワとプードルのミックス犬の子がいました。黒くて小さくて、マルチーズの子の横のゲージに入っていたのに今まで気付きませんでした。
顔も可愛く、小型犬で性格も穏やか、そして色が黒くて、マルチーズと真反対なので、思い出を刺激しないだろうということもあり、意気投合し決まりました。
いや、単純に可愛かったんです。可愛くて皆が気に入ったんです。
実家では、両親は相変わらず悲しみに暮れ、もう悲しみの海に溺れて酸欠状態の日々を過ごしてました。その間こちらは両親に悟られないように、姉の家族と集まり話し合いの日々でした。
この頃やけに姉の家族と集まっているねと母に言われましたが、なんとか誤魔化して切り抜けました。
渡して断られたらどうしようとか、めちゃくちゃ怒り出したらどうしようとか、色々考えましたが、自分の両親は絶対に犬を大事にするという何故かわからないですけど、確信めいたものがあり、四十九日が終わった後に渡すことにしました。
ふふふ、父よ、母よ、そんなしなびた茄子みたいな顔してるが、そのうちめちゃくちゃとびきり可愛いワンちゃんがくるんだぜ?何も知らないでそんな泣きまくってさ、ふふふ、ははは、
また長くなったので、続きます、すみません。
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