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本当のお父さんは、マイケルジャクソンだよ

株式会社石黒金属製作所の北山です。東大阪市で製缶、鈑金、溶接業をしています。

部屋を掃除していると、壊れたキーホルダーが出てきました。壊れたキーホルダーは、昔に友達からもらったディズニーランドのお土産で、マイケルジャクソンのキャプテンEOというコッポラ監督の3D立体映画のものです。

僕の誕生日がマイケルジャクソンと同じで、マイケルジャクソンが亡くなった年くらいに、ディズニーランドでリバイバルしていたみたいで、その時のキーホルダーを僕にくれました。

キャプテンEOのキーホルダー

このマイケルジャクソンのキーホルダーを見ていて、次男とのやりとりを思い出しました。

今8歳の次男が、幼稚園の年中くらいの頃4〜5歳くらいでしょうか、年齢の割に口が異常に達者で、何か注意しても、「パパに言われたくない!人に言う前に、自分はできてるのか?うるさい!黙れ!フン!」と言った感じで僕も言い負かされることもあり、日々手を焼いていました。

幼稚園では非常に良い子らしく、家ではこんな感じなんですよと、先生に相談しても、逆に信じられないと言ってゲラゲラ笑われて、相手にしてくれませんでした。

そんなある日、いつもの様に口ケンカになり、あまりに腹が立ったので、「お前は実はパパの本当の子供ではない!」と言ってやりました。

ショックを与え、実の子ではないというトラウマ体験を経る事で、後からやっぱり実の子だったというオチを話して、その安堵から、お父さんもお母さんも大切にしようとなってくれるであろうという作戦でした。

すると次男は、「じゃあ誰の子なんだよ!」と聞き返してきました。僕は一瞬戸惑いましたが、自分と同じ誕生日のマイケルジャクソンが急に頭に浮かんできたので、咄嗟に「お前の本当のお父さんは、マ、マイケルジャクソンだ!」と告げました。

4歳か5歳の子供に「お前の親父はマイケルジャクソンだ!」と言っても、「マイケルジャクソンって誰だよ!」ってなるので、このキャプテンEOのキーホルダーが自転車か何かの鍵についていたのを思い出し、「ちょっと待っていなさい」と言い、ゴソゴソとこのキーホルダーを取り出してきて、次男に見せました。

「お前の本当のお父さんは偉大なポップスターだったが、もう死んだ。お前が物心ついた頃に、この写真入りキーホルダーを渡してやって欲しいと頼まれていたんだ。まさか今日がその日になるとはな」とか何とか勿体ぶって言ってやりました。


じっとみると、形見っぽい雰囲気があります

次男に手渡すと、神妙な面持ちでしばらくじっとみていました。次男は「嘘だ!そんな訳ない!」と言いますが、「お前は本当のお父さんと同じで、髪が少しくるくるしている」と言ってやりました。

そんなことないとかなんとかぶつくさ言ってましたが、顔つきから少しは効果あるのかなぁと思いながら、もうひと推ししてみようと思いました。

それから僕は、「本当のお父さん、マイケルさんのミュージックビデオ観るか?」と言い、YouTubeで、マイケルジャクソンのスリラーのビデオを観せてみました。

次男はじっと観ていました。内容も少し怖い感じのビデオなので、しばらく真剣に観ていましたが、途中で「絶対違う!顔が似てない!全然違う」などと言って観るのをやめました。僕は「さぁ、どうだろうな、くっくっく」とかミステリアスなコメントを発してやりました。

観終わってから、またキーホルダーをじっとみて、絶対違う!と言って、キーホルダーを投げ捨てました。

少し可哀想かなと思い、次男の顔を見てみたら、ふてぶてしい表情を浮かべて信じてなそうだったので、そのままにして寝ました。

それから数日経って、普通の日々を過ごしていたある夜、布団で一緒に寝ている時に、次男が「ねぇ、マイケルジャクソンは本当のお父さんじゃないよね?」って聞いてきました。「おぉ、その事本気にしてたのか、違う違う、だって全然似てないやん!君はパパとママの子だよ」と僕は言いました。

すると次男はホッとした顔をしていて、なんだ次男も子供っぽいところあるじゃないかと思いました。なんか悪いことしたなぁと僕も反省しました。

それからは、マイケルジャクソンが本当の親じゃないとわかった安心感からか、マイケルジャクソンの曲を一緒に聴く様になり、その流れから昔の空耳アワーの動画を観せて、2人でゲラゲラ笑っていました。

「パン、茶、宿直」とか、「朝からちょっと運動、表参道、赤信号」とか。

8歳になった今もたまに喧嘩すると、本当のお父さんに会いに行けよ!って言ってやりますが、今では何言ってんだよって感じで、鼻で笑われます。

成長してるぜ。


https://ishigurokinzoku.jp

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