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農園の話

日に焼ける体験

先回述べました「下之一色」の強烈な体験の数々、中でも、普段の生活(食住)と生きるための営み(蒲鉾作り)が重なり混じり合う町屋での日常。それを語ることなく、蒲鉾作りに家人が黙々と動き働く様は、今への思索の導火線になっています。

また「作庭の話」の章では、自身の農園での営み観を述べました。農園での営みの中で、夏の湿潤モンスーンは、生命の旺盛な成長を促します。下草、雑草と言われる草花(なかなか可愛いのですが)も例外ではなく、彼らは、他の植物の成長と根の広がる範囲を楽々と越えてその勢いを拡大します。
従って、雨上がりに根を抜く草取り、もしくは球根ギリギリの所で葉と茎を取り除き光合成を防ぎ、球根の成長を押さえる作業は必須となります。 (ちなみに宿根草でも年々その成長は地中の養分を摂る植物と土との関係上衰えます。その為、葉を結び光合成の養分を余分に葉に行かず球根に行くようにします。先の例と反対の事をするのです。植え替えすることなく水仙に効果的です。)
また根を抜き易くするため、地表を他のツタ性植物で覆い(アイビー等)ます。その隙間から伸びた雑草達は光が十分に届かない為、根の張りが弱く、抜き易くなります。

こうした事を当たり前の如く、梅雨前線から秋雨前線(夏の中での季節の変わり目)の間の作業として樹木の剪定と共に、黙々と世界を感じ動き働くのです。自らの行為が自然(じねん)(おのずから、しかり)を感じながら、一年のリズムを作るようです。それは、自然(しぜん)のリズムでもあるようです。

こうした農園環境の中に、仕事場や生活の場を重ね、混じり合うようにしてきました。この約30年余の体験、それは下之一色での、町屋体験が、導火線となっていると思われます。下之一色、○○農園は、まさに日に焼ける営み体験なのです。


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