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ヌーベルミューズトーク、ことはじめ。ことのことを少し知る。 - - 箏について

二十五弦箏とシタールとタブラのバンド「ヌーベルミューズ」で、トーク番組をやることになった。流行りのライブ配信である。前々からバンドとしての動画配信を視野にいれていこうという話は出つつも後回しになっていたところだが、とりあえず何でもいいからスタートしてしまおうと背中を押されたのは、コロナ禍があったからかもしれない。緊急事態宣言発令からちょうど1ヶ月、5月8日のことである。

さて、今やライブ配信アプリはたくさんあるけれど、ことはじめとして、まずは気軽にできそうな「インスタライブ」で試してみることにした。
特に何も決めずにスタートしたのだけれど、とはいえ、いきなり個人的な話をする放胆さはなく、日常のひとこまを魅力的に話す技術も持ち合わせていない。雑談がしばらく続けば、これを聞いて誰が楽しいんだろう・・と自己批判が脳内でささやかれる。汗。

そうして案の定、音楽、特に日本の音楽とインド音楽の対比をベースに話を展開させていく流れに落ち着いた。当面はこれでいくのだと思う。

初回配信は、3月28日に無観客で開催したコンサートの振り返り、そして2回目、3回目の配信は、ヌーベルミューズの楽曲「SAKURA」をテーマにトークをした。

前半1/3だけアップしたので、是非ご試聴ください。

この曲は誰もが知っている日本古謡「さくらさくら」をもとに井上憲司氏のアレンジが加えられて、後半はインド音楽的アプローチが多用される展開となる。基本的に楽譜通りに演奏されるのだが、曲中、箏とタブラのいわゆる「どソロ」があって、その部分は各奏者の創作に完全に委ねられている。(どソロって俗語?合っている?伴奏がない完全な独奏になるソロのこと。ちなみにインド音楽の合奏の場合には、ソロは伴奏がある上で行う形式なので、どソロをやることはほぼない)

数回のトークで、箏のソロパートの創作秘話を聞けてとても面白かった。公演前はメンバーはずっと一緒に時間を過ごしていたので、私がパソコンを開いて公演パンフレットのデザインとかをしている横で、千絵子さんはソロの創作をしていたそうなのだけれど、どうやって創っていったか、そしてどんな葛藤があったかなんて改めて聞く機会もなかったから。
千絵子さんはブログにも書いているので、ぜひ読んでみて欲しい。

みんなが知っている「さくらさくら」のちょっとしたアレンジバージョンから、それがわからなくなるくらいに壊した前衛的なバージョンへの変貌。 
3オクターブ半あるという二十五弦箏の広い音域を最大限活かした、低音から高音へのジャンプ率が際立って、かっこいいな〜と思っていたけれど、それだけじゃなかった!

日本音楽でありがちな構成の和音(たとえば4度)ではなく、あえて西洋音楽でありがちな和音(3度)を使うことで、閉塞感からの脱却をはかったのだという。
これは、なかなか不思議で面白い。箏曲での協和音と西洋音楽での協和音が違うということか?
 

しかし、「インド音楽には和音の考え方がないんですよ」って言ったら、「え? ええ〜?? そんなことある??」と、驚かれてしまった。まあ例えばタンプーラが P-S-S-S と主音と属音、あるいはそのラーガを特徴付ける音を鳴らし続けているのなんかは、和音に聞こえるけれど、それだって実際は同時に鳴らしてるわけではないし、コードで奏でられるようなことは普通はない。(最近の奏者が前衛的な手法として一瞬取り入れるというのはたまに聴く)

そんなこんなで、さっそく、音楽文法や用語の違いを実感しながらひと盛り上がりするトークが繰り広げられた。
二十五弦箏という現代の様々な音楽を奏でられるように改良された楽器を使い、日本の伝統音楽をベースにしつつも西洋音楽理論をより積極的に取り入れている小澤千絵子さん。これからのトークに、期待に胸を膨らませている。

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ヌーベルミューズ公式WEBサイト


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