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ホーリーに、春の色を塗りたくる。(インド修行の思い出)

ishiori

春(または夏)を祝う

「ハッピーホーリー!!!」
「ホーリー ハイ! ホーリー ハイ!!」

外からハイテンションなあいさつや掛け声やどこからともなく聞こえてきます。
ホーリーの日は、朝から賑やかです。

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ホーリー Holi は、別名ヴァサント・ウットサヴ(直訳で「春まつり」)とも呼ばれるように、「春の訪れを祝う、カラーフェスティバル」として知られています。
が、私的には、いやいや、これって「夏の訪れ」では?と毎度思っていました。

ベンガル歴を見てみましょう。

大きい数字で書かれているのがベンガル日付。小さい数字で書かれているのがグレゴリオ暦の日付です。ひと月が30〜31日というのはグレゴリオ暦と同じだけれど、月の区切りが半月ずつずれているといった感じです。 

ベンガル歴では季節を6つに分けています。
春(ヴァサント)Falgun - Choitro
夏(グリッシュモ)Boishakh - Joishto
雨季(ボッシャ)Ashar - Shrabon
秋(ショラット)Vadro - Ashwin
乾季(ヘマント) Kartik - Ogrohayon
冬(シット)Poush - Magh

春(ヴァサント)は、ファルグン月(2月半ば〜3月半ば)とチョイットロ月(3月半ば〜4月半ば)のふた月とされています。

一方、ホーリーは「3月の満月の日」に設定されるので、年によって3月頭だったり、3月末だったりします。いずれにしても、春(ヴァサント)も ''たけなわ'' の時期ですね。
どうも、本来ホーリーは「ファルグン月の満月の日」に設定されていたので、ファルグン月の頭、つまり2月の半ばになる可能性もあって、それなら確かに春(ヴァサント)の訪れですね。

実際は、体感的には日本の春のようなポカポカ陽気は2月だけであっという間に過ぎ去り、3月には30度を超えてくるので、ホーリーの頃には「夏が始まった!」と思うのです。

なぜ色粉を撒くのか、聞いてみた。

さて、春の訪れかどうかは置いておいて、ホーリーはなんといっても、カラフルでハッピー&クレイジーなお祭りということで世界的にも有名です。

数日前から、道端に突如「色粉屋さん」が出現して、なんとも激しい色の粉や、水鉄砲などが並びます。

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ホーリーは、クリシュナ神とラーダのラブストーリーに由来するお祭りとも言われていて、二人が色粉をかけあって楽しんでいる姿が表現されたりもします。

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が、これは後付けでしょうね。もっと古来生活に根ざした由来がありそうなので、何人かのベンガル人に尋ねてみると、「そんなの知らないよ」と言われるかなと思っていたのに、意外にもいろいろな答えが帰ってきました。
真偽の程は分かりませんが、もっともらしいものを2つ紹介します。

① 病気の予防に
一説では、暑い暑い夏に向かう季節の変わり目に、強い日差しにやられたり虫が付いたりして皮膚病になるのを防ぐため、あるいは他のさまざまな病気の予防のために、植物から採った粉を全身に塗っていた風習があったとか。

なるほど。ありそうです。
私は、毎回日本からインドに到着すると、急な暑さに皮膚が耐えきれずアトピー肌が一時的に悪化するのだけれど、そんな私を見て、たくさんのインド人から、植物の粉やペーストを塗ることを勧められました。
 
例えば、ターメリック。つまり、黄色い粉。
ターメリッククリーム 「Vicco cream」 も肌荒れ対策の定番です。

ニームの葉を煮出してペーストにして湿布する処方も教えてもらって、塗りたくっていました。ニームは万能なので、緑色の粉としても売っています。
他にも、さまざまな色の植物が治療に使われています。インドにはアーユルベーダの叡智がありますから。 

しかし!ホーリーで飛び交う色粉は、かなりケミカルな色をしていて、とても皮膚のために良いとは思えない・・・というか、むしろ最悪でしょうね。

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ORGANIC INDIAのナチュラル色粉が売っていたのを見つけた時は、即買いしました。
『SAFE & NATURAL !!!』
「私にはこれを塗って!」と言いたい!、、、まあ有無を言わさず毒々しい色を塗り付けられるんですけどね。そうですよね。

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最近では、さすがに人体への影響が問題視されて、ナチュラルな粉を使いましょうという動きもあると新聞で見ましたが、なかなか難しいのではないでしょうか。

 

② 悪霊退散に
一説では、収穫期に、盗人や邪気を追い払うために、泥や糞尿を投げつけるように撒く風習があったとか。
地域によっては、魔除けの赤い粉だけを撒くところもあるそうで。

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これを聞いてピンと来るものが。
そう、節分の豆まき、ですよね。
季節の節目に、邪を払い福と春を呼び込むために豆を撒く・・・これには共通のものを感じます。

ちなみに、インドでは冬〜春が収穫期らしいです。夏は暑すぎて、雨期や乾季はハードすぎて、限られた種類の野菜しか店に並ばないようです。


コルカタでのホーリーの様子をレポート。

下宿先のエリア、プルバロックで迎えたホーリー(ドール)の様子をレポートします。
(写真は、何年か分のが混ざっています。)

コルカタでは、ホーリー(Holi)より、ドール(Dol)とかドールジャットラ(Doljatra)という方が一般的で、日にちも1日前に行うようです。

朝から、至る所から「ホーリーハイ!」のテンション高めな掛け声。ベランダから見てると、すでに粉まみれの友人たちがやってきました。
「11時を過ぎると危ないから!」と、早めにスタートしたとのこと。日差しが強すぎてね、、3月はすでに夏なのです。

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家のホストのおばあちゃんから、
「いらない服を着ていくこと」
「携帯はプラスチックバッグ(スーパーの袋)に入れていくこと」
など注意を受けていると・・・
「おーーい、はやく、降りといで!!」とか、やんややんやと叫んでいます。

それで、下に降りていくと・・・
「ハッピーホーリー!!」、そしてたくさんの手が伸びてきて、あっという間に粉まみれ。

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お掃除の仕事が終わって家を出たところの、メイドサーバント(お手伝いさん)のリタも。

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みんなにお菓子を食べさせようと出てきたおばあちゃんも。

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1階に住む、いつも厳しい顔の、大学教授のディディも。

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みんなあっという間に粉まみれ。
そして「ハッピーホーリー!!」の祝福です。

そのあとは、輪に加わり、みんなで近所を練り歩きます。

出会ったが最後、色粉まみれにされます。
まあ、みんな、迎えに来るのを今か今かと待っている感じですかね。
そして練り歩き集団に加わります。
ゾンビ?!

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子どもたちは色粉を水に溶かして水鉄砲で狙ってきたりしますが、これがタチ悪い。粉ならすぐ落ちるけれど、色水は肌に染み込んでなかなか落ちないですから。

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水遊びは子ども達だけかと思ったら、大人もですねっ。
みんな無邪気に遊びます。

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集団の人数がいつの間にか増えたり減ったりしながら、ひとしきり練り歩いた後、記念撮影。

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それまで知らなかったのに、ホーリーを機に仲良くなったご近所さんもたくさんいます。

粉を塗りあったり、ひどい顔を笑いあったりして、とにかく、人と人との距離感がグッと近くなるイベントなのです。

  

途中で師匠のところにも寄り、ご挨拶します。
ホーリーの時は、全員が無礼講の雰囲気になって、老若男女文句言いっこなしに色粉を塗りたくり合うものですが、、とはいえ、師匠の顔に色粉をつけたりするのはさすがに、さすがに、無理です。
足に点付けをさせていただき、おでこに点付けしていただき、祝福をいただきます。

ひととおり遊んだら、家に帰ってシャワーを浴びてきれいにします。粉はほとんど落ちますが、汗をかいた部分は染まってしまっています。

夕方には、きれいな服に着替えて、ホームコンサート会場へ。
師匠の家の近所一帯は音楽家や芸術家、兄弟子たちも多く住んでいるので、特別な日には必ず音楽プログラムが企画されます。
ホーリーの日は、近所のフラット(アパート)の屋上に即席会場を作っての、手作りコンサートです。

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この時期にしか聴けない春の歌やホーリーの歌をたっぷりと聴けるのが嬉しい。
ラーガ・ヴァサントを堪能。
ホーリー定番のラビンドラサンギート(タゴールソング)は、
「Tomar Khola Hawa」
「Fagun Hawai Hawai」
「Basant eshe gechey」
「Ore griho bashi」などなど。

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師匠もご来場。

コンサート後には、近所の奥様たちが共同で用意してくださった家庭料理のプジャめしをいただきます。

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ホーリーの日も、ベジメニューです。
クリシュナ神に配慮してか、はたまたベジの人に配慮してか。
嬉しいですね。美味しくいただきました。


インド国内を見渡せば、ホーリーの楽しみ方は州によっても違いがあるし、また同じ地域でもコミュニティによってもそれぞれですが、とにかくハッピーなお祭りです。

この日にイライラしている人なんて、多分いない。
悲しい気持ちだってこの時ばかりは忘れる。
人と人が触れ合い、許しあい、笑い合う。

ここに、なぜ今でも色を撒くのか、の答えがあるようにも思いました。
ぜひ体験して欲しいなあと思います。


※コルカタ滞在中の日記を織り交ぜつつリライトしました。http://ishiorin.blog24.fc2.com/blog-entry-265.html



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インド音楽の演奏をしたり、日本画を描いたりしています。 インドリズムサークル「taalmandali」 アート&デザイン「Studio Siwun」 ishidashiori.com