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5百円でも5万円でも

「いつもどこで服買ってるんですか?」
「○○!? ○○の服って高いですよね? 高い!」
「私、服は500円くらいで買いたいんですよ」
「□□(この辺りの地域)では安く買ったことの方が自慢になるんですよ」

……ということがあった。

服をどこで買っているか聞かれ、その日着ていた服がどこのものか答えた。ちなみに○○は百貨店に良く入っている(いた?)タイプのお店です。値段のことは大変難しい話ですが、量販店よりは高いかもしれないけれどもお洋服としては決してそこまで「高く」はないお店です。そもそも上を見たらキリがない世界やんけ。

なぜか上記の会話で大変打ちのめされた。
奇しくもGUCCIのバッグを購入した次の日の出来事であった。
ワイは昨日ブランドのバッグを買ったど。
とは、口が裂けても言えない。

私は前述と同じ人に、以前「そんな綺麗な服着て来なくていいんですよ」と言われたことがあった。そんな綺麗な服着てませんのよ。
また、ネイルに対して「女子力だ~!」と言われたこともあった。うるせえですわ。あともう女子じゃねえですわ。

上記の台詞たちから私が感じたのは
「身なりにそんなにお金や手間をかけるなんて……!!」
という彼女の価値観と、それに基づいたやや批判的なこちらへの視線だった、と思う。

実際のところ本人がどういう気持ちで言ったのかは分からない。
なんとなく気に入らないとか、実は私がとてつもなく浮いた格好してるとか(糖衣のつもりなのに!笑)、あとまぁ、私のことが好きじゃないとか、理由は色々あるのかもしれない。
ちなみに私は普段特別おしゃれなわけもなく、ネイルがボロボロのときもしょっちゅうあります。TPOは別に外してない、と思う。


それにしても……上記の件とは別に、「人間中身が大事。見た目を気にする奴はバカ」とか「ブランドバッグを持ちたがるなんて浅はか」とか「ネイル? 他にやることないんか」とかさ……誰もここまで酷く言ってないかもしれないが、世の中にはそういう価値観もあるなあと、その「空気」をもわっと感じることってある。

私はバッグを購入するとき、純粋な金額の問題とは別に、「身の丈に合ってないのでは?」という漠然とした不安があった。それは「庶民がバッグだけブランドもの持ってなんの意味があるの」という、知らず知らずのうちに刷り込まれた価値観から来るものだったように思う。
購入するには自分の中にあるそういう制限を外す必要があった。

買ってみたら、なんというか、世界が広がった気がした。
(でもまだバッグ持ってお出かけしてない)

素敵なバッグが手に入った。それと同じくらい、買うこと自体に意味があったのだと思う。そういうことは、実際に買うまではあんまり分かっていなかった。
最後に突き付けられるのは値段ではなく、それを「自分のものにするか、しないか」という決断だけだということも。

でももちろん、値段を無視できないことも分かっているのです……。少なくとも私は値札を見ずに買うことはできません。あと私が買ったバッグも、「高価」と感じるか「屁でもない」と感じるかは人それぞれでしょう。

ただ、自分が「良い」と思って選んだものを身に付けるのは、とても心地良い。
それだけは事実なので、私は今後もそこに真剣に向き合う所存であります。


冒頭の会話から一晩経った後で、自分はあのとき、服の話をしたかったんだなと思った。
そもそも話を振ってきた人は「家族に服をプレゼントしたい」という前置きの上で、私がどこで服を買っているのか聞いてきたんですよ! 服の話になると思うじゃないですかー!!!
でも実際は服の話ではなくて値段の話になってしまって、それ以上何も言えなかった。それが悲しかったんだ。

私は自分が好きで選んだ大切な服をこれからも着るよ。

5百円でも5千円でも5万円でもいいから、お互いの好きな服の話ができたら素敵だったのにね。

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