【論文メモ】Alignments between strategic content and process structure: the case of container terminal service process automation (Wang et al., 2017)

1. 概要

荷役設備の技術的な進歩はコンテナターミナルのオペレーションの自動化を可能にした。一方で、ターミナルの自動化の普及にも関わらず、それによる利益を理論的に検証したガイドラインはほとんど存在しない。

本論文では、戦略的コンテンツとプロセス構造が連携しているかに着目することで、ターミナルの自動化について分析した。20のコンテナターミナルのケーススタディを行った。

2. メモ

・国際的なコンテナトレードの急速な成長により、国際的なサプライチェーンにおけるコンテナターミナルの役割がより戦略的なものとなってきている。

・製造業において自動化は柔軟性と効率性の両方をエンドユーザーに与えるものとされ、物流業界などのサービス業においても効率向上のために自動化が進められた。

・一方で、全米二位の医薬品卸売業者であったFoxmeyerは1996年に新しい基幹システムと高度に自動化された流通センターに50億ドルの投資を行ったが、この投資は失敗に終わり、後に同社は8億ドルで売却されることとなった。

・ターミナルにおけるコンテナ荷役はWaterside Operation, Yard Operation, Landside Operationの3つのプロセスに分類される。

・施設のレイアウトやデザインは自動化のレベルに大きな影響を与える。

・港湾は、International Gate(取り扱い貨物の65%以上が輸出入される、Gate)とTransshipment(取り扱い貨物の大半が再発送される、TS)という2つのマーケットポジショニングにより分類される。

・取扱量の増加や地域間の競争に面しているターミナルの自動化への主な動機は、オペレーションの総コストを下げられることである。

・流動性が高いマーケットや取扱量の不安定さに直面しているターミナルにとってはマニュアルオペレーション(低程度の自動化)の方が良いことが分かった。

・一方で、比較的安定的なマーケットと取扱量があるターミナルは、高度な自動化によりオペレーションの方が良いことが分かった。

・海運会社や陸運業者と密接な関係を構築しているターミナルオペレーターの方が自動化を進める傾向にある。

・ハイブリッドもしくはTSの港湾が最も自動化システムを導入する傾向にある。一方で、柔軟性を重要視するターミナルはマニュアルオペレーションを維持する傾向にある。

・いくつかの港湾は「自動化したターミナル」を自らのブランドとして活用している。

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3. 出典

WANG, P., MILESKI, J. P. & ZENG, Q. 2017. Alignments between strategic content and process structure: the case of container terminal service process automation. Maritime economics & logistics, 21, 543-558

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