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VTuberから初めて『推し』という概念を知った日

ゲームやアニメで好きなキャラは居たとしても『推し』というほどではない。
ゲームの好きなところはゲーム性と世界観。アニメは作品の演出と物語をメインで見るのでキャラ単体を好きになることがそもそもない。
アイドル文化も嗜まずにライブに行くこともない(そもそも大きい音=騒音の認識になってしまうので楽しむ以前の話)
『推し』というものを理解する文化に私は居なかった。

なんとなく薄っすらとした理解

アイドル文化で推しのCDを何枚も買ったり、推しのために頑張れるという話は聞いてたので自分の人生の一部を支えてくれる存在なんだろうな…という理解をしていた。
と言っても私は3次元のタレントに興味がなく、TVをあんまり見ないタイプなので遠巻きに見る事しかなかった。

好きな声優さんはいたけれど…
声とキャラは好きになれど、中の人の情報を積極的に見たいとは思わないので知らない事も多い。

企業の配信勢VTuberを見始めた

3Dモデリングが基本だった頃に知ったVTuber。
VTuber=動画を出すイメージが強かったけれど、配信をメインに活動する人達が現れてきた。
今まで見てた動画よりも気楽に見れて、しかもほぼ毎日数時間の配信をしていたのでやってたら見ようかな?という気持ちになった。

ただ、配信上でコメントすることはなかった。
こっちはTVを見る感覚で見てるのでリアクションを求めていなかったからだ。精々がTwitterで配信タグつけてツイートすることくらい。

それでも気になる配信は見に行っても良いかな?という子がいた。

配信をよく見るVTuberとの出会い

その子は雑談をしたり定期ラジオをしたり、お絵描き耐久したと思ったらゲーム耐久してたり…とにかくいろんなことをやっていた。

何かが得意で抜群にセンスのあるような子ではなかった。
ただ忍耐力があって継続する力が強かった。
耐久やっててもへこたれることなく続けられるし、疲れはあっても楽しんでやっていた。流石に全部は見れないので、見れるところだけ見に行った。

その頃は夜勤だったので丁度VTuberの配信がリアタイ出来なかった。
でも帰ってきたら生成されてるアーカイブを見るのが楽しみで、長時間でも短時間でもその日に配信があるというだけで嬉しかった。

今思えば休みなど殆どなく毎日配信してたような気がする。そのくらい配信休みが珍しかった。

配信勢から動画勢に

数ヶ月前に同じ箱の人で炎上騒ぎがあった。公式発表+本人のお気持ち+他メンバーたちのお気持ちが色々出ていた。
私にとって悲しかったのはそれが起こったこと…ではなく、このことがきっかけで「配信から動画勢に転向する」といったVTuberの表明だった。

私が見ていた子はPC知識が深いわけではない。
自分で動画を作る事を一から始めなければいけないのだろうという事を察していた。
そしてそれは今から動画編集ソフトを勉強するから動画を上げる頻度もそれほど高くないということを示していた。

私は、ほぼ毎日配信を見ていた場所をなくしてしまった。

およそ1ヶ月…見るものがなかった。
他の箱を見るという考えがなく…というか仕事忙しくてそんな暇はなく。でも、仕事が忙しいから心も忙しい。でも、配信はない。そんな感じだった。

家に帰っても配信はない。明日も多分ない。当分ない。

あんなに毎日見てた配信がなくなるってこんな気持なんだな…とその時知った。
湯水の如く湧いていたものがいきなり枯れたらこんな感じなんだろう。

戻ってきた配信と大量のスケジュール!

ある時を境に配信を再開するツイートがされた。
しかもめっちゃ予定がつめつめで『新規の外部コラボ!』『今までやってた長いストーリーゲームの再開!』『配信も毎日ある!』

一気に元に戻った。

以前と変わらない配信。以前と変わらない頻度。以前と変わらないテンション。また見れることが嬉しかった。
長時間のストーリーゲームを楽しむ姿が好きで、やりたいことを色々やってる姿が好きで、それを見ているのが楽しかった。

突然の卒業発表

箱内で公式から卒業発表があった。
この箱が設立されてから初めての事だった。
しかも誰が卒業するのかの発表がなく、個人のツイートや配信で言及されることで知るパターンだった。

卒業表明する人はなんとなく察していた人達だった。
この前の炎上とかあったし…そういう判断もあるよねと考えていた。
でも、私が見ていたVTuberはあの時言及がほぼなかったし、今まで通りの配信しているし、他リスナーも卒業はないだろうといってたので少し安心していた。

その後、配信で卒業することを告げられた。

その子は登録者を気にするような子ではなく、ゆるくまったりとした配信が多く、また自らこれをやりたい!と他の子を巻き込んだり全く新しい事を次々やるような子ではなかったので、まさか企業Vから抜けるとは予想もしていなかった。
リスナーたちも蒼天の霹靂だったようで一様にびっくりしていた。

今いる場所への不信感だったり、別のことにチャレンジしたいような発言もなかったので、このままいるんだろうな…と漠然と思っていた。
でも、前に別の業界とのコラボで進路相談みたいな話をしていたな…今思えば、あれが鱗片だったのかもしれない。

その後も卒業まで殆ど空気感が変わらない配信をし続けていた。
今までと雰囲気も同じなのに卒業してしまうのが不思議だったし、そのくらいいつもの配信と変わらなかった。

お別れの日のその後

最後の配信が終わって数日。配信がもうないという事が少し寂しかった。
というか数ヶ月は鳴き声のように名前を言ってた気がする。
本気で落ち込むという程じゃないけど、なんとなくズルズル引きずっていた。

そしてそこで初めて気がついた。その子の配信に活力をもらっていた事に。その子の配信があったからその頃頑張れた事があることに。

卒業して居なくなってから気がついた。この子が私の推しなんだ。

もう居なくなってしまったけど、好きな気持は変わらなかった。
でも、後悔もなかった。

私は『後悔なく無理のない範囲で好きになれ』と思っているので、好きになってからも『最初から最後まで追わない』『後悔するような思いを抱えるくらいなら出来ることをヤレ』『出来る範囲で好きでいる』という気持ちでいた。
あの時やっていれば…という気持ちは今でもない。

そして、卒業してから新しいVを好きになって忘れて行くのかな…という不安はただの杞憂だった。

今でもその子の事は好きだし、偶に検索する。
あの時あの頃好きだった事は変わりがなく、その子が配信してくれた事で楽しかった時間は残ってるし、その時の気持ちも未だに変わらなかった。

もしかして私は好きになったら一生好きで居続けるのかもしれない…
熱量は変わるかもしれないけど、ずっと好きのままなのかも。

もうちょっとだけ積極的に

時は流れ、新しく見る子が増えた。
あの時とは配信を見るスタイルが変わった。
もうちょっとだけ積極的に応援しても良いのかもしれない…と思うようになった。
ROM専から実況ツイート(配信コメントはやっぱりしない)と切り抜きをし始めるように変化した。ファンとの交流も増えた。

自分の好きになったものを楽しむ姿をツイートするのも良いのかもしれない。
だってそういうツイートが見えたら面白そうだなって気持ちになれるから。

何も反応しないROM専からファン活動を色々出来るようになったのも『推し』というものを知ったからかもしれない。
『推し』が出来るってすごいんだな

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