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私立VRC学園というものに私がどれほど心を動かされてしまったのか

 VRChatにおいて、イベント「私立VRC学園」の第二期が8/17~8/31の約二週間超にわたって開催された。私は二期生の生徒ロールでこのイベントに参加したのだが、これによってそれまでのVRChatの楽しみ方を一変させられてしまった。端的に言うとVRChatというゲームの面白さに気づいてしまったのである。

 この私立VRC学園、毎日異なる講師が様々な授業を実施する。生徒は15人ほどのクラスで同じ時間、同じ教室でこの授業を受けることになる。

 学園というと、何か知識を得るということを先行して連想するかもしれない。ゲームの特性上、例えばモデリングであったり動き方であったり。しかし私の経験した私立VRC学園の本質はそこにはないと考えている。

 以下の文章は私立VRC学園に対し関心を持った方々、並びに私立VRC学園の友人たちに向けた私なりメッセージになる。

 私立VRC学園の本質を私はどのようにとらえたか。そして私はどれほど私立VRC学園というものに心動かされてしまったのか。

 私の記事を通じて私の経験を共有いただき、何かしらの共感や感情を抱いて頂けたのならばそれが何よりである。

私について

 さて、まず皆様に共感いただくためにも私自身の自己紹介をしようと思う。アカウント名[Isetoba]のゲーム開始時期は2020/7/13。VRC学園に参加したとき、私はおおよそ1か月目の初心者であった。

 イベント開始までは一人ワールドを巡りあっちへフラフラこっちへフラフラとさ迷いながらも、どうにも恒常的に会う友人が居ないことに退屈を感じていた。そんな時、別のゲームの知り合いが私立VRC学園で講師ロールをすると聞いて、冷やかし半分で私立VRC学園に(説明会にも顔を出さずに!)参加したのであった。今思うと不純すぎる動機である。

 こんなことを言ってしまうと多くの人間から非難を浴びるかもしれない。しかし実際の所、当初の私は前述した知り合い以外には興味がなかったし、授業も退屈なら聞かないでいいか、くらいの気持ちであった。私にとってゲーム上での人間関係は所詮自己完結的なものであったのである。

 これをぶっ壊されて屑畜生だった私が卒業旅行に参加できなかったことを本気で嘆き、最終日にはクラスメイト達に好きだーー!!!と喚き立てるアホになるのだから面白い。

最初のきっかけ

 私立VRC学園の初日。私が最初に私立VRC学園に面白さを感じたきっかけはイベントの作りこみであった。運営サイドもまたこの企画を楽しんでおり、放課後にこっそり聞き耳を立てれば授業の動画配信や今後の予定などをアイデアを出し合いながら話し合っていた。Discordを用いた意思伝達や選択授業のアンケートなど、授業以外の体制もまた非常に作りこまれているものだった。

 イベント参加の経験もないに等しかった私はこの時点で、あれ?なんでこんなに楽しそうなんだろう?労力を注げるんだろう?と非常に興味をそそられたのであった。そして何より、この運営の人たちが真面目に盛り上げようとしている企画に参加している以上、私も楽しまなければもったいないような気がしてならなかったのである。

当時の私の気持ちがこっそりと表れているつぶやきがある。

そう、この時から私の関心の多くは周囲の人がどんな楽しみ方を見つけてこのゲームを続けているのかに比重を置いていた。もっと色々な人と話してみたいし、仲間を作って嬉しさを共有したくなったのである。

 本音を言おう。つまらない楽しみ方をしていた自分だ。単純に運営陣が羨ましかったのだ。私も皆で熱中できる何かがほしかった。

魅力的な授業

 さて、VRChatの楽しみ方に興味深々だった私は、授業を通じてその好奇心をタコ殴りにされたのである。

 そう!私立VRC学園の授業とはただ知識を得るだけのものではない。こんな楽しみ方がある!という発見と体験が詰まったものだったのだ!

 具体例をあげよう。

 演劇.....えんげき??え、なんでVRゴーグルつけて演劇すんの?なんて最初は思ったものだ。でも違う!やってみると面白いのだ!なんだかよくわからないが楽しい!クラスの一体感も相まって、劇の内容は今でも忘れられない。桃太郎だ!!

 また、以下の内容も私にとっては衝撃であった。


 ダンスである。私はダンス経験があるわけでもなく、ましてやなぜ動きが反映されにくいVRでやるの?なんて思ったのだが......やってみると面白いのだ! 実際に、私立VRC学園関係の人たちでダンス部を作ろう、という声が上がるほどに面白かったのである。これは普通にプレイしていてはまず体験できない、しかし体験しないとわからない面白さだ。

 あまり長々と書いてもきりがないのでこの程度にするが、私が言いたいのはそれまでの価値観を飛び越えて、「経験しないとわからないVRChatの面白さと可能性」を体験することができたということである。

生徒同士の交流

 さて、授業自体の魅力については説明したが、忘れてはいけないことがある。それはクラスメイトの存在だ。

 同じ時間、同じ場所で同じ授業を受ける。授業後は何ともなしに集まったり、ワールド巡りをする。こんな体験を2週間も一緒にするのだ。否が応でも会話はするし、何よりお互いが授業について何を思ったのか、どう影響されたのかを共有しあうのは純粋に楽しかった

 だんだんとそれぞれの個性がわかるようになり、私はもう当たり前のように自分の中で勝手に作っていた壁をいくつか壊してしまっていた。一緒に楽しさを共有したい、もっと相手のことを知りたい、そんな関心を抱いてしまうほどに私はクラスに一体感を持ってしまったのである。

 さて、これに一役買ったのがtwitterであった。

上述するように、私のクラスメイトはみな授業の感想と、その後の行動を写真つきでツイートしていた。私はこれを見るのが毎日たまらなく楽しみだったのだ。あぁ!こんな発見をしたんだ!こんな感想を持ったんだ!そういうVRChatの楽しさをVRChat外でも共有できたのだ。

 そして同じ授業で同じ経験をした私たちは興味や関心の幅を広げていく。以下は面白い例である。

 演劇の授業の影響をもろに受けている!!こんな些細な変化や楽しさを共有できるのは、私立VRC学園ならではなのではと思うのだ。

 また、関心を持った物事に対してさっそく行動を始める人も多く存在した。ひとまず私自身の例を以下に紹介する。

 私の場合は些細なことだが授業がきっかけだったことは間違いない。

 事実、私のクラスメイトは様々な新しいことを始めた。モデリングを始めた人、Unityに取り組む人、VRC内のゲーム(ペコペコバトル)に参加するようになった人、積極的にイベントに参加するようになった人、記事を書く人、絵を描く人、大会を企画する人......ざっとあげただけでもこんなにたくさんいる。

 そして、それらはクラスメイトの間で共有されることがある。時に共感され、時に新しい切り口を得るきっかけとなるそれは一人での活動に比べて実にやりがいのあるものだ。

 何が言いたいのかというとだ。同じ授業で同じ経験をして影響を受けたクラスメイトの声がリアルタイムで入ってくるのだ。そして行動を起こすとVRChat内外問わずクラスメイト間で共鳴し、嬉しさの共有や発見につながるのだ。ありえないほどの活力がもらえるのである。

VRChatにおける活動について

 授業を通じて活動の幅を広げたときに気づくことがある。それはVRChatというゲームは活動の表現の幅において無限ともいえる可能性を持っているということだ。何もモデリングだけではない。イベント運営や漫画、小説、動画、音楽、写真、劇......人と人との声を通じた交流があるのだから、VRChatのゲーム内に留まらず、ありとあらゆる活動が行われるのだ。そしてそこにはVRChatなりの性質もあったりする。

以下は具体例である。

 これについては幾つかの授業でも言及されており、私個人としては是非とも意見交換をしたいと思っている。

 このように、VRChatの楽しさの可能性は実に多様なのである。そして私はこの私立VRC学園に参加しければそのことにすら気づかなかっただろう。短い期間で授業という形で様々な分野の人と接点を持ち自分の知らない世界を受動的に数多く体験できる。そしてクラスメイトとの交流を通じて新しい活動へとつながっていく。その無限の広がりこそが、私立VRC学園の何よりの強みだ。

終わりについて

 さて、ここまで私立VRC学園の楽しさを語ったが、二週間という期間が決められているのだ。当然のように終わりが来る。

 私にとって最後の授業の日。私は以下のようなつぶやきをしている。

クラス旅行。

卒業式。

  伝わっただろうか?

 どうか、当時私の抱いたあの感情がこれを見た人にも伝わってほしい。今の私では言葉に起こすことのできない渦巻く感情があったのだ。私は普段こういった思いを隠してしまう。だからもしもこれを読む貴方が私と話す機会があったとしても、私はきっとはぐらかしてしまうだろう。しかし確かに私は私立VRC学園に熱中してしまっていたのだ。自分がゲームでここまで影響されるとは本当に想像もつかなかった。

 どうか、どうかこの感情が伝わってほしい。同じ時間を過ごしたクラスメイトの皆には、きっと。

これからについて

 私立VRC学園が終わり毎日のように顔を合わせることもなくなったわけだが、だからと言って私とクラスメイト、並びに講師たちの関係が終わったわけではない。

 むしろロールプレイから外れた分、私としては距離が近くなったとすら思える。

  二つ目のつぶやきの悪ふざけはともかく。そう、私はこういう時、ついふざけてしまう......ともかく! 卒業はただの区切りに過ぎない。気の合う仲間を手に入れて、やりたいことを見つけた私達は今後より一層VRChatを楽しんでいる。

 もしもVRChatを退屈に感じたり、変化を求めている人がいるのならば私は声を大にして私立VRC学園を勧めよう。

 もしも私立VRC学園に携わった人がこれを読んだのなら、どうか私の感動と感謝の気持ちを受け取ってほしい。

 私の体験した日々がどれほど楽しくて夢中になれるものだったのか、これを読んだ貴方に伝わったのならば幸いである。

記事紹介

 最後となって申し訳ないが、私のクラスメイトの書いた記事を紹介しておこう。本来はOBや講師陣の記事も紹介したいのだが、私と特に目線が近いのはクラスメイトにより書かれた以下の二つであると判断したため割愛させて頂いた。

 一つ目はSAGIRIさんの書いた記事である。

 情動的に文章書かれており、当時の筆者の感情が直に伝わってきて気が付けば感情移入してしまう内容になっている。私とは異なる目線で私立VRC学園を記述しており、読んでいるだけでワクワクさせられる内容だ。内容も私立VRC学園の詳細が書かれており、雰囲気を知るにはもってこいの文章だろう。気持ちの良い文章だ。好き。

 二つ目の紹介はニネットさんの記事になる。

 読み手側に配慮した実に丁寧な文章で、写真が多くレイアウトも見やすいためすらすらと読める内容は本人の気配りの良さを現しているように感じる。私立VRC学園の良さを実体験を踏まえて一つ一つ入念に解説しており、最後に書かれた気持ちの籠もった文章は初めて読んだとき思わず撃沈させられてしまった。好き。