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2021年2月2日 続・痛い話と受け流すスキル、分身の術

頭のてっぺんから足の先まで。

この1週間の私は完全なるロキソニン漬け。朝起きると、今日は昨日よりいい感じと思うのだけど、早いと午前中のうちに、持ち堪えたとしてもお昼過ぎには、抜歯後の歯、いや歯はもう抜いているから歯のあった跡地がズキズキと痛みロキソニンを飲まずにはいられなくなる。
抜歯時に歯医者から処方されたものはとっくに無くなり、家に常備していたものも使い切り、子を出産した時、後陣痛用にと処方され使わずにいたものまで服用する始末。とっとと新鮮な(?)ロキソニンを薬局で買えばいいのに、なぜか買ったら負けだ、あるものでカタをつけるんだとなんだかわからない意地を張りながら(結局家にある全鎮痛剤を使い切って新たに買ったのだけれど)過ごしたこの1週間。

痛みに支配されるという経験はこれまであまりなかったか、あっても忘れてしまっているのか、痛みと共にある日常の辛さを起きている間ずっと思っていた。痛いと頭の中はただただ「痛い」でいっぱいになり(本当に「痛い」という文字が頭の中を埋め尽くすイメージ。前に流行った「脳内メーカー」で一面「痛」の文字が並んでいる様がぴったり)、他のことを考えることができなくなる。仕事も進まない、献立も決められない、こどもの話を聞くこともできない、noteを書くこともできない。全てのことに「痛い」は覆い被さり自由を奪う、「痛い」を取り除かない限り他のことができない、「痛い」に支配される自分の時間、あぁ痛くない私の時間を返してくれーと毎日ずっと思っている。



今日は先週の抜歯の経過の確認と抜糸だけだろうとたかを括り足取り軽く向かった歯医者。先週の抜歯跡地を見たチャラ男(歯医者)は

「傷はきれいです、でも痛み続いてますよね。抗生剤と痛みどめ追加で出しますね。」

と、まあ予想を覆すことのない対応だった。
楽勝楽勝想定内〜、次はいつかな、少し時間を空けての予約かななどと考えていたら、


「じゃ、抜いたとこの2つ手前の歯の虫歯、やっちゃいましょう。反対側に手をつけたら噛めるとこなくなっちゃいますもんね、ハハハ。」


おいおいおーいチャラ男先生よ、今はまだ跡地のダメージが大きいのに、さらにダメージを与えようというのか(違う、治療してくれているんだ。わかっているけどつい)。
チャラ男は私に今日は治療をしないという選択肢を与えぬまま、あっという間に麻酔の注射を施した。麻酔が効いてくるのを待つ間、衛生士さんからしっかり被せ物のセールス(違う、説明だ)を受け、後はもうされるがままだった。



想定外の治療(とセールス)のダメージ、痺れるくちびるの居心地の悪さを抱えぼんやりと歩く帰り道、鎮痛剤を飲み続けても今のところ大きな影響の出ない胃の頑丈さに感謝しながら、これを開発した人神だ神だ神でしかないと思いながらロキソニンを飲む毎日、これ一体いつまで続くんだろうと考える。
「身体のどこかが痛くて辛い」って辛いんだな、と実感する。自分の身体が自分でコントロールできない状況になることって辛いんだなと実感する。
私の痛みは原因もはっきりしていて、時間の経過とともに楽になることもわかっていて、神の薬ロキソニンも手元にあって、それなのにこんなに普段できてることができない感に苛まれるのに、苦痛の正体が見えずもっと辛い思いをしながら生きている人がきっといるのだろうな。どこかでしんどい思いをしているその人にも、私にとってのロキソニンと同じ存在となるものがどうかありますように。痛いや辛いに支配されるだけの毎日が繰り返される、なんてことがありませんように、願うことしかできないけれど、そう思う。


***



きっかけが何だったか忘れてしまったけれど、子どもに意識せずに伝えた「自分がされていやなことは人にしない」ということ。
されたことを受け止めるという経験値が絶対的に低い子どもにとって、ピンとこない言い方だったかなとふと思い返す。
自分がしようとしていることを、第一段階で自分がされる場面に置き換えて、第二段階でその時自分がどう思うか想像しないと答えが出ない。第二段階まで想像が続かず途中で放棄してしまうかな。第二段階まで想像することができるようになったとしても、「いやだ」と感じることは人それぞれだという、諦めというのか全部を真正面から受け止めるのではなくうまく受け流しながら生きていかなければならないことも理解しないといけない。
子どもが余計な傷を負うことのないように、人を傷つけることがなるべくないように、何をして何をしないのがいいんだろう。自分もまだまだ受け流すスキルの習得は道半ば、子どもと一緒に悩んで立ち止まってぶつかって、それでもまた想像力を持って同じ方向に歩いて行けたらな、と思う。私は自分がされたらいやなことは意思を持ってやらない、と改めて思う。


こんなふうに行末のことをシリアスに考えてしまうのは今のところ上のお姉ちゃんの方だけ。下の弟のことは、もうこのままずっとこの大きさであってくれたらいいのにと思うだけだ。
彼は今日保育園でサッカーをして、キーパーをしたけどうまくゴールを守れず悔しい思いをしたようだった。その後、どうしたらいいか考えたらしい彼なりに。そして「忍法を覚えてたくさん分身を出してみんなでキーパーすればいい」と言う結論に至ったらしい、お風呂で真剣な顔で告白された。
がんばれ。忍法習得できるといいね、母ちゃん応援するわ。

辛い思いをしてほしくないお姉ちゃんとそのままでいい好きにやってくれの弟。いろいろあってもひとまずは、子どもたちが虫歯で歯医者に通うことがないように、念入りに仕上げ磨きしておこう。あー、早く健康に戻りたい!!


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