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2020年8月13日 妻でも母でもなかった私を思い出す

先日WOWOWで放映された『SUNNY 強い気持ち・強い愛』、録画していたものをやっと観れた。
今の子よりずっと洗練されてなかったし、ずっと、なんていうか…健康的だった、それでも怖いものなしで箸が転がってもただただおかしかった、女子高生時代。
映画の主人公達のルーズソックスが1800円なら私は1200円、位ではあったけど、懐かしくて恥ずかしくて、あっという間の2時間だった。


広瀬すずちゃんが春馬くんにイヤフォンをつけられて音楽が流れる場面。
あれは誰でもああなっちゃうよねぇ、あの瞬間、すっかりおばちゃんになってしまった私の周りにもシャボン玉がふわふわ舞っていたよ。
モテ男はみんなに普通に優しい。自分だけに向けられた特別なものじゃないんだけど、舞い上がっちゃうよね、自分の知らない大人の世界を知ってる、あんなにかっこいい年上の人。


そして、そんな人が特別な視線を向ける存在がいるってことを知った時の、あの感じ。
一人で舞い上がって一人で落ち込んで一人芝居。
でも、そういうことしてきたよなーと、私も出来るならその時の自分を抱きしめに行きたいなーと、娘がこんな思いをすることがあった時には抱きしめてあげたいなーと、隣で観ている夫に気づかれないようにこっそり泣いた。夫のことをまだ知らない、妻でも母でもなかった自分への涙は、私だけのものにしておきたかった。


昔好きだった人の今を調べて会いに行くってすごい行動力、彼が絶対おかしなことになってないという信頼、もしくはおかしなことになっていても受け止めるという自信があったんだろう。
自分も今しかない、これ以上あの頃から歳を重ねてその変化が見た目に現れてしまったらもう会えないと思ったのかも、なんだかその焦りのような気持ち、わかってしまう。
でも、もしも好きだったその人がおかしなことになっていたら…と思うと、私には無理かもな。


女子高生の騒がしさと懐かしさと、神様からもらった光だけで輝いていたあの頃とあの頃焦がれた想いと。
「なんだか騒がしい映画だったね」と言った夫に「そうだね」と返しておいたけど、私はそれだけじゃなかったんだよ。

もしかしたら、おばちゃんになっちゃった今でも、心細い場面で春馬くんに後ろからイヤフォンを被せられて『やさしいきもち』で耳を塞がれたい、それだけなのかもしれないけどね。


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