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教職大学院の概要と通ってみてわかったメリット・デメリットを書いてみる

どうも、いせごんです。
今回は教職大学院についての記事です。

簡単な自己紹介

 私は公立高校で働く現職教員です。そんな私がひょんなことから教職大学院に通うことになり、そこでの学びを現場で働くさまざまな先生に還元したいと思い、この記事を書くことにしました。
 また私自身、通う前に教職大学院に関する本を調べても一切出てこず、どんなところか全くわからない状態からスタートしました。周りにも通ったことのある先生はいなくて、ほんとうに手探り状態で大学院生活が始まりました。そういうこともあり、この記事を読むことで教職大学院のことがなんとなくでもわかることを目指しています。
 今回は、学習した内容というよりも教職大学院全体のことを書いていきます。具体的にはどんなところか経験を踏まえて書いています。教職大学院に興味がある方や行く予定がある方に向けて必要な情報をまとめてあります。一応予防線として、私が経験した教職大学院での話なので、全国どこの教職大学院でも同じかどうかは責任は取れませんので、一例として参考にしてもらえれば幸いです。また実際に通ってみた本音を利点と欠点で書きます。自費で通っているので、総合的には利点があると信じたいです。
 今後は時間を見つけて、学んだことをどうにかしてアウトプットしていきたいです。


教職大学院のちょー簡単な概要

 文部科学省の説明では、45単位以上修得が修了要件となっています。また、専門職学位として「教職修士(専門職)」が授与されます。教員免許状は一種免許状から専修免許状にできます。ただし大学によって専修免許状にできる教科が異なります。また二種免許状の方は在学中に一種免許状にするために必要な講義を受講して、申請する必要があります。二種の方は在学中に一種にしなければならないことは覚えておくといいと思います。(しなくても構いませんが、せっかく卒業するなら専修免許状にした方がいいのでこの表現にしました)
 専修免許状になるからなのか、専門職学位卒になるからなのかわかりませんが、給与表も変わるようです。

 「修士」と「教職修士(専門職)」の違いは自分が理解した範囲だと、修士は「研究」、教職修士は「リーダー育成」ということに尽きます。教職修士は専門職ということもあり、より教育現場に近い実践的な内容であるといえます。そのため、教職大学院で研究に興味を持ち、修士→博士と歩む人もいるみたいです。
 修士か教職修士で迷っている方は、教育関係で研究に専念したい方は修士、学校や教育について理解を深めつつ実践したい方は教職修士といったところでしょうか。研究者の道を進みたいなら修士、研究の適性があるかどうかを見極めつつ現場での活用が第一優先なら教職修士がオススメです。


教職大学院で学ぶ5領域

 文科省が例示しているカリキュラムは、5領域で表現されています。
(1)教育課程の編成・実施に関する領域
(2)教科等の実践的な指導方法に関する領域
(3)生徒指導、教育相談に関する領域
(4)学級経営、学校経営に関する領域
(5)学校教育と教員の在り方に関する領域

 この5つ見ると、たしかに大学院ではこの5領域を比較的満遍なく学べる気がします。どこかで見た記憶があるなと思い、履修案内を見たら、この5つの区分を確認できました。
 漢字が多めで目が滑りそうですが、教育関係の方はこの5つをみたら大体は想像できると思います。
 各領域でどのようなことを学んでいるかは別の機会に譲ることにします。

現場のプロ(実務家教員)から学べる

 教職大学院の特徴として、実務家教員があります。文科省の説明では、高度な実務能力を備えた人を「実務家教員」と呼んでいます。教員として現場で活躍してきた先生が大学院の教授(または准教授)として働いているので、経歴を見るとびっくりして目玉が飛び出る人もいるみたいです。そんな方々に指導していただけるので、その分野を極めたいと思う人には喉から手が出るほどです。しかし私はそんなことも知らず入学したので、同期の方々の話を聞いてすごい方々なのだなと後から知りましたが、そんなことを知らなくても、器が大きくてリーダーとして活躍されてきた方々なのは、肌で感じました。実務家教員が行う講義は事例を取り上げた内容が多くあります。リーダーとして活躍してきたからこそ知っておいてほしい内容が取り上げられていると感じます。また討議や発表が多い印象で、実践的な内容だと強く感じました。内容的には意義があり学びも多いですが、(少しだけ)教員研修の延長の印象を受け、私は理論的なものを求めていたので少しミスマッチを覚えました。逆に実務家教員の方以外の講義は、研究事例や理論的な内容が多く、難しいと同級生には不評でしたが、私はこちらを求めていたので非常に楽しく学ぶことができました。この辺りが大学院に行くか、教職大学院に行くかの分かれ目な気がします。

実習制度 学校に行って実習をする

 実践的指導力育成のために、学校における実習も含まれています。現職が学校で実習ってどういうこと? と思われるかもしれませんが、私自身も最初はハテナマークでした。しかし教職大学院は現職の先生だけでなく、大学を卒業したばかりの方や一般企業で働いている方も通っています。そのためより実践的な能力を身につけるために連携協力校に実習に行くことになります。ただそれは現職の先生も同様で、現在勤務している学校か大学の近くの学校に実習に行くことになります。教育実習のようなイメージを持たれるかもしれませんが、教員免許状持っているので扱いは似ているようで少し違います。授業を行ったり、校務分掌を割り当てられたりと学校の教育活動全般に教師として参加します。受け入れている学校からすると実習生ですが、大学院側としては大学院での学びをより確かなものにするための実習で、教職修士の教師としての立ち振る舞いを求められます。そもそも教職大学院の目的が実践力を持った新人教員の育成とスクールリーダーの育成なので、学校で実習する場合もそれらを意識して取り組む必要があります。
 では実際どうかといえば、(あくまでも私の場合は)指導教員が2名付き、うち1名が実習担当となり、実習先とのパイプ役となります。実習の前に、実習校の校長等に説明に伺います。そこでは実習受け入れの感謝の他に、この実習の意味や内容等を説明するようです。ようです、と書いたのは同級生の実習担当は実習校に挨拶に伺ったようですが、私の場合は(これは想像ですが)いろいろなことが重なった結果、挨拶に伺っておらず、結局何もわからないまま実習がスタートし、終わったからです。社会人なんだから聞けばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、挨拶に伺うなどの話は実習担当がスケジュールを組むなどしてほぼ自動的に行われていたことで、同級生は誰も話題にしていなかったので、それを知ることがなかったのです。規定の時間以上実習校で実習をし、記録簿をつけなければいけない話も、同級生とのふとした会話からその存在を2ヶ月以上遅れて知り、慌てて実習校に実習しにいきました。そのため、ここで私が語れることはあまり多くはありません。よくわかっていないまま実習計画書を作成し、よくわかっていないまま実習を終えたことしか記憶にありません。途中から初任者指導を重点的に行いましたが、実習校に行くことが一番の苦痛でした。実習先にも申し訳ないことをしました。

 大きく概要を話しましたが、講義だけでなく学校に実習に行くことも特徴です。実習に300時間以上行くことは覚悟しておいた方がいいです。


ゼミ制度 指導教員について

 大学院も大学と同様にゼミ制度があります。学部を卒業したといっても研究ではまだまだ未熟で、専門修士といっても一応は修士なので卒業には論文の提出が求められます。一人で研究し論文を執筆するのは難しいので、指導教員がつきます。私の大学院では、研究と実習を補佐する教員がそれぞれ1名ずつつきました。志願書に希望を記入するので、それを参考につけてくれるようです。
 指導教員は千差万別で、その教員ごとに異なるので一概には言えませんが、私が知りうる限りのことをお伝えしようと思います。
 実務家教員は論文を公開していない場合があります。希望する教員を記入する前に、その教員はどのような論文を書いているのかを調べました。しかし漢字もローマ字でもヒットせず、どのような研究を行っているのかがわかりませんでした。そのためその分野に一番近いと思う教員を希望しました。
 ゼミの実施回数も指導教員によって大きく異なります。毎週行う教員もいれば、隔週、一月、隔月など様々です。私の指導教員は隔月で、今年度は5回しか実施していません。同級生のほとんどは毎週または隔週に実施しており、行き詰まったらすぐに支援をしてもらっているようでした。何か困ったことがあればいつでもメールしても構わないという優しい指導教員でしたが、別の業務で忙しそうなことと嫌なことは後回しにしたいという思いから相談するのを躊躇い、極力自己解決するように努めました。せっかく学費を払っているなら、遠慮せずに聞きに行くことは必要だったと後悔しています。教員側もそれが仕事なのと、学生から頼りにされて嬉しくない教員はいないと先生をしていて思ったのでした。
 研究について事細かく言う教員もいれば、いない教員もいます。こういったことから0~1名程度、指導教員と馬が合わずに年度途中で辞めていく方も残念ながらいるようです。今年度はいなかったようですが、人間関係は本当に難しいので、そういうリスクがあることは抑えておいて間違いないです。希望すれば指導教員の変更もできるそうなので、相談大事です。

 このように指導教員は千差万別で、相性があるので入学前に在学生からどのような教員がいるのかを聞けるとミスマッチが減るのではないかと考えています。入学が決まった学生は、指導教員を希望する前に座談会でアドバイス等をもらえる機会があればいいと強く思います。同級生といった横のつながりはあるものの、先輩や後輩といった縦のつながりを作る機会はあってもいい気がします。というのもほとんどが教員で、働きながら高額なお金を支払って通う方々です。そういった方々が少しでも負担がない状態でスタートできるなら喜んで手伝いたいと思います。
 話が逸れてしまいましたが、それだけ重要だと言いたいです。

研究の実際

 論文を書くためには研究が必要です。研究はテーマに基づいて行いますが、教職大学院では実践を含んだものを求められます。ここでの実践はあまり大きくせず、一人で小さくできるレベルの教材を開発して授業をするぐらいのものが好ましいと感じました。私みたいに業務改善など学校を大きく巻き込んだ実践はほとんど行えないと思っていいと思います。というのも、実践する場所は実習校になりますが、あくまでも受け入れてもらっている立場の人間が、業務に関わる内容に口出しするのはおかしな話です。また内容によっては立場上責任が取れません。であるならば、アンケートやインタビューしか行えないことも必然です。
 早い段階でこのことに気づければ軌道修正も容易ですが、取り返しのつかない段階で気付くと大変です。なんとかして形にしなければならないので、出来上がったものは目を覆いたくなるようのものです。私の場合は指導教員と連絡を密に取っていれば防げたか?と聞かれれば、いずれにしてもその時は何を聞いてもいいのかさえもわかっていなかったので、防げなかったと納得しています。そういう点ではゼミ活動で軌道修正をしていくのでしょうが、回数が少なければ軌道修正をする機会も少ないことはわかると思います。

教職大学院での生活

 大学院の時間割は、大学とほとんど変わりません。しかし学部の時とは違い、平日に満遍なく講義があるわけではなく、私が通っている大学院は平日夜間(6限、7限)と土曜日に講義が集中しています。そのため平日は勤務が終わってから大学院で学んで、土曜日は1限から7限まで学んで、といった生活になります。講義を受ければいいだけでなく、課題も出ます。その課題はすぐに終わるものもあれば、時間のかかるものもあるため、日曜日や平日講義のない夜間は課題作成で、ほとんど休みのない生活を強いられます。しかし別の教職大学院では課題はそんなに出ていないとの話も聞いたので、通う大学院によって大きく異なるのかもしれません。しかしそうはいっても、働きながら通うとなるとかなりのパワーが必要なのはわかっていただけると思います。大変だとは思いますが、その生活に身を投じてしまえば、なんとかなるといったところがあります。ただ、子育てをしながら通えるかと言われると、土曜日は一日いないし、平日は曜日によっては遅くまで帰ってこないので、パートナーの協力は必須です。身の回りだと独身だったり子育てがひと段落したりして通っている方がほとんどです。
 中には教師を休職しながら通っている方がいらっしゃいます。その方は共働きだったことと、通うために生活費含めて貯金していたようです。これが可能ならば、子育てをしながら通うことも可能だと感じます。
 大学院に通うとこれまでの生活スタイルを変える部分が出てきますが、やってみると意外になんとかなると思いました。

学習環境について

 一番気になるところは、オンライン環境だと思うので、そこを主として伝えていきます。新型コロナウイルスの影響もあり、本大学は色々なオンラインサービスを導入していました。メインはMoodleというサービスが使われています。それとは別にGoogle ClassroomとMicrosoft Teamsもあります。教員陣も色々と模索していたみたいですが、大学教育にはClassroomもTeamsも合わなかったみたいです。そのためオンライン学習が始まって2年目の2021年では、ほとんどの方がMoodleを使っています。
 使い方は教員によって様々で、大体5つのパターンがありました。
(1)音声つきのパワーポイント資料を配布し、課題を提出するパターン。
(2)Moodle上に文章や図を大量に入れて、さらに解説動画を挿入してくれるパターン。
(3)授業は対面で、学生の課題提出のみのパターン。
(4)授業は対面でやりながら、デジタル資料を配布するパターン。
(5)全く使わないパターン。
 Moodleの他には、ZOOMやGoogle Meetを使ったオンライン授業もあります。とはいっても、2021年からは対面での実施も可能になり、ほとんどの講義が対面でした。しかし教員によってはそれぞれの事情に応じて、オンライン授業での受講を許可してくれる方もいらっしゃいます。諸事情で一時的に帰省することになった学生はオンラインでも受けられることをありがたがっていました。小中高に比べるとオンライン環境は整っており、教員陣も受け入れて活用していると感じました。
 入学当初に驚いたことといえば、アカウントの多さです。大学院で使用する個人のメールアドレス、Moodle、Google、Microsoftと色々なアカウントを渡されます。それぞれにログインIDやパスワードが異なっていて、管理が大変です。入学当初は情報関連に疎い学生のサポートが主な仕事でした。

 この流れからなんとなくわかっていただけたと思いますが、パソコンは必須です。大学には自由に使えるデスクトップPCはあるものの、そのためだけに大学に行くのも一苦労で、課題に取り組む時間も限られてしまうので、あった方が便利です。iPadのみで乗り切っている学生もいるものの、状況によってはパソコンを使っているとのことでした。

 私はというと、MacBook AirとiPad Air4、クアデルノなどの電子機器をガッツリ使ってます。この辺りは普段からTwitterで発信していたり、過去のnoteにも公開してた(あまり反響がなかったので今は非公開)のでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。


学習の実態

 私自身が情報機器を用いてどのように学習しているかを説明します。オンライン学習を受けて感じたのは、自己調整学習の重要性です。自己調整学習とは簡単にいえば、能動的に学習していくことをいいます。言われたからやる、ではなく自ら計画を立てて学習していくことです。ではどうするのかといえば、学習環境を整えることにつきます。簡単にいってしまえば、学習に集中できる部屋にしたり、場所を見つけたりします。例えば、大学の図書館は勉強場所として最適です。学生がほぼ全員学習しているのを横目に学習できるからです。人によってはカフェが捗るという方もいらっしゃるでしょう。このように人の目を使って学習に向かわせることは有効です。よく一人ではやらないけど、誰かと一緒ならやるっていうのも同じです。自分自身が学習できる環境はどのようなものなのかを知ることが大切です。
 大学院に行き突然学習が始まると戸惑って、全然時間が取れない! 集中できない! といった問題に直面すると思います。そういう時は環境を変えてみてください。例えば読書をするなら、ほぼ何もない部屋に本だけを持っていく。スマートフォンは横にあるだけでそちらに意識が向いてしまうので持っていかないようにします。やってしまえばこっちのもんです。どんどん進められます。
 課題も多く出るので、早めにやっておく必要があります。やらないとどんどん溜まっていき、追い込まれていきます。私はNotionというツールを使って管理していましたが、付箋を用いて管理してもいいと思います。そこで私が大学生の頃に取り組んでいた方法をお伝えします。当時はビジネス書の中でもタイムマネジメントの本をよく読んでいたこともあり、かなり意識して取り組んでいました。
 手帳に締め切りを書き込むだけの課題管理では、溜まっていることに気付けずギリギリになって取り組んでしまいます。そうならないためには手帳に課題ページを用意します。そこに付箋を貼っていき、終わったものは捨てます。そのページを見れば、どれだけ課題が溜まっているのかがわかるので、計画を立てながら取り組みやすいです。この利点はもう一つあります。カレンダーに書き込む方式だと課題を確認しているつもりが、別の予定に意識が向いてしまいます。そうなると気持ちは課題どころではありません。そういったことを防止できます。これは逆にも言えて、仕事のスケジュールを確認している最中に、課題のことが気になってしまうのを防止します。
 課題に取り組む時のコツは、あまり考えなくてもできることに着手することです。例えば課題のワードファイルを作成するなどがあげられます。日付と名前とタイトルを打ち込んで保存します。こういう小さな行動をすることで次の行動につながっていきます。他にもなかなか思うように文章が思いつかず打てない時は、ノートに適当にキーワードを書いていくだけでもいいです。インターネットで用語を調べるだけでもいいです。行動することでそれがきっかけとなって、次の行動につながっていきます。


教職大学院に通ってわかった利点と欠点

 ここから私が教職大学院に通ってみてわかったことを利点と欠点という視点から記載していきます。あくまでも私が感じたことなので人によって異なることに留意してください。

 利点に入れてませんが、前提として教職大学院で学ぶことは非常に有意義で、学びが多いです。教員を続ける気があって教職大学院に行けるならぜひ行ったほうがいい!!!って確信を持って断言できるぐらいには有意義です。教員を経験したからこそ得られる学びがあり、その学びは今後の教員人生を大きく変えるものです。視野が一気に、それはもうグンッと広がり、限界だと思っていたところが全くもって限界でなかったことを知り、やってみたい!試したい!学びたい!と思えます。金額としては全くもって安くはありませんが、今後の人生を大きく変えるきっかけがお金で買えるならまじで安いです。働き始めてから自らの意思で大学院に行き、能動的に学ぶからこそ大きなものが得られます。

利点1 様々な人との繋がりを作れる

 大学院に通ってみて真っ先に思いつく見えやすい利点は、さまざまな人との繋がりを通して視野が広がった点です。同級生は大学を卒業したばかりの方や現職の先生が含まれます。私は高校なので、小学校や中学校の先生と様々な話ができるのは学びが多くありました。同級生は小学校の先生が多く、高校とのギャップを強く感じました。また小学校の先生が多いこともあり、実践的な内容では小学校を中心にした内容が展開されるため、置いてけぼりになることも多々ありました。また同じことを話していたと思っても、背景が異なることでちぐはぐになってしまうこともありました。表1にまとめた以外の押さえておくべきポイントとして、教育委員会や学校組織図、学校の規模感、指示命令系統、校務で使用している情報機器全般などを明らかにしてから話をするといいかと思います。前提が異なることで議論が着地しないことが多々あるので、前提の共有は必要です。

表1 小中高の特徴

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 話が少しそれてしまいましたが、様々な背景をもつ方がいらっしゃるので話をすれば新しいことを吸収できると思います。また留学生や学部生とも話をする機会があり、こちらから積極的に話していくとそれに応じてくれます。特に留学生は、他国から見た日本や他国の状況をより詳しく情報交換できるので、積極的にコミュニケーションをとっておきたいところです。私は英語が話せないので、日本語が話せる留学生としかコミュニケーションを取れておらず、英語をもっと学習しておけば、と後悔しています。当たり障りのない会話なら英語でもできますが、情報交換までの語学力はありません。同期とのコミュニケーションももちろん大切ですが、同業ならいつかは巡り合う機会があるかもしれませんが、留学生はそうではありません。
 このほかにも学内では様々なイベントが実施されていることも多いため、そういったイベントにも積極的に参加するように心掛けると学びだけでなく、いい出会いにも恵まれると感じています。


利点2 自身のキャリアについて考えられる

 自分のキャリアについて考えることができる点です。様々な背景を持つ方と触れ合えるからこそ、自分の将来について考えさせられます。私は30代前半で通うことになりましたが、20代前後半、30代後半から40代、50代と年代も様々です。元日本人学校の先生や現役の教頭、休職している方、教師を一度辞めた方、他業種から教師を目指している方など様々いらっしゃいます。色々な背景の方と話ができるからこそ、自身のキャリアを考える機会にもなります。同級生は30代後半から40代が多いので、教育委員会事務局に行ったり、教頭になったりしたらどうやって仕事をしていこうかと考えていました。私はそういうことを考えている姿を見て、教師を続けるのかを改めて考えていました。実は大学が主催するキャリア相談に参加してみました。高校教員の進路指導という視点で見るとコーチング的な要素が多く、大変参考になりました。就職セミナーもあり、大学が提供するサービスを教員視点で見ることも学びになるなと思ってるので、機会を作って参加したいです。
 行政から見た学校や世界から見た日本など別の視点から学校について捉えていくと、学校内からできることよりも、学校外からできることの方が多いのではないか?と考えるようになりました。結果として別のところから教育に何かしらの影響を与える仕事をしてみたいと思い、転職するに至りました。
 学校の働き方は異常です。学校では正常な働き方をしているとあまり良い風には思われません。自身が正常な働き方を実践し、環境を少しずつ変えていこうと思えば思うほど、異常な働き方に近づいていきます。そして異常な働き方の中で息子の子育てにはあまり参加できていなかったこと、在学中に娘が生まれたことで正常な働き方ができる環境にしようと考えました。
 大学院で色々行動していく中でチャンスがあると思います。そのチャンスを通して、キャリアについて考える機会も得られます。


利点3 学生割引が使えること

 学生証が発行されるので、一般ではなく、学生割引が使えます。
 博物館や美術館などの入場料が学生料金になることは真っ先に思い付きます。他にも飲食店によくある、学生なら大盛りやトッピング無料が使えます。私は小食なので、大盛りにはしませんが、味玉無料トッピングは使いました。
 ソフトウェアによっては企業と大学が連携していると、普段よりもさらに安く購入できます。例えばAdobe Creative Cloudは9,000円程度で契約が可能です。場合によってはそういったソフトウェアが学生に無料(学費に含まれているが)で提供されていることもあります。
 大学の施設もそこの学生だからこそ使えるものが多くあります。ただ講義を受けるだけに通うのは勿体無いと思うぐらい充実しています。


利点4 指導者ではなく学習者として学び、学生生活を送れること

 現職だと指導が仕事です。指導者としての授業を振り返ることは数多く行っていますが、学習者として授業を振り返ることはありません。研修等で短期間だけ学習者になることはありますが、必要に迫られた内容も多く、学習者であることを味わうまではいかないと思います。2年に渡って、学習者として講義を受け、学びを観察できる機会(私はこれを味わうと表現します)はそうそうありません。
 これを利点4つ目に挙げていますが、実はこれが一番大きな利点なのではないかと思っています。繋がりを作ることやキャリアについて考えることは、作ろうと思えば、考えようと思えばできます。しかし学習者として長期間に渡り学ぶことは大学院などの学校に通わない限りはできません。今はオンラインで学ぶこともできますが、学生生活を送ることはできません。帰り道に学生の視点で講義について語り合う機会は、学生生活を送らない限りはできません。講義を受けることも学びがあり楽しいですが、同級生と講義について語り合うことも学びが多く、有意義だと感じています。

欠点1 縦の繋がりを持ちにくいこと

 教職大学院はほとんどの方が2年で卒業します。1年目に卒業に必要な講義を多く取り、2年目は研究に専念するといった形になります。結果として1年目と2年目の学生が被る講義はあまりありません。私の場合は、前年に新型コロナウイルスが流行したことでほとんどがオンライン講義になったことで、2年目は対面でも受講したいといった方々がいましたが、稀なケースのようです。

欠点2 指導教員ガチャ

 ゼミ制度のところでも述べましたが、指導教員とは相性があるので、指導を仰ぐ立場になるまで全くわからないという点です。
 大人同士なのでよっぽど馬が合わない限りはどちらかが折れて合わせることは可能ですが、お互いに人なのでうまくいかない場合もあります。お互いにある程度の人となりがわかった状態ではないので、ここでは欠点として取り上げておきます。

欠点3 よくも悪くも実務家教員は現職よりも立場は上

 実務家教員は教員として現場で活躍されてきた方々です。校長だったり、教育委員会で活躍されていたりといった、私みたいなただの教員とは経験が異なります。さらに教員の世界は狭いもので、現校長・教頭の恩師にあたる人など身近な方との接点があり、影響力があった方が多くいます。高圧的ではなく、物腰の柔らかい方が多いですが、それでも一歩引いてしまうのが本音です。そのため、講義での発言や質問ではつい忖度をしてしまうこともあります。あの先生の講義は取らないと失礼だから、ということで取っている同級生もいました。私自身も指導教員の講義は興味の有無に関わらず取ってしまいました。指導教員は尊敬していますし、講義は面白かったのですが、こういった周りのしがらみなどを気にし過ぎてしまう人はストレスを感じてしまうかもしれません。

欠点4 周りから変な目で見られる可能性がある

 教職大学院の修了後は、教育委員会事務局に行ったり、教頭になったりすることが多いので、出世(?)が目標の人なのねと思われることがあります。私自身はただ単純に学びに行きたかっただけなので、そういうことに興味はありませんでしたが、教職大学院という名称からそういうことに興味がある人と思われている節がありました。実際に同僚からもそういうことを考えて行くの?と聞かれました。もちろん応援してくださる方もいらっしゃいますが、何か行動を起こしている人を疎ましく思う方もいらっしゃいます。それぞれ背景が異なるので、そう思うこと自体が一概に悪いとは言えませんが、そういう目で見られることは頭の片隅にでもあった方がいいと思います。意欲と向学心を持って、安くはない授業料を支払って学びに行くことに対して、変な目で見られることにショックを覚えるかもしれませんが、中にはそういう方もいらっしゃるので、心構えだけはしておいていいと思います。


ひとまず今回はこんな感じです。こういうことがもっと知りたい等あれば教えていただけると幸いです。
今後は時間を見つけて、教職大学院で学んだ具体的な内容をどうにかしてアウトプットしていきたいです。

授業料の足しやコーヒー代にって投げ銭(サポート)してくれるんですか?!!ありがとうございます!次の記事も頑張れます!

え!?出版しないかって?!!ありがとうございます!本にしたいです!

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