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花はいいなあ

2021年 4月

花はいいなあ・・・
昨年の春先から毎朝、道端に咲く花をスマホで撮り続けている。今や私のスマホは四季の花々で満杯だ。この頃は、昨年出逢った花々との再会の日々。
「ヨォ〜元気だったかあ?」と声をかけると「アンタこそ、元気かあ?」と励ましてくれる・・・

人間共は「コロナ」にすっかり打ちのめされてしまっているけど、野の花や草や虫や、小さな生き物たちは、スコブル元気に春を迎えているのだ。
元気だせ!と自分に言う。
淡々と自主製作・自主上映のナリワイを生きるのだ、と自分自身に言い聞かせながら、けっこう「緊急事態宣言」だ、何だって揺れ動く世の中の動向に、一喜一憂していたりもする。自主上映が中止や延期になったり、お客さんの入りが良くなかったりすることにガックリきて、何もかも投げ出してしまいたい気分になることも、シバシバだ。
その度ごとに、路上の花々が「元気だせヨ!」と声をかけ続けてくれる。

その花々のように、友人たちや、見ず知らずの方々も、励ましてくれる。「伊勢さんの映画に励まされたから・・・」と。
やはり、昨年の春頃からDVD-BOXを制作し、自主上映だけでなく、DVDでも自作を観てもらうべく、一歩を踏み出した。そして、この春にDVD-BOXシリーズ全5巻(20作品)が出揃った。地道にPRしているだけだから、まだそんなに売れているわけではないけど、それでも申込みをしてくれる人がいる。中には、こちらの事情を察してカンパのつもりで買ってくれたりする人もいる・・・ありがたくて、その度に独りでじーんとしてしまう。

凝りもせず、自主製作も続けていて、三十年がかりの新作、記録映画の構成編集者だった父、伊勢長之助が戦時中に関わった国策映画創りのことを描いたドキュメント『いまは むかし —父・ジャワ・幻のフィルム—』の完成が近い。
完成が近くなり、製作・上映資金を何とかしなければ、と慌てて思いを巡らしカンパを募ろうと決断、チラシを作って呼びかけたら、すぐに何人かの友人・知人が反応してくれた。郵便局の口座に振り込まれてたり、直接手渡しされたり・・・
この大変な時期に、みんなそれぞれ大変に違いないのに、私が自分勝手に創っている映画にカンパしてくれるなんて、と、何とも言えない気持ちになる。いい映画にしなきゃと思う。

励まされているばかりではなく、私も又、他の誰かしらをもっと励ますことが出来るようでなければ・・・
黙って咲いているだけで、私を励ましてくれている花々や、見返りを求めることなく、カンパを寄せてくれる方々のように。

少しも人間が出来ていないので、いつまでたっても右往左往しながら生きていて、何とかしなけりゃあと、おもう春・・・

風に揺れる花を今朝もワンショット撮りながら、花々の想いに耳を澄ます。
何か、大切なことを語りかけてくれているように想う。

(伊勢 真一)


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