DoubRingで思考を可視化する
仕事と遊びの関係は?
はじめに一つ質問です。皆さんは「仕事と遊び」の関係を「2つの円」でどのように表しますか?
ここではコミュニケーションや抽象化のトレーニングに用いることができる、DoubRing(ダブリング)という思考の可視化ツールを紹介します。
これは、「仕事と遊び」のように2つの言葉の関係を「2つの円」のみで表現するものです。見た目はいわゆる「ベン図」(Venn Diagram)と同様ですが、DoubRingの特徴は、関係を2つの円の「大小関係」と「重なり関係」の2つだけに絞ることによって下図の9パターンに限定し、それによって定量化が可能(どのパターンがどのパターンよりどのぐらい多いとか)になることです。
では「仕事と遊び」の関係にこれを当てはめてみましょう。
皆さんにとっての仕事(A)と遊び(B)の関係は9パターンのどれにあたるでしょうか?一つ最も近いと思われるものを選んで下さい。
あなたは多数派?少数派?
以下は日本人約1,500人からの回答結果です。仕事(A)と遊び(B)の関係が9つのパターンのどれにあてはまるかの分布が示されています。
始めに言えることは、答えが大きくばらついていることです。これがDoubRingを用いて導かれるメッセージの一つです。
このように、「仕事と遊び」のように私たちが日常的に何気なく用いている言葉の組み合わせ一つをとっても人によってそれこそ「千差万別」の解釈があるのです。
いくつかの選択肢を具体的に見ていきましょう。
まずは約1/3が回答と最も多いのがパターン5、つまり仕事と遊びが同じ大きさで一部が交わりあっているという、ある意味自然ともいえる関係です。近年話題になることが多かった「ワークライフバランス」をまさに表現しているといったところでしょうか(これを「理想像」として選んだ人もいれば、「現状」として選んだ人もいることでしょう)。
続いて二番目に多い15%が選んだのがパターン4、つまり仕事と遊びが同じ大きさであるが、これらは明確に別物であるという関係です。平日はしっかりと働いてお金を稼ぎ、週末や長期休みの旅行や趣味にたっぷりとお金と時間をつぎ込むという明確に分離するという考え方でしょうか。
そして次に紹介するのが「両社が同じ大きさ」の三つ目のパターン6、つまり両社が完全に重なっている「仕事しながら遊び、遊びながら仕事する」という関係です。いわゆる「好きなことを仕事にしている」という状態で、起業家や芸術家気質のいわゆる「自由人」等がこれを選ぶことがよくあります。
同様に「2つのどちらかが大きいか?」という関係を組み合わせて考えれば残りのパターンも説明がつくのではないかと思います。
言葉という幻想とDoubRing
このように、私たちは何気なく日常的に用いている言葉においても全く異なる解釈の元で(それを意識することなく)コミュニケーションを行っているということです。いかに言葉やコミュニケーションが「砂上の楼閣」であり、「仕事と遊び」に関する議論が実はかみ合っていないかが垣間見られるのではないでしょうか?
そもそも「パターン4」と「パターン6」の人が仕事と遊びについて語ったところでそもそもの前提条件が全く違っていて、(さらに悪いことに)そのことに当事者も気づいていないまま「空中戦を演じている」ことが多いのです。
このような状況下で、DoubRingを用いることでそもそもの認識の違いを可視化することが可能になります。
テレワークが増えてくると、非言語コミュニケーションが減る分、日常のコミュニケーションにおける言葉の重要性が相対的に上がってきます。そんなときの認識合わせにもDoubRingは有効です。
さらにDoubRingの詳細について知りたい方、さらに世界16の国・地域からのデータを集計した結果を見たい方は、こちらのWebPageを参照下さい。
今後さらに他の問題での事例や他の活用例についても紹介していきます。
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