テネシーワルツ と ジャズミュージシャン:リズムラボ

 Tenessee Waltz (テネシー・ワルツ) は、Mr Redd Stewart (レッド・スチュワート) が作詞、 Mr Pee Wee King (ピー・ウィー・キング)が作曲したカントリー・ポピュラー音楽。
 1946年に作詞、1948年1月にリリースされた、 3/4 拍子の曲です。

1948年の主な出来事

 この年はちょうどアメリカ大統領選挙があった年で、ミズーリ州出身のハリー・トールマン氏が再選を果たし、ニューヨークではジョン・F・ケネディ国際空港が開港。
 ロンドンオリンピックの開催や大韓民国が誕生。一方ガンジー暗殺が行われた年でもあります。
 日本は昭和23年。美空ひばりさんがデビューした年でもあり、太宰治が自殺、東京裁判が行われた年でした。

初期の録音

 まずは最初の録音を紹介しますね。
伝統のカントリー曲の雰囲気が録音からあふれ出ていますね。

Pee Wee King - Tennessee Waltz

Patti Page

 発表後に歌手のPatti Page (パティ・ペイジ) が歌詞を女性目線に書き換えた録音が全米で大ヒット。
 1950年にリリースされたこの「テネシー・ワルツ」は13週間にわたって1位を獲得し、累計売上げ枚数は600万枚。ビルボードのヒット・チャートで1950年代最大のヒットを記録。これをきっかけに世界中に広まったと言われています。


 大ヒットを記録したテネシ・ーワルツは多くの音楽家によって演奏されました。ジャズ音楽家たちも例外ではありません。
 ジャズ音楽家たちの演奏を挙げていきたいとおもいます。

Les Paul

 まずはエレキギター生みの親Mr Les Paul (レス・ポール) の1995年の演奏です。
 とてもゆったりとギターの響きを聴かせた後に、カントリーの子気味良いリズムへと一気に変わります。
 コントラバスとレスポール重なり合う音の響きが素晴らしい楽曲です。
 打楽器は入っていないのですが、頭の中で色々な打楽器が鳴りやみません笑
 エレキギターを作りだした彼がエレキギターを奏でるとき。その時こそが彼の音楽がこの世の中に響きわたる時です。

Les Paul - Tennessee Waltz

Mr Sonny Rollins

 続いてはサックスの巨匠Mr Sonny Rollins (ソニー・ロリンズ) のスタジオ録音のアルバム Falling In Love With Jazz に収録されている録音です。

この演奏に参加したのは
Branford Marsalis ブランフォード・マルサリス  (tenor saxophone)
Clifton Anderson クリフトン・アンダーソン (trombone)
Mark Soskin マーク・ソスキン (piano, synthesizer)
Tommy Flanagan トミー・フラナガン (piano)
Jerome Harris ジェローム・ハリス (guitar, electric bass)
Bob Cranshaw ボブ・クランシャー (electric bass)
Jack DeJohnette ジャック・ディジョネット (drums)
Jeff Watts ジェフ・ワッツ (drums)
という超豪華な顔ぶれ。
 ドラマー目線で言うと、ワルツの静かな雰囲気の中にバシッと音を響かせてくる彼の覚悟ある音に感動に圧倒されます。一般的に静かな曲として思われているワルツをここまでドラマーが自由自在に泳ぎ切る演奏は他になかなか見られないのではないでしょうか。

Tennessee Waltz - Sonny Rollins

Mr Keith Jarrett

 次はピアニスト、Mr Keith Jarrettのライブ録音です。
参加ミュージシャンは
Gary Peacock ゲイリー・ピーコック (b)
Jack DeJohnette ジャック・ディジョネット (dr)

 この手の楽曲でのドラマーとしてジャック・ディジョネットの起用が続きますね。彼への信頼感が伺えます。
 ニューヨークのバードランドで彼の演奏を見たときに独特の存在感が輝いていた事を今でも鮮明に記憶に残っています。すごい存在感と繊細な音楽性ですよね。

Keith Jarrett Trio - Tennessee Waltz

Mr Bennie Wallace (ベニー・ウァレス)

 テネシー州チャタヌガ出身のサックス奏者ベニー・ウァレス氏の1985年のスタジオ録音のTWILIGHT TIME (トワイライト・タイム) というアルバムです。
 参加したミュージシャンは
Rat Anderson ラット・アンダーソン (tb)
Bob Cranshaw ボブ・クランシャー (elb)
Jack DeJohnette ジャック・ディジョネット (ds)
Bernard Purdie バーナード・パーディ (ds)
Chris Parker クリス・パーカー (ds)
Dr. John ドクター・ジョン (p, org)
Rabbit Edmonds ラビット・エドモンズ (h.sax)
Eddie Gomez エディ・ゴメス (b)
Jhon Scofield ジョン・スコフィールド (g)
Stevie Ray Vaughn スティヴィ・レイ・ヴァグン (elg)

 とてもゆったりとした 3/4 拍子で展開される腕利きの音楽家たちによるアドリブの聴きごたえ感がとても心地よい録音です。
 スタジオに集まってこの結果を出す彼らの仕事の質が思い描かれます。

Tennessee Waltz - Bennie Wallace

ボーカル曲のテネシーワルツ

 ここまでは楽器中心のJazzに寄った録音を紹介してきました。
テネシー・ワルツとして残っている録音の多くはボーカル音楽で、名だたる歌い手たちが、テネシー・ワルツという曲のなかでそれぞれの色をこれでもか!と表現しています。
 このnoteではその中で特に気にいった録音を紹介します。

 このエルヴィス氏の録音はその音から、リハーサルか友人の家で奏でている様子を録音したものだと思われます。途中で笑い出したり、メンバーからの提案がラップ調になったりと音楽を心底楽しんで入る様子が伝わってきます。

Elvis Presley - Tennessee Waltz

 ファンク界の巨匠Mr James Brownが歌うテネシー・ワルツ。
 バンドサウンドはコミカルともとれる音使いで、リバーブの効いたジェームスの唄声とバンドサウンドが力強いワルツを聞かせてくれます。

Tennesse Waltz - James Brown

 歌といえば外せないのが美空ひばりさん。
テネシー・ワルツも美空色で彩られ、素晴らしい音楽になっています。

Tenessee Waltz - 美空ひばり

 最後に綾戸千絵さんのソロパフォーマンスを。
綺麗な旋律と歌唱。彼女ならではの表現のテネシー・ワルツです。

Tenessee Waltz - 綾戸千絵

おわりに

 テネシー・ワルツを題材に纏めましたがいかがでしたか?
アメリカ・テネシー州で二人の音楽家が、ライブハウスへ演奏に向かう車の車中で作れらたカントリーソングは現在、世界中で親しまれています。
 人の人生もそうですが、音楽とい創作物がたどる運命というのもまた面白いと感じます。

 今後テネシーワルツがどの様に人々にしたしまれていくのか。とても楽しみです。 

支援したい!と感じていただけたら幸いです。 貴方へ良い影響が一日でも早く届くようにサポート頂いたお気持ちと一緒にしっかりと活動を通じて貢献していきますね!