The Lost Weekend / 失われた週末 : 俺の映画鑑賞記録

THE LOST WEEKEND (失われた週末)
1945年
ビリー・ワイルダー監督

アルコール依存症となった作家の男性と、彼を立ち直らせようとする家族・恋人・友人の一つの週末を描いた作品。

お酒を飲む事と、酔う事に執着する男の思考・行動・悩みが描かれていて、最初は家族との約束をすっぽかし、恋人との約束をやぶり、家族からお金をくすね、他人の財布を盗み、無銭飲食(アルコールを飲みに行くだけ)をして、友人のバーでお酒を無銭で強請り、仕事道具を質入れし、自分に思いを寄せている女性にお金の無心、依存者専門病棟からは逃げ出し、恋人のバッグとコートを質入れし、終盤には拳銃し自殺を計ろうとする。
泥沼へとハマって行く様が描かれていました。

最後には自殺を見抜いて止めた恋人の前で、アルコールを断つ意思を自発的に見せた所で、友人が彼の仕事道具を届けてくれて、作家として成功していきそうな様子を見せて映画は幕を閉じます。

この映画の配給は1945年。という事は戦争中に企画・撮影された映画ですね。
思うにこの頃のアメリカ合衆国社会には大きくストレスを抱えた国民が多く居た背景がある様に感じます。
何かに依存する事への警鐘、ストレス社会を育んだ政治への警鐘、様々な意図を感じます。

映画制作会社が映画配給前に酒造業界から「この映画を処分してくれたら500万ドル支払う。」と打診があったと2001年の雑誌のインタビューで監督が答えたとされています。
アルコール依存症を真剣に描いた最初の作品と言われており、社会に対して大きな「問い」を投げかけた製作者としての誇りを制作話から感じました。

依存症という状態を見ながら、自分が好きで熱中して取り組んでいる事は、もしかしたら他人から見れば「依存症」の様な状態になっていないだろうか。
と、自分の熱中している行動について内省しなが鑑賞しました。
渦中に居る当事者が、自分の行動を俯瞰して観る事はとても大変な事だけど、それを自然に出来る様にしたいなぁ。と思うのです。

良い映画鑑賞でした。

#俺の映画鑑賞記録

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