cakes編集部との協議の結論・連載の今後・note株式会社に対して今思うこと

前回のエントリーを書いてから、cakes編集部の担当編集、編集長とzoomミーティングで直接話したいとお声をいただき、3者でお話しさせていただきました。

今まで私は、cakesの炎上騒動が起こるたびに何らかの意思表示を示してきました。
協議では話題が多岐にわたり、3者で話すことによって新たに感じたことも膨大で、個人的にまとめたいこと、割り切ったこと、これからcakes編集部、note株式会社に求めたいこと、ヲタ夫婦の連載の行方について、内内のミーティングの結果を自分一人で胸にしまうのではなく、個人的な私の気持ちは書ける範囲でここにまとめたいと思い、この記事を公開させていただきました。

この記事は、色々な理由で書ける範囲のことしか書けませんし、聞いたことをすべて公開するつもりや、暴露、露悪的な記事にするつもりはありませんし、note株式会社と全面的に対峙したいという気持ちもありません。
note社の公式な見解ではなく、打ち合わせを終えた私の個人的な感想とお願いだと思って読んでいただければ幸いです。

cakes編集部の状況について

結果的に、なぜ炎上した作家は連載を継続し、他の作家にとっては連載を打ち切られたりテーマ変更を余儀なくされるアンフェアな状況を生んでいるのか、明確な答えは得られませんでした。そして、これ以上何らかの発表や作家に対する発表をするつもりはなく、作家には個別に「cakes連載ガイドライン」を説明し、何かあれば意見をください、という対応にとどめているようです。(私の憶測を多分に含んでいます)

私はこの対応にとてもじゃないけど納得はしていませんが、
編集長も担当編集も、cakesの編集としてこの対応や今の状況でいいとは思っていないけど、これ以上の対応ができない、上のレイヤーでの事情があるという印象を私は受けました。(編集からそう言われたわけではなく私の憶測と印象です)

そして、「作家の掲載する場所を守りたい」というcakes編集部の強い思いは協議の中で伝わりましたが、「作家を守りたい」と思うあまり、肝心の作家を守れていない(経済的にも、作品制作的にも負担をかけ、代替の提案や具体的なフォローがない)上に、「作家を守るためにも連載ガイドラインを設定した」ということでしたが、作家が求めてることってガイドラインを設定する事じゃなく、原稿料の保証だったり、アンフェアな待遇への説明だと思うんです。ガイドラインには確かに作家に有用な情報が盛り込まれている部分もありましたが、私には「note社の上層部に再発防止策を説明するための説得材料」だと感じたのが正直な印象です。
※協議中に説明を受けましたが、現在は特定のテーマを扱う連載打ち切りをする対応は編集部内で見直し、行っていないようです

cakes編集部の現在の限界

ただ、私は上記に書いたことは編集長、担当編集に率直にお伝えしましたが、「お話を伺った通り、作家をもっと具体的に守れるように努力し、改善していきたい」と編集長が約束してくださったのは前向きに感じていますが、
同時にcakes編集部もそれぞれ思うところがあっても言えないでいる状況のようで、きっと一枚岩ではないと感じましたし、どちらかというとcakes編集部以外のところに大きい軋轢があり、現在のcakes編集部は自由に対応ができないのではないかと私は勝手に感じました。

その点はとても残念に思いますし、編集長ではなくnote株式会社の上のレイヤー、もしくは全体に私は意見を述べなければ何も変わらないし伝わらないのではないかなと感じたのが個人的な所感です。

cakesとnote

これもはっきり言われたわけではなく、個人的に感じたことですが、「cakesがやらかした」「noteはcakesのせいで損失を被った」「noteとcakesは違う媒体だけど同じくくりに見られてる」というような雰囲気を、この協議の前から、特定の人ではなく、いろんなnote社の関係者の方の言葉の端々から感じました。

私からしてみたら、noteもcakesも同じnote社の事業で、同じ会社の媒体だと思っています。

すごく大きなお世話だとは思うんですが、どこかの事業部が損失を出したからと言って、その事業部を切り離したり責任を追及するのではなく、会社全体で「なぜ起こってしまったか」「次起こらないために全社としてどうしていくか」を風通し良く話せる雰囲気にしないとただの内輪もめが起こるだけではないのでしょうか。

cakesの担当編集個別の対応にフォローをまかせていて、担当編集だって編集部見解がない中での対応は限界があるだろうし、編集部全体としてアナウンスが出しづらくなっていたり、編集長が社内の説得に追われているような状況では、私たち末端の作家の信頼を獲得できるリソースなんて割けるわけないですよね。

私は今cakesに作品を預けているので、cakesには改善していってほしいですが、そのためにはnote社全体がcakesだけのせいにしてないで、cakesの改善に協力してほしいなと思います。
これは本当に、思いっきり空気を読まず、ただのいちフリーランスが会社の内部事情を勝手に推測して口を出して申し訳ない限りですが、なにせフリーランスの自由な身の上なので、あえて無責任に述べさせていただきました。

私もcakesが改善してくれないと、原稿料も減るし、倫理観がアップデートされないメディアの作家だと誹りを受けることも避けられないので、掲載作家としてとても困っています。

逆にこれを書いたことで私のcakesの掲載がストップしたり、協議を設けてくれた担当編集や編集長に圧力がかかるようであれば、心置きなく私はnote社を離れます。

私はどうしていくのか

協議を終えて感じたことは、
私が指摘したようなことはcakes編集部内で事前に議論してほしかったし、議論にも出なかったことは残念だなということ、
ただ、作家のフォローに気持ちを割ける余裕やリソースが末端の編集にまるでなくて、編集長も編集も追い詰められて余裕のなさを感じたので、note社がcakes編集部をフォローしてほしいと思ったこと
編集長が制約のあるこの状況でも、cakesを良くしていきたいという強い意志と約束をしてくれたことには評価をしています。

なので、私はcakesの編集長と担当編集に、私が連載を再開する上での、お願いと約束を申し送りしました。作家の待遇にもっと想像力を持って改善をしてほしいというような趣旨のお願いです。
今のところ、前向きに努力するので見ていてほしいというお言葉を頂いています。

今後、ヲタ夫婦、ミリオンドールの連載については、その約束への努力を私が受け取れる限り、引き続き継続していきたいと思っています。
協議を受けて、というより、協議を受けるまでの期間で、私なりに考えて、読者にとっては媒体の事情はどうでもいいことだと思う方もいるだろうし、私は連載は読者のためにできる限り継続するべきだと考えたからです。他の媒体で同じような形で再開できる保証はなかったため、よほどのひどい対応が協議でなされない限り連載再開をする心づもりでした。

そして、私の読者の皆様にも、cakesは改善していくことを読者の皆様にも約束したいと編集長が意思表示していただいたので、今はその言葉を私は信じようと思いますし、読者の皆様にも、私がそう思ってることをお伝えしておきます。

今後のcakesに求めることと、炎上について感じたこと

私はまだまだ実力不足な作家ではありますが、フリーランスなりに、色々な編集部を経験し、自分も自分以外の作家さんのケースも、色々な炎上を経験したり話を聞いたり観測してきました。

今回一連のcakesの炎上に関して、他人事のように書いてしまうことを心苦しく違和感を感じながら上記エントリーをまとめさせていただきましたが、
私はcakesの炎上をそれぞれ見ていて、とてもリテラシーの高い論点で燃えているように感じました。

私が漫画家としてよくある炎上としてすぐ思い浮かぶのは、盗作、トレス・パクリ、展開への不満からの炎上、作者への誹謗中傷などです。
cakesの炎上はそういった次元とはまた違ったレイヤーで、「人権とは何か」「マイノリティの権利とはなにか」「立場の弱い人への配慮ができるか」について、想像不足であった点をcakesは指摘され炎上しているように感じました。(このように傷ついた人が実際にいる複数の炎上を、わかったように見解をまとめることは本当はまったく好きではないのですが、文脈上お許しいただけると有難いです)この観点が語れる読者が多いメディアって、私は素直に読者のリテラシーがとても高いと感じました。クレーマーではなく、これは資産として考える方が生産的ではないでしょうか。

炎上したから、誰からも好かれるようなトゲのないコンテンツや作品を増やそうという方向に今後cakesはなっていくのかもしれませんが、私はそういうリテラシーの高い読者が多いメディアであることは逆に強みであると思うし、自分がこれから作品を描くのであったら、リテラシーの高い読者にも納得してもらえるようなレベルの高いものを、配慮や想像力を盛り込みながら描いていくべきだなと作家として感じました。

なので、cakesは今後反省のポーズのためでも危機回避のためでもなく、炎上したことを糧にして、メディアとしての矜持を取り戻し、リテラシーが高く尖ったコンテンツを変わらず作り続けてほしいなと願っています。
私もそういうメディアで連載できたら光栄です。

note社へ伝えたいこと

ちなみに私はnote事業部のIPアドレス流出に対する対応も適切だったとは思っていませんし、今回の一連の炎上をnote側が対岸の火事のようにとらえているのであれば早々に考えを改めていただきたいです。

私も大きい組織の会社人であった時期もありますし、ぶしつけですが色々な想像はつきますが、難しいこともとても理解ができます。

note社のトップや決定権のある方を私は存じないですが、
今後cakes編集部が改善していくことを、損失が出たのであれば尚更全社的にサポートしていただきたいですし、風通しのよい環境づくりをお願いしたいです。

現在の状況のしわ寄せが末端の作家に来ていることを、きっと想像されていないと思いますが、会社全体が立場の違う人の状況や感情を想像できないこと自体が一連の炎上の原因だと感じるのです。

クリエーターファーストであるサービスを提供する会社として今後も事業を継続するのであれば、ぜひいちクリエイターとしてお願いしたいです。
今後気持ちよくnoteを利用し、cakesで連載できるような状況になってほしいです。

最後に

とても上から目線な論調で、偉そうに持論を述べてしまい申し訳ありません。掲載作家とはいえただのフリーランスで、他人と言えば他人、他の企業のことをここまで口を出すことは行き過ぎているとも感じます。

私がこの記事を発信することにしたのは、note社が変わる期待をしているためです。まだ、変わってほしいと思っています。
納得のできない部分はあっても、本質的にはcakesの担当編集さんや編集長さんの人柄を、編集としての仕事の仕方を嫌いになれませんでした。

だからこそ、note社全体にお願いをしたく発信させていただくことにしました。
そして、私もきっと今後ご迷惑をおかけすることもあると思いますし、
私自身が何らかの配慮が足りず過ちを犯してしまうことも十分にあると思っています。
その時にはこの記事のことを思い出して、自省できる自分でありたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。


追記:
読者の方向けの追記になります。
私の個人の表明は関係なく、それでもnote社のサービスを使いたくないという方を否定する意図はまったくありませんし、尊重します。
今後、このnoteで有料記事を更新する場合は、codocにも同じものを更新していくことにしました。
noteの記事を買っていただいていた方で、noteに課金をしたくない方はぜひcodocのほうで読んでいただけると幸いです。

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