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【Yコンビネーター】スタートアップのファイナンス

YコンビネーターのYouTube面白くてめっちゃ見てます。

YコンビネーターのCFO Kirsty Nathooは今まで2000ものスタートアップをサポートし、たくさんの成功と失敗を目にしてきた。
そんな、彼女がスタートアップが見落としがちな重要な現金についてのポイントを説明する。

現金はスタートアップの血液

どんなビジネスでもキャッシュがなくなったらおしまいだ。
それでも、手遅れになるまでそれに気づかずにつぶれた会社はたくさんあった。

どの数字を見ればいい?

会社がうまくいっているのかを知るためにはどの数字を見ればよいのか。それを知らない人は多い。
それは以下の3つだ。
・現預金額
・キャッシュインフロー/収入
・キャッシュアウトフロー/支出
どれも当たり前で、口座を見ればすぐに分かり計算のためのソフトを使う必要もない。それでも、多くの会社がそれを見落としていることにあなたは驚くだろう。
この3つの数字を使うことで次の4つの指標を得られる。
・Burn(現金燃焼)…ある一定の期間での現金の減少額
 →キャッシュアウトフロー - キャッシュインフロー
 ex) 2020年3月 支出250万ー収入100万=150万 
・Runway(見通し)…あとどれくらいで現金がなくなるか
 →現預金額÷平均現金燃焼
 ex) 現預金1500万÷1か月あたり燃焼額150万=10か月
・Growth(成長率)
 →収入変化額(当月ー先月)÷ 先月の収入
 ex) (3月の収入120万 - 2月の収入100万)÷ 2月の収入100万=20%
 (毎月の成長率が同じでもJカーブは生まれる)
・Default Alive…支出と成長率が一定だとして黒字化までに必要な現金
 →Σ(Xr^n-Y)  : Xは収入、Yは支出、 nはXr^n=Yとなる数字

どれも簡単な数字だがどれも見落とされやすい。そしてこの数字は会社のための数字なので良く見せようとしなくてよい。自分自身にうそをつくことになる。
一番の目的は利益を得るようになること。そのために支出を減らすべきか成長を加速しなければいけないのか知ることができる。

常に確認を怠らない

見るべき数字はわかった。それでも、すぐに忘れてしまう。そんなことはありえないと思うかもしれないが、よく起こる。
少なくとも1週間に1回は確認しよう。財務状況が良くないなど、場合によっては毎日チェックが必要かもしれない。
だれにいつ聞かれようとも、答えられるようにしておくべきだ。

支出を少なく見積もるな

Default Aliveでは支出を一定としたけど、実際は支出は増えていく。

・初期の頃は、あなたがほとんどのことを自分でできて最低限の給与でやっていける。実験段階では意図的にスケールしないこともあるだろう。もちろん、悪いことではないがその場合CAC(カスタマーアクイジションコスト)が小さくなるが、それはグロースするにつれて大きくなる。
また、アーリーアダプターを見つけるのは比較的簡単だがマジョリティを獲得するのは大変だ。CACは次第に大きくなるだろう。

・人を雇うことで発生するコストは給与だけではない。従業員には、PCやデスクなどの支給が必要になるし、福利厚生も必要だ。一般的に従業員1人につき給与の25-50%のコストが給与とは別にかかるといわれている。
エンジニアを1000万で雇ったとしたら250~500万のコストがさらにかかる。注意しておいて。

現状のコストを常に確認して、それが妥当なのか、今後どのくらい増えそうか考えなければならない。最悪のケースを想定しておこう。
Runway(見通し)はあなたのための数字であって、他社と比べるものではない。だから、嘘はつかないでしっかりと現状を把握しなければいけない。
うそをついても、キャッシュがなくなったらおしまいだ。

経理を雇っても数字を確認し続けろ

ここからは、成長段階のスタートアップへのアドバイスになる。
CEOは会社の財務管理が大変になってくると、経理を雇う。普通のことだ。資金調達をして、やることが増えたらそうするべきだ。
それでも、CEOは数字の確認を忘れてはいけない。CEOはその責任を負う。また、CEOだけでなく全員で確認しなければならない。経理たちは、銀行口座やたくさんの請求書から数字を割り出す。彼らは、ビジネスを完全に理解していない可能性もあるので間違えることもある。
数字がおかしいと思ったら、彼らに質問しよう。自分が理解してないと思われることを恐れてはいけない。レポートの数字が間違っていることもよくあることだ。思い違いがあればきちんと調べよう。
ファウンダーたちはよく私のところにきて、経理の文句を口にすることがある。「経理がちゃんとしないんだ。間違った数字を伝えてきて、Runwayも何もかもわからなくなった」ってね。この場合よくあるのが、ファウンダーたちがコンスタントにレポートを確認していなくて時すでに遅しとなっていることだ。黒字化をするにも資金調達をするにも時間が足りなくなっている。そうなったら、キャッシュがなくなって会社はおしまいだ。

事業拡大に急ぎすぎる

事業拡大にいそぐあまり、従業員を雇いすぎてしまうことがある。従業員の人数はわかりやすい数字で、よく質問されるし従業員が多ければ多いほど順調に聞こえる。でも、そうとも限らない。
従業員にかかるコストは給与だけではないことはもう伝えた。
それに加えて、リクルーティングは投資であるからきちんとリターンが返ってきているか把握しなければならない。セールスマンのリターンを求めるのは簡単だけど、マネージャーといった従業員のリターンを求めることは難しい。それでもCEOはすべての従業員が会社にリターンをもたらしているか知っておくことが要求される。もしそうでなかったら、悲しいけど、解雇する準備をするべきかもしれない。
たくさんの従業員がいれば事業は順調だ。このトラップにはまることは多い。でも本当は逆だ。最高のスタートアップは少ない従業員でより高い生産性を示す。
だから、従業員と収益の比率を確認してそれが高めていくことが大切だ。
そしてそれは黒字化への近道となる。

PMF(プロダクトマーケットフィット)を得るまでに従業員を雇うことも危険だ。PMFを模索中のときはできる限り支出を抑えた方が良い。そうすることで、Runwayが長くなってPMFを達成するまでの時間が稼げる。
多くの従業員を雇うことえばPMFにたどり着くということはない。
ファウンダーたちはこう言うことがある。「売上が低いのはセールスマンがいないからだ。セールスマンさえ雇えば、売上はもっと伸びると思う。」これではPMFしているとは言えない。
他にも、こういう会話がある。「もし、エンジニアがもっといれば便利な機能がもっとつくれて売上が上がるはずなのに。」これも同じで、PMFとは言えない。多くの機能がなくても、たとえ少しくらい使いずらかったとしても対価を払う価値のある問題を解決するプロダクトであれば顧客はそれを求めるだろう。

資金調達に十分なRunwayを

他のミスは取り返しがつくが、このミスを犯してしまったらおしまいだ。
資金調達をするまでにRunwayが短い、いいかえると、キャッシュがなくなるまでの期間が短すぎると、資金調達に支障をきたす。
原則、あなたはもう二度と資金調達ができないと仮定して経営する必要がある。そして、その資金で収益化をめぜそう。
「大丈夫。信頼する投資家がいて、彼らはまた投資してくれるはず。」こう言う起業家がいる。投資家に頼りっきりになることはとても危険だと思う。
シード期の資金調達は起業家のアイデアや仮説に投資している。シリーズA以降の資金調達は格段に大変だ。持続的な成長、PMF、たくさんのアイデアが求められる。
Runwayが十分にあれば資金調達が必要か黒字化を目指すかを判断できる

まとめ

・現預金額とRunwayを常に把握する
・コストがこの先どれくらい増えていくか確認する
・単なる従業員の人数でなく、売上と従業員の比率を考える
・二度と資金調達できないと仮定して黒字化へのプランを持つ

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