見出し画像

Pixiesと電気グルーヴ

電気グルーヴの「富士山」を聴いていて思った。馬鹿らしくて直球な音楽に美しさを感じる。pixiesの「Debaser」なんかはずば抜けて美しい。

極めてネガティブで、グロくて、また稚拙な歌詞は、馬鹿らしい。馬鹿らしいんだが、彼らはそれを祭りのように陽気なアップビートに乗せ、全力で喉を震わせ歌い切る。その音は、脳ではなく、腹の奥底に響く衝撃となる。

その衝撃によって世界の時空は歪んで、カッポリと大きな穴ができる。その先には、社会から全く隔絶されたユートピアが待っている。日常のストレスでぼろぼろになった人達が、笑顔でそこにいる。
僕は気がついたらそこに寝転がっている。表情にストレスの跡は微塵もない。

・・・

「Wave of mutilation」でpixiesが歌ったのは、家族を乗せた車で海に突っ込み集団自決を図った日本のサラリーマンの話。
残酷で、切ない、暗い。

そんなこの世の地獄を、彼らは喜劇のように歌う。魂を歌声に乗せ、この世の闇を光に昇華させていく。自ら命を絶つことの善悪を超えて、僕らの人生の全てを肯定していく。

自然と精神と身体が熱くなってきて、まだ頑張ろう、そう思うことができる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?