本日の小説

彼女は死ななければならなかった

あらゆる理不尽から怒りから逃れるために

本来死ぬようなことではなかった。

ただ彼女には生きる目的が無かった。

愛し合う人も、夢も、とくに持ち合わせていなかった。

だから、死ぬ。これは、病ではなく、合理的な結論だった。

だから、精神病院にいくだの、相談電話をかけるだのは、無意味でしかなかった。

あまりにシンプルな理論のため、相談する意味が無かった。

ただ唯一の問題は、痛いということだけ。

苦しいこと。

あとは、人様に死体の処理について、面倒をかけること。

けれど、よく考えてみれば、誰しも何かのケガや病気にかかり、痛み苦しみ、死に至り、人様に死体の処理をさせるのだ。

それが、少し早いか遅いか。ただそれだけの違いだった。

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