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経済格差を小学生と考える

ノガレス(Nogales)はアメリカとメキシコの国境にある町。北側はアメリカで、南側はメキシコ。同じ文化、価値観を持ちスペイン語を話すのだが、アメリカ側は豊か(年収3万ドルほど)で、メキシコ側は貧しい(年収1万ドルほど)。

その理由を考えようじゃないか。
という、ワークショップを小学生と行った。
「アメリカは豊かで、メキシコは貧しいから」と話す子どももいるが、「じゃ、なぜアメリカは豊かで、メキシコは貧しいのだ」と質問する。

これを説明する本が「我々はどこから来て、今どこにいるのか?   アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか」で、大変面白かった。以前、ジャレド・ダイアモンドさんの本にも同じようなことが書かれていたと思う。

「収奪経済」という言葉はなるほどと思う。メキシコでは、いくら稼いでも、不条理に物が取られてしまう。という文化で育っていた。そこに、経済のインセンティブが働かず、イノベーションを起こす理由がなくなる。

ノガレスはアメリカとメキシコの国境にある

韓国と北朝鮮の経済の差も考えてもらった。
なぜ、北朝鮮は貧しく、韓国は豊かなのか?

ということで、サイエンスキッズのワークショップ。


これはあなたのおばあちゃん、「ツルばあ」です。ツルばあは、お金持ちにものをとどけるサービス、「タマゾン」を経営しています。おばあちゃんは、あなたにおつかいをたのみます。そのたびに、おこずかい(110円)をくれる、やさしい(?)、おばあちゃんです。今回の依頼は韓国のソ・ギョンホンさんからです。


「わたしの村は北朝鮮きたちょうせんにありました。1950年に戦争せんそうがはじまりました。わたしは、食料しょくりょうを買いか に、10キロメートル先のお店 みせに行っていたのです。帰ろうとすると、兵隊へいたいに囲まれ、家にもどることができなくなりました」


きゃんちゃんがおしえてくれます。「韓国と北朝鮮はもともとひとつの国だったのね。それが、戦争で分かれてしまった。そのとき、多く の家族がはなればなれになった。そういう人々ひとびとを『離散家族かぞく』と呼んよ でいる。いちばん多い 時で700万人もいたそうよ。

ソ・ギョンホンさんは言いい ます。「はい、わたしの家族かぞくもその離散りさん家族かぞくです。姉、母親ははおやは北朝鮮きたちょうせんに残りのこ ました。あれから、70年以上いじょうが経ちた ました。きっと、母親ははおやは亡くな なったことでしょう。姉もどうなのか分かわ りません。じつは、彼かれらの顔かおもうまく思いおも 出せないでいるのです」


ツルばあ「それで、写真しゃしんをとってきてほしいという依頼いらいを」 ソ・ギョンホンさん「はい。実家じっかには家族かぞく、三人で撮影さつえいした写真しゃしんが飾っかざ てあったのです。あの写真しゃしんをとりかえせるなら、いくらでも払いはら ます」 ツルばあは、ニヤリと笑いわら ました。

「おつかいにいってくれるよな?」 ツルばあは、あなたに聞きました。どうやら、いくしかなさそうです。翻訳機ほんやくきの『ロゼッタファン』を探しさがます。

タイムマシーンで1950年の過去かこに移動いどうします。1950年は何年前なんねんまえですか? 今年の西暦せいれきから、引きひ 算してください。


タイムマシーンで過去かこにつきました。おや、いきなり朝鮮ちょうせん人民じんみん軍ぐんの兵隊へいたいにつかまってしまいました。。。

「あやしいやつだ。いまから、共産きょうさん主義しゅぎについて質問しつもんするから、答えこた ろ!」 え、「共産きょうさん主義しゅぎ?」 はじめて聞く言葉ことばです。よくわかりませんが、正解せいかいしないと、たいへんなことになりそうです。 「共産きょうさん主義しゅぎでは土地とちは誰だれのものだ?」

「貧しまず い人がいなくて、みんなが支えささ あう。って、いいことじゃない? 共産きょうさん主義しゅぎわりと、いいかも」と話すはな と、兵隊へいたいは「そのとおりだ。われわれは、今からみんなで豊かゆた になる。資本しほん主義しゅぎのアメリカはダメになっていくはずだ」と話しはな て、そこを立ち去りました。ところで、アメリカ人の平均へいきん年収ねんしゅうは800万円まんえんくらいです。北朝鮮きたちょうせんの人はそれより、高いたか ?低いひく ?



ソ・ギョンホンさんの家にやってきました。彼かれの言っい ていたとおり、家族かぞく写真しゃしんがあります。幸せしあわ そうです。こんなに、幸せしあわ そうだったのに、たった一日ではなればなれになってしまったのは、悲しかな いことです。キャンちゃんが、このような家族かぞくをナントカ家族かぞくとおしえてくれましたね。なんでしたか?

もって帰っかえ た家族かぞく写真しゃしんは、ソ・ギョンホンさんに渡りわたました。感動かんどうのあまり1時間じかんもそこで泣いな ていたそうです。きっと、思いおも 出がよみがえってきたのでしょう。おばあちゃんはおこずかいをくれました。いくら、くれたのでしょうか?


あいかわらず、110円です。でも、今回こんかいは良いよ ことをしたので、気持きもちちが晴れやかです。韓国かんこくと北朝鮮きたちょうせんは同じおな 国でした。もともと、北の方が工業こうぎょうが発達はったつしてしており、豊かゆた だったのです。70年が経ちた 、韓国かんこくは豊かゆた になり、北朝鮮きたちょうせんは貧しまず くなりました。それは、いったいなぜなのでしょうか?

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