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光のオーケストラ 第二回演奏会 ギター視点

!!!注意!!!
この記事は2023年光のオーケストラのギター奏者の備忘録です。2023年の苦悩をそのまま文章にしたようなものなのでメチャクチャ長いよ!!


はじめに

2023年12月23日に開催された「光のオーケストラ2023」にギター奏者として参加させていただきました。Xでも終演後にポストしましたが、この場を借りて改めて、ご来場下さった方々、運営の方々、楽団の方々、そして本公演に携わってくれた全ての方々に最大限の御礼を申し上げます。本当にありがとうございました!終演後の反応も非常に好評で、本公演に奏者として携われたことを誇りに思います。

光のオーケストラ(ヒカオケ)の第1回演奏会は観客として参加させていただいたのですが、前回の編成には無かったバンド編成も組み込んだ更に大所帯の編成になるということで、今回は僭越ながら奏者として参加させていただきました。

オーケストラ楽器、合唱、バンド楽器などなど、総勢約160名の大編成の中でギターを弾かせていただいたのですが、「あくまでアンプラグドでこだわれる部分はこだわりたい」という志向の楽団なので、PAを介さないオーケストラ楽器主体の編成の中での音作りや楽器の音量バランスには非常に苦労しました。特にエレキギターに関してはそのような編成の中で演奏すること自体が初めての経験だったこともあり、本番を迎えるまでに試行錯誤をずっと繰り返していました。

ギタリストがPA無しのオーケストラ編成に混じって演奏すること自体非常に稀有なことだとは思いますが、私の経験や知識が少しでも同じ境遇の方の役に立てばと思い、2023年の苦悩の末に辿り着いた本番に使用した機材、及びその導入・設置理由等をここに纏めます。

セットリストとギター演奏の有無

○:アコースティックギター使用
◎:エレキギター使用

  1. 紅蓮編

    1. 紅蓮のプレリュード/衝撃 ~ラールガーズリーチ:昼~/紅の夜明け ~クガネ:昼~(○)

    2. 塩と苦難の歌 ~ギラバニア湖畔地帯:昼~/自由か死か ~紅蓮決戦アラミゴ~/鬨の声(○)

    3. 銀鱗と鋼鉄/龍の尾 ~神龍討滅戦~

    4. 月下彼岸花 ~蛮神ツクヨミ討滅戦~(◎)

    5. 心を持たぬもの ~次元の狭間オメガ:アルファ編~/空より現れし者 ~次元の狭間オメガ:アルファ編~

    6. 翼に夢を

  2. 漆黒編

    1. 驚嘆の真実/世界を照らす闇 ~クリスタリウム:昼~

    2. 始まりの湖 ~レイクランド:昼~/生きる理由/シヴィライゼーションズ ~ラケティカ大森林:昼~

    3. 獣の腹 ~偽造天界グルグ火山~/インサニティー ~イノセンス討滅戦~(◎)

    4. 冥き水底 ~テンペスト深部~/死の刻 ~終末幻想アーモロート~/貪欲(◎)

    5. 砕けぬ思い ~ハーデス討滅戦~

    6. To the Edge(◎)

    7. 古の星空 ~エルピス:夜~

  3. 暁月編

    1. 暁月のプレリュード/知恵の水瓶 ~オールド・シャーレアン:昼~/迷宮 ~ラヴィリンソス:昼~(○)

    2. ゾットの塔 ~暁月~/終の戦/帰らん、地平の彼方へ/小さな命(◎)

    3. 絶望の果て/空が燃える火 ~終末樹海ヴァナスパティ~(○)

    4. 古の空 ~エルピス:昼~/星の海 ~星海潜航アイティオン星晶鏡~/Your Annswers ~ハイデリン討滅戦~

    5. デュナミスの欠片/先ゆく星々 ~最終幻想レムナント~

    6. 終焉の戦い/想いが動かす力(◎)

    7. 小さな一歩 ~嘆きの海~/街のテーマ ~暁月~/ハピネスキャロット ~楽園都市スマイルトン~(◎)

    8. 星と命を巡る物語(◎)

全曲ギターの出番があったわけではないのですが、大体エレキとアコギで半々くらいのバランスでした。漆黒編の2曲目は諸般の事情でエレべを弾きましたが、エレべ関係の機材は副団長のしゅーちゃんのものを一式お借りしました。

使用ギター一覧

1963 Fender Stratocaster

一昨年に入手した、リフィニッシュ、PU交換、フレット打ち直し等々の手が加えられている所謂プレイヤーズコンディションのヴィンテージストラト。演目上では、漆黒編の4曲目以降のエレキギターパートのある全ての楽曲で使用しました。

クランチ~ディストーションくらいのゲインで鳴らしてやるともう最高の音が出ますね。勿論、クリーンで鳴らしてやっても良い音です。リアPUで主に使用していますが、どのポジションで弾いても存在感のある音色を奏でてくれます。私には勿体ないくらいの素晴らしいギターなので、早くこの子を演奏するのに相応しい奏者になりたいですね…w

1958 Gibson Les Paul Junior Double Cut

10年程前に入手したヴィンテージのレスポールJr.。今は為替の影響と個々の個体価値が上がってどんどんヴィンテージ楽器の値段が上がってます。悲しい。演目上では、月下彼岸花とインサニティーで使用しました。

上記のストラトより歪みやすく、且つ太い音が出るので、音のキャラクターの違いで使用する楽曲を分けました。PUがP90一発という非常に潔い構成なので、音作りに迷いがあんまり無いというのも良い点かなと思っています。

Taylor GS5

アコギはこの子一本で弾き切りました。10年以上前に入手したTaylorのアコギです。以前ギター奏者として参加させてもらったMond Tränen PhilharmoNikeR(通称、月オケ)演奏会2019 - 永久の響き 生命の歌 -でもこのアコギをメインギターとして使用しました。

明るいキャラクターの出音で、ストローク、アルペジオ、リードのどれで使っても存在感のある音が出るので非常に重宝しています。

エレキギター関係のサウンドシステム

Amplifier(Blackstar AMPED1)

ギターアンプに関しては最初は真空管のアンプヘッドを練習に持ち込んだりしていたんですが、如何せんデカくて重すぎること(16kg超!!)、音量調節が非常にシビアであること(マスターVolで絞りすぎると音が細くなるんですよね)などの諸般の事情から、最終的にはこのフロアタイプのアンプを選択しました。
特にサイズ・重さの問題が個人的には大問題でした。自分一人で持ち運びしているならまだしも、団員の皆さんがご厚意で何度もクッッッソ重い機材の搬入・搬出を手伝ってくれるという状況下でそれはダメだろう…とw

このAMPED1、約1.3kgという超軽量(重要)のフロアアンプで、ソリッドステートアンプではあるものの最大100Wという十分な出力を有し、且つ出音が非常に素直なのでエフェクター乗りが良いのです。特に、パワーアンプ部の異なる6種類のパワー管シミュレーションを切り替えられる機能が面白いですね。出音の帯域バランスやコンプの掛かり具合をパワーアンプ部の設定で変えられる機能は他のハードウェア機材にはなかなか無いんじゃないかな。

今回のヒカオケでは、エレキギターには個々の演奏楽曲によって様々な音量設定、出音のキャラクターが求められました。「出音をアンプメインで調節するのか?それともエフェクターで調節するのか?」は本当に最後の最後まで悩んだんですが、「調節のし易さとその幅の大きさはどの程度か?調節の際に奏者がどの程度動く必要があるか?」等を総合的に勘案した結果、アンプで大本のEQや音量等の設定をして、足元のエフェクターで音のキャラクターの切り替え及び音量調節をするというスタイルを最終的に選択しました。この観点でもエフェクター乗りの良いAMPED1は個人的にはベストチョイスだったと思います。

Cabinet Speaker (Marshall 1922)

キャビの選択は、何インチのスピーカーが何発乗っているものを使うかが重要だと思います。ロックバンドのライブでは12インチ4発が定番だと思いますが、ドラムをフルパワーで叩けない(ドラムのバカデカい音量が他のパートを食い潰してしまうので)オーケストラ楽器主体の編成では流石にオーバースペックかなと思います。かと言って1発のキャビだと音がコンパクトになりすぎて上手く飛ばない可能性も。オケの練習時は10インチ1発のキャビを持って行ったりしていましたが、総勢約160人の大編成の中で鳴らすことを考えるとちょっと心許ないなぁと感じたので、本番では12インチ2発のキャビを使いました。

Marshallの2発キャビだともう少し重くてデカい1936が定番だと思いますが、1922と1936の両方を同じ環境で鳴らした結果、1922の方が使い勝手が良さそうだったので1922を購入。音がデカすぎるとマズいので、練習中はアッテネータをアンプとキャビの間に常に入れて鳴らしていましたが、最終的にはAMPED1のマスターVolで調節できるレンジに落ち着いたのでアッテネーターは取っ払いました。

Effectors

音量・音色の変更・調整は上記の通りこのボードに組み込んだエフェクターで全て行いました。画像中の番号は以下列記のエフェクターの番号に対応します。全部詳細を説明すると流石に長すぎるので、それぞれ出来るだけシンプルに…

① Perfect Volume Original Standard(Shin's Music)
パッシブタイプ、ハイインピーダンスタイプのボリュームペダル。ハイインピーダンスなので最上段に設置してます。演奏していない時に変な出音を出さないように演奏時以外は全てボリューム0にしていました。ギター本体のボリュームツマミでも同じ効果は得られると思いますが、ペダルだと視覚的に今ボリュームがOnかOffか非常に分かりやすいです。このペダルが演奏会中に一番動かしたペダルと言っても過言ではないですねw

② AC/DC Station VI(CUSTOM AUDIO JAPAN)
パワーサプライ。今回はたくさんエフェクターを繋いでいるので設置しました。各エフェクターへはここから給電しています。

③ VZW-1 VITALIZER WV(PROVIDENCE )
所謂バッファです。この下流に色々とエフェクターを繋いでいたので、ここで信号を劣化しにくいものに変換する意味合いで入れています。

④  Iguana Tail Loop MKIII(One Control)
スイッチャー。ボードの奥に設置したエフェクターを手前で切り替えられるように設置。バッファ内蔵モデルですが、③でバッファを通しているのでOffにしていました。踏み間違い防止のために対応するエフェクターのスイッチとキャップの色を揃えています。簡単な工夫ではありますが、一回きりの演奏会で踏み間違いを起こさないためにも何気に重要な工夫だと思いますね。

⑤ VXT-1(Vox)
ペダルチューナー。スイッチャーのチューナーアウトから接続してました。視認性の良いディスプレイで使い勝手も良いです。

⑥ M108 10 Band EQ(MXR)
10バンドのEQ。出音を細かい帯域で微調整したいときのために組み込んでました。最終的には使用せず。

⑦ DEPT.10 BOOST(Blackstar)
真空管の入ったブースター。メインの歪みペダルの上段に設置してプリゲインブースターとして使用しました。後述の⑨のブルーチャンネルを使用した時に踏んでいました。

⑧ VALVENERGY SILK DRIVE(Vox)
オーバードライブ。クリーン~ややローゲインなクランチの出音が欲しい時に踏んでいました。ハピネスキャロットの演奏時に使用。

⑨ BE-OD DELUXE PEDAL(Friedman)
歪みペダル。今回の演奏会の歪みサウンドはほぼこれで作っています。2チャンネル仕様の歪みペダルで、ローゲインのブルーチャンネル、ハイゲインのグリーンチャンネルでそれぞれ独立した音作りが出来ます。使用ギターがレスポールJr.の時はグリーンチャンネル、ストラトの時はブルーチャンネルをそれぞれ使用し、ストラト使用時は更に上記の⑦を踏む、という設定で音を作っていました。

⑩ Neo Clone(electro-harmonix)
コーラスペダル。エレハモのモジュレーションが好きなのでボードに入れました。ハピネスキャロットの演奏時に使用。

⑪ DECI-MATE Micro Pedal(iSP Technologies)
ノイズゲート。ノイズ防止、ハウリング防止、誤作動で音が鳴ってしまうことの防止等の目的で設置しています。何気に重要なペダルですね。ギターの演奏を止める時に他のパートを邪魔しないようにきっちり止めるためにはノイズゲートは必須だと思います。当然、常時オンで運用していたペダルです。

※ここからアンプのSend/Return Loopに接続

⑫ M169 Carbon Copy Analog Delay(MXR)
アナログディレイ。To the Edgeのイントロの「あの感じ」を出すために組み込んだペダルです。アナログディレイらしい、温かいディレイサウンドを奏でてくれるペダル。

⑬ RC Booster(Xotic)
クリーンブースターその1。音量調節のために入れています。後述の⑭と組み合わせて、音量の可変幅を曲ごとに別途設定していました。ローインピーダンスのボリュームペダルを後段に設置すれば良いのでは?という意見もあるかと思いますが、曲ごとにペダルの開度を調整するのは非常に困難で、不器用な私にはとてもじゃないけど正確にコントロール出来ない!と判断したので複数のBoosterで音量を変化させるという方法を選択しました。

⑭ SPARK BOOSTER(TC Electronic)
クリーンブースターその2。音量調節のために入れています。余談ですが⑫を踏んだ時に体感音量がぐっと下がってしまう問題は、⑬と⑭を両方踏んで無理やり底上げするという力業で解決しました。

アコギ関係のサウンドシステム

Amplifier (Vox VX50-AG)

約160人の大編成でアコギを鳴らす場合、素の音では当然音量が足りず、またマイクだけ立ててもハウリングを起こすくらい音量を上げてやらないといけないのでライン接続ができるアコギ用のアンプは必須でした。実際、最初はマイクだけ使用するシステムでアコギの出音を作っていたんですが、練習が本格化すればするほど音量が明らかに足りていないという状況に陥りました。

そこで導入したのがこのVoxのアコギ用アンプ。選定基準となったポイントは、50Wという十分な出力があること、4.1kgと比較的軽量であること(重要)、そしてラインとマイクの両方で独立した入力を使用できることでした。このアンプ、マイク入力は弾き語りでの歌を拾うという使用が想定されているみたいですが、今回はアコギの前にコンデンサマイクを立てて音を拾う目的で使用しました。ライン入力だけではどうしてもアコギらしい煌びやかなアタックが削がれてややブーミーなサウンドになってしまうので、ラインとマイクの音を組み合わせて音を作ることでその欠点は少なからず解消できたのではないかなと思います。

Pickup (SKYSONIC T-902)

エレアコは持っていないし、アコギのボディに穴を開けたくなかったので、この穴あけ不要で後付け可能なPickupを使用しました。

サウンドホール内にPUに接続された小型マイクを設置して、サウンドホール内の音を直接拾ってラインに送る、というPUなので、個人的にはライン臭さもそこまで強くはないPUかなと思っています。

Microphone (AKG C214)

コンデンサマイクは録音でいつも使用しているC214を使用しました。C414ほどではないものの高域が綺麗に録れるコンデンサなので、私が個人的にアコギで使うコンデンサマイクは大体これです。

おわりに

2023年光のオーケストラの本番で使用したギター関係の使用した機材、及びその導入・設置理由等は以上の通りです。

今回の演目に合わせて可能な限り最適化して構築した環境なので、当然のことながら万能なものではありません。しかしながら、「何の問題に対処するために、どんなマインドで、どのような対処をしたか?」というポイントに関しては、他の環境でギターを演奏する際に生じる問題を解決するための何かしらのヒントになるのではないかと思っています。

長々と書いてしまいましたが、この記事が1人でも多くのギター奏者や音楽を嗜む方、音楽に携わる方のお役に立てば幸いです。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

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