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自然観察会をやったよ!vol.01

こんにちは、プロの自然ガイドと公園管理官をしているいさくまです💡 この記事では、職場の公園で開催した自然観察会についてレポートします!


自然観察会ってなんぞや

トチノキの前に集合!ホワイトボードを前に「トチ」の漢字を必死で思い出す私(中央)

レポートの前に、自然観察会と自然観察の説明をば。
自然観察とは、動物や植物などの生きものや、水や風の流れなどの自然を五感(見る、聴く、嗅ぐ、触る、味わう)で感じることを指します。
自然観察は、自然観察をふたり以上でやることで、感じたことや気づいたことをシェアすることで一粒で二度おいしい状態😆になることです。

「この花すげー!くさい!!」これが自然観察で

Aさん「この花すげー!くさい!!嗅いでみてこれ!」
Bさん「うわああああくせぇええええ!!!!😆」これが自然観察会です。

僕は自然観察指導員という資格をもっている(厳密には講習会を修了した)ので、どこでも誰とでも自然観察会をすることができます💡

詳しくはここを見てな

そんで面白かったんけ?

未就学児のお子さんから70代の大人まで21名が参加されました!アンケートでは回答された8割以上の方から5段階評価で5をつけていただき、とても嬉しかったです☺

みんなにシロツメクサの花を集めてもらい、箱に詰めて「こうするから白詰草と言うようになったらしい」と解説するシーン。自然観察会ではあるあるネタですが、これがおもしろいのだ!

私の自然観察会はレアな動植物さがし…ではなく、公園でごく一般に見られる動植物(クローバー、カタバミ、フジ(藤)、シジュウカラ、カモのなかま、チョウ類、トンボ類などなど)や地形(池、河岸段丘)をよく観察します。多くの人にとってこれらの自然は、身近である一方でご自身の生活とはほとんど関わりがないので、風景として存在しがちです。決してそれは悪いことではありません。ただ、それぞれの生きもの、地形には暮らし成り立ちなどの時間の流れほかの自然との力学的なつながり、そしてなにより五感的おもしろさ(触ると気持ちいい、いい香りがする、かわいい等)があります。そのおもしろさを参加者の方が感じられるように工夫し、感じた結果や気づきをみんなで共有する(くさっ!くさいねー😆)時間をつくる…。私の自然観察会はいつもそんな流れです。これが面白くて、2時間で200mしか歩きませんでした 笑 都会で言えば、多くの人にとって自宅から最寄りのコンビニまでの距離よりも短い距離だと思います。この距離で、しゃがんで、耳をすませて、花を集めて、2時間過ごしたのです。何やってんだwwと 面白おかしくなりつつも、たったこれだけのことがすごく豊かなんです。不思議だねぇ。

最後には池にたどり着き、育ってきた落とし生まれのオシドリをプロミナー(望遠鏡)で観察。

いい自然観察会ってどんなもの?

わたしはこれまで過去10年、プライベートでやったもの、2~3人でやったものを含めると100回以上自然観察会を実施してきました(10名以上の一般の方を案内した自然観察会は50回くらいかな?)。どれもうまくいったぞ!とはとても言えないのですが「こういう自然観察会がいいよねぇ」と思えるもの理想像が少しずつ見えてきたので、まとめてこの記事を終わりにしようと思います。

・とにかく笑いが絶えない

自然観察会は環境教育の要素を含みますが、学校の授業と同じで楽しくないとこちらが伝えたいことが伝わりません。わたしは「自然を大切にする人が増えてほしい!」という強い思いをもって自然観察会をやっていますが、その思いが強すぎると押し付けがましい時間になってしまいます。自然観察会は、ふたり以上でやるコミュニケーション。個人的には(もちろん恋愛要素はゼロですが)デートに近いと思っています。わたしは先生ではなくガイド。参加されている方はいま楽しんでいるかな、不安に思っていたり、帰りたがってないかな?どんな話題で笑ったかな?ということを常に考え続けます。笑顔が多い自然観察会は良い自然観察会。これは間違いないと思います。

・背中で倫理観を見せる

かといって、参加者の笑顔のために自然をないがしろにしてはいけません。わたしは自然観察のために花を摘んだり昆虫を採集するときは細心の注意をはらいます。採集によって数が減る、もしくはここの自然のバランスを変えることにはならないか?採集せずに参加された方に観察してもらう方法はないか?ということを必ず考えます。花や葉を採集するときは、たとえ大量にある外来集や園芸種であっても、参加者の方に「心のなかでも良いので、”いただきます”と声に出してから採集してください。」とお願いしています。また、参加された方が採集しないときでも、たとえばみなさんの前で草むらに分け入る時なども、できるだけ植物を踏まないように抜き足差し足で歩く、といった姿勢を見せます。なぜいただきますと言うか、なぜ抜き足差し足をするのかを言葉で説明しても良いのですが、それだと押し付けがましくなります。言葉を使わず、行動で態度を示すノンバーバルコミュニケーションは、大切なテクニックのひとつです。

・「自然のながれ」を実感してもらう


わたしは自然観察会を通して、「自然の時間」「自然のつながり」というふたつの「ながれ」を参加された方に実感を持ってもらいたいと考えています。

自然の時間とはつまり、生まれてから死ぬまでの生きものの変化や地形が成り立つプロセスのことです。言葉にするとすごく当たり前ですが、どんな生きものも生まれて育ち、死にます。どんな地形ももともとは無くて、成立後に崩れていったり形を変えたりしていきます。キノコが見られるのは、木が死んだから。小川が埋まったのは、上流の土砂が崩れたから。どんなものもずっとそこにあるわけではないのです。
自然のつながりとはつまり生態学のことで、言い換えれば生きもの同士、あるいは生きものと環境が互いに作用し合う関係のことです。スズメバチのなかまは怖いけど、ハエやアブを食べることで数を抑えている側面もあります。自然観察会の参加者のわたしたちが地面を踏むと地面がかたくなり、そこに生える植物の種類が変わります。ふだんのわたしたちの暮らし方では、こうしたつながりを感じる機会は少ないですが、ヒトが意識していなくとも、こうしたつながりはいつだって存在しているのです。

こんなことを一つ一つ体験知として、参加された方に伝えてられる自然観察会は豊かだと思っています。ヒトの手に依存しないながれ(自然)を実感できれば、わたしが言葉で伝えずとも、自然を大切にする動機、少なくとも適当に扱って良いものではないという考え方を持ってもらえるのではないかなと思っています。

おわりに

なんだか、単なる自然観察会のレポートのつもりが、後半は「自然観察会 観」についての話になってしまいましたね(^_^;) 拙い文章ですが「自然観察会とはなんぞや」ということについてずっと考えていたいと思っていて、こうしてその都度文章にすることで、つねにアップデートを計っていけると考えているのです。

いつか自然観察会が、感覚的にも理論的にも、たくさんの人々の生活を豊かにする文化になりますように。

そう願って、これからも自然観察会を続けます!
開催するたびにレポートを書きますので、もしよかったら、また読みに来てくださいね!フォローしてくれ!(ド直球)

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