未来を彫刻する。#4
前回に引き続き、大学で担当している講座のオンライン化に向け準備をしているので、その様子を書こうと思う。
前期に私が担当している講座は4つ。
立体構成1、彫刻1、工芸実習1(金属)、美術科教育法1の4つ。
今回はその第1回目、「立体構成1」について考える。
立体構成について。
「立体構成」とは??という方のために補足すると、要するにこの講座は、基礎的な立体の知識や、立体的な感覚を鍛えるために行われる講座。
通常入学したての1年生が選択する。デザイン学科の基幹科目の1つでもある。
この教育方法の発端は、20世紀初頭のドイツ、バウハウスの施した構成教育まで遡る。現在、勤務している大学のデザイン学科では、デザイン、アート、漫画・イラストという大きく3つの専攻があるが、1年生の頃は専攻関係なく、美術の基礎的な講座を一緒に学ぶ。
そのため、この講座はデザインにもアートにも必要な基礎的な造形力を身につけるという趣旨で行われる講座だ。名前で想像できるかと思うが、立体構成の他に、平面構成という講座(こちらは必修)がある。
さて、話が少しそれたが、立体構成1では、紙を使って立体作品を作っていく。課題制作を通じて、リズムやリピテーション、プロポーションといったデザイン原理等を理解することで、今後の制作活動へ生かしていくようにすることが大きな狙いである。
対面でやる際の講義の流れは次の通り。
1)テーマを説明。(5分)
2)関連する参考作品の紹介(Power Point 10分)
3)参考作品を踏まえ、テーマの解釈や、制作時の注意点等を述べる。(5分)
4)質疑応答(5分)
5)制作(120分 休憩含む)
6)講評(30分)
計180分(実技科目 2コマ連続)
「6)講評」は私が行うだけでなく、お互いに意見を述べさせたり、発表をさせたり、いくつか学生のレベルや、状況に応じていくつかパターン変更はあるが、大まかな流れはこんな感じである。
では、これをオンラインで出来るか?
.... 出来る気がする。
1)制作の手順や、2)参考作品の紹介は、MS社「Teams」のクラスノートや、フォルダーにデータを入れて各自見てもらう(3)の説明もそれでいける)。その上で4)の質疑応答はチャットあるいはテレビ会議で答えたらいい。それから各自制作。
1学期の立体構成は元々素材は紙しか使わないので、ケント紙(厚めの画用紙でも可)、はさみ、のり、カッター、カッターマット、セロハンテープあたりがあれば出来る。どれも近くのコンビニや100円均一で揃えられる道具だ(前期の授業をこなすために、一度だけ材料を買いにいくのは「不要不急」には当たらないだろう)。
最後の講評は、学生に完成作品の写真を撮ってもらい、クラスノートのディスカッションスペースへ貼り付けてもらう。そうすれば、教員も学生同士も見られるので、そこで作品の講評やディスカッションも出来る。
というわけで、結論「立体構成1」 いける。
だが、やはり立体作品なので、実際に見ないと作品の善し悪しを評価し、講評は難しい。しかし、これがデザイン原理等の理解であれば、判断できるので、講義としては成立するようにも思う。
また、説明では理解できなかった学生や、制作途中で上手くいかない学生へのアドバイスは実際に見られないので指導が難しい。
ただ、そういう失敗の経験をたくさんしていく事で、自ら考え、工夫していき、それがオリジナルな表現に繋がったりするわけで、失敗しないように、丁寧に教えすぎるのは、少し違う気もする・・・。
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