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詩集 動詞 Ⅲ

8
主に身体に関わる動詞をテーマにした散文詩集の3集目です。
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記事一覧

叩く

叩く、叩く、静かな扉を 声は震え、心は焦る 君の世界に届けたい この手の温もり、この声の温度 でも、扉は動かず、 君の心の音は聞こえない 空虚なエコーだけが 僕の存在を繰り返す 叩く、叩く、だけど届かない 言葉は風に乗り、消えていく 君への想い、熱くても 冷たい扉は開かない この手は痛く、この心は疲れ でも、叩き続ける、止まれない 君の心に触れたくて この歯痒い距離を埋めたくて 叩く、叩く、永遠に 君の心に届くその日まで 声は枯れ、手は痛むけど 愛は、まだ、叩いている

選ぶ

雲の間を縫う光のように、 隠された糸に導かれる、 選ばれし道は、 ささやかな葉のさざめきに隠された。 風に舞う花びらは、 彼方へと誘う、 それは優しい誘いか、 それとも運命のささやきか。 空は見下ろし、 星々は囁く、 「あなたはこちらへ」と。 でも足元は、もう一つの物語を語る。 影は踊り、 水面は歌う、 選ばれた旋律に身を任せ、 私は流れる川の一滴。 遠くの山は知っている、 道は一つではない、 選ぶは誰? それとも、選ばれるは私? 夜が深まり、 夢は広がる、 私は歩

振る

振る、振る、空に向かって 手を振る、腕を振る、心を振る 大きく、力強く、自由に 風を切るように、鳥を追うように 振る、振る、喜びに、熱に、生に 一つ、また一つ、輪を描く 足は地に、頭は星に この世界を、踊るように、振るうように 振る、振る、限りなく 繋がる手と手、夢と夢 明日への道、今日への道 振るう、振るう、希望を振るう 振る、振る、大地を感じ 太陽を浴び、月を数え 喜びの中で、悲しみの中で 振るう、振るう、生きることを 振る、振る、止まらない 流れる川のように、舞

乗る

ひとつの言葉を超え、 新しい世界へと続く。 その旅は、まるで無限の橋。 風に舞う言葉たち、 文化の糸を紡ぐように、 私は、静かに進む。 色とりどりの言葉の海を渡り、 新しい自分と出会うたび、 私は、また一つ変わる。 空を見上げれば、 言葉の鳥が舞う。 彼らは、どこへ行くのだろう。 私はただ、流れに身を任せ、 知らない世界を知る。 そこには、新しい私がいる。 この旅は終わらない。 言葉と文化の間を、 永遠に漂い続ける。 私は旅人。 言葉の上を、静かに歩く。 #詩的

持つ

夢の中で、私は持っている。 空っぽのカップ、ひび割れた壁、 夕暮れの空に浮かぶ、色あせた月。 持っているものは、持たないものの影。 影は軽く、音もなく、 私の手のひらから滑り落ちる。 持つ、それは束の間の遊戯。 風に舞う葉のように、 ひとつ、またひとつ、消え去ってゆく。 ああ、物質的な世界の無意味さ。 持つことの虚しさを、誰が知る? 持つ、それはただの言葉、重さを失った。 夜が来て、星が輝く。 持たざる者の手は空に向かい、 何も持たない自由を、静かに歌う。 #詩的散

浮く

空に溶け込む、 静かな安らぎ。 重力を忘れた瞬間、 心が軽くなる。 雲の上で、 思いは踊る。 風がささやく言葉、 世界は広がる。 見上げる空、 広がる夢。 手を伸ばせば届きそうな、 青い幻。 星々の間を漂い、 時を超える旅。 心は自由に、 無限の宇宙を泳ぐ。 この瞬間、 全てが可能になる。 心の羽ばたき、 穏やかな浮遊。 #詩的散文 #詩文 #思索 #思考 #日記 #エッセイ #詩 #創作 #ポエム #詞 #随想 #身体

押す

押されて、流れるように 人生の川を下る。 抵抗はできず、ただ漂う。 風は吹き、水は流れ、 時は静かに押し進む。 変わる景色、変わる心、 押されることの美しさを知る。 不確かな未来への一歩を踏み出し、 抗えない変化を楽しむ。 すべてが流れ、すべてが変わる。 押されて、新しい自分を見つける。 人生は押され、押し進む川のよう。 #詩的散文 #詩文 #思索 #思考 #日記 #エッセイ #詩 #創作 #ポエム #詞 #随想 #身体

結ぶ

結ぶ、結ぶ、糸と糸を そっと手繰りながら、風に舞う想いを 結ぶ、結ぶ、影と光を 静かに溶け合うよう、夜明け前の夢を 結ぶ、結ぶ、波と砂を さざ波の歌に乗せ、遠い記憶を 結ぶ、結ぶ、言葉と沈黙を 深い森の中、未知の言葉を 結ぶ、結ぶ、星と星を 繋がる一瞬を数え、夜空の物語を 結ぶ、結ぶ、心と心を 見えない糸で、静かな愛を 結ぶ、結ぶ、始まりと終わりを 時の流れに託し、永遠の輪を 結ぶ、結ぶ、昨日と明日を 今を生きる喜びで、希望の光を 結ぶ、結ぶ、すべてを 不思議な旅に出