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【News Digest】VRChat、Androidで動作するモバイル端末へと対応

 VRコミュニケーションSNSとして話題のVRChatであるが、2023年12月9日午前4時53分(日本時間)に驚くべき発表が公式から行われた。
今回はその内容も含めて触れていくこととする。


VRChat Playストアでのアプリ版にて、ベータ版ながらAndroid端末対応クライアント提供へ

 今回VRChatを運営するVRChat Inc.は、X(旧Twitter)にて以下のツイートを発表。

続いてVRChat日本語公式アカウントも以下のツイートを行っている。

 これがどういう事かというと、これまでパソコンやOculus Quest向けとしてコンテンツを提供する場を運営してきたVRChatが、Android限定ではあるもののスマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末でもログインし遊べるようになったという事だ。
モバイル端末で遊ぶ方法はこれまでリモートデスクトップ系の遠隔接続によるものであり、その操作方法も最適化されてはいない物である。
例えばベッドの上や電車の中、そういったちょっとした時間に接続したいというユーザーにとっては待ち望まれた機能であると言える。

 現在VRSNSではClusterを始めとしたアプリが先行として稼働しており、VR対応という文言を外せば様々なコミュニケーションサービスが生まれている。
そういった中でこれまでモバイル環境に進出して来なかったVRChatのAndroid端末対応は、今後さらなる業界の活性化に一役買う可能性は大いにあると見て良いだろう。

実際の動作は非常に軽快

 今回リリースされたベータ版のアプリを早速筆者のスマートフォンでも動作させてみたので、以下にその報告を行わせて頂く。
参考までに筆者のスマートフォンは「Galaxy S22 Ultra」、CPUはSnapdragon 8 Gen 1(2.9GHz+1.7GHz)のオクタコア、RAMは12GBである。

 まず訪れたのはバーチャルマーケット2023 Winterの各会場である。
今回Quest対応を行っている【イマネジア】 王都マギカとエントランスにログイン。
その様子が以下のSSである。

ホーム画面

 見てのとおり縦持ち・横持ちそれぞれに対応しており、マイクはある程度制御しやすいプッシュ・トゥ・トーク方式である。
インターフェイスとしてはよくあるスマートフォン向け3Dコンテンツとそう変わるものではなく、メニューは右下のハンバーガーメニューをタップする事で表示できる。
またコンテンツを比較的遠距離から、該当部分をタップする事でアクティベート出来るというデスクトップモードには無い便利な機能も持っている。
スクリーンショットの撮影などは滞りなく行うことが出来た。

 次に訪れたのは、バーチャルマーケット2023Winter期間中に株式会社JVCケンウッドが提供している広瀬香美氏が歌って踊るバーチャルライブ会場「JVCKENWOOD Kohmi Hirose VR LIVE」だ。
こちらはライブ開始時にデータの読み込みを行うため、10秒程音声に遅延やループが発生する状況となった。
しかしそれ以降は快適で、他のユーザーが参加していても問題なく最後までライヴを観ることが可能であった。

 最後に負荷テストとして、12人ほどがすでにJoinしているワールドに訪問した。
こちらも動作が重くなることは無かったので、最終的な評価基準としてはMeta Quest2搭載のSoCであるQualcomm Snapdragon XR2とメモリ6GBを上回る性能であれば、モバイル端末としては問題なく動作すると見て良いのではないだろうか。
未だベータ版ではあるため注意が必要ではあるが、昨今登場しているハイスペックなスマートフォンであれば動作に支障は無いと考えられる。

これからのVRChat市場

 今回のAndroid版対応は大きなうねりを生み出す可能性は十二分にある。
というのも、より手軽にVRChatへ入ることが出来るようになったユーザーが求めるのは現状Android版でも入れるQuest対応のワールドへのアクセス経路である。
現状こういったワールドを取りまとめている便利なハブ機能を持ったワールドとして、ウミウシヲ氏が手掛けられている「クエストトビラ」といったワールドが挙げられる。

ウミウシヲ氏の「クエストトビラ」



特にAndroid版が初めての体験となるユーザーであれば、導線を探すのにわかりやすいワールドが増える事に越した事はない。
現状ではアバターアップロードはPCが必要となるほか、Android版でのVRChat Homeはプライベートインスタンスではなく多くのユーザーがいるパブリックインスタンスに放り込まれるという注意点、またローディング画面での音声に若干のノイズが入るといった少々の不具合も発生している。

 とはいえ今回ベータ版とはいえ全ユーザーが利用可能な形となったAndroid版VRChat。今後VRChatにまた大きな人口流入が起きる可能性もある今回のアプリアップデートは、多くの人に衝撃をもって迎えられるだろう。


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