Etude: 「辛いものを食べた」をイカします
くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン
はじめに感じたのは、やわらかな酸味だけだった。
その酸味が、舌の上で、痺れに変わる。
真っ赤な液体は口腔全体にまとわりついて、痺れは少しずつ、痛みになっていく。
声が出せない。
驚きに、口にした白菜のかけらを飲み込んでしまう。痺れが、痛みが、喉をも侵食する。
どうして大人たちは、こんな感覚を好むのだろう。
どうして私は、こんな感覚を覚悟せずに、箸をつけたのだろう。
今にも零れ落ちそうな涙をこらえながら、食卓から顔を上げて、9歳の私は告げる。
「お父さん、お水取って。」
(241字)
コンセプト:もし「辛い」という言葉を使わずに、9歳娘が初めてキムチを食べたシーンを描いたら?
本noteは牧乃さんの『イカ(異化)』チャレンジをなんとなく応援しています。
「まんま言わない」だけなら簡単なんだよなー。ストーリーにちゃんとするのが難しい。修行が必要です。
修行したい人は『書き手のための変奏曲』も是非!
🍻