21/10/8の夢日記

東京に住んでいる僕の元に両親が関西の実家から遊びに来て、レンタカーを借りて3人で小旅行に出かけた。

行き先は父にお任せで、適当に西へ。ある所で車を停めて散歩したりして、僕は両親の足取りを放って一人で山道をどんどん歩く。木々の隙間に曲がりくねった散策道の向かう先が見えて、そこに湯気を確認する。秘湯ってやつ。辿り着いて見つけたのは直径2メートルほどの浅い小さな泉だったが、確かに温泉だった。スニーカーを脱いで足先を浸けてみる。温い。がっつり足湯をしてみたくてズボンの裾を捲ろうとするが、スキニーだと裾口が狭くて膝周りが窮屈だ。誰もいないことだし思いきってズボンを脱いだ。パーカーにパンツ一丁、間抜けだけど旅の恥は掻き捨てってことでまあいいでしょう。
縁石に腰掛けて温い湯に脚を遊ばせていると父がやってきた。ついでに父の後方からも数人のグループがわいわい歩いてくるのが見える。若い女性たちのようだ。やべやべズボン穿かんと。急ぐあまり水気を拭かずにスキニーに脚を通したら、湿った布が纏わりついて余計に穿くのに時間がかかってしまい、スキニーと格闘する僕を父は苦笑しながら眺めていた。

駐車場で待っていた母と合流し、次どこ行こうか?ってとこで、僕はスマホが壊れていることに気付く。なんでよりによって旅先で壊れるかな……。どこか修理か買い替えができる店はないかドライブしながら探すが、SIMフリー端末を扱っている電器屋がありそうな気配はなく、テンション下がっている僕を乗せた車はやがて郊外の大型家具店に着いた。ここは…IKEA! ではなかったが家具と雑貨とイートインがあってまあ実質IKEA。
イートインで軽食を摂りつつ機械に強い父がスマホを見てくれるというのでスマホを預けて、僕は母の買い物に付き合うとする。うちの母は息子が言うのもなんだが実年齢よりもかなり若く見える美人で、片寄せした緩い巻き髪も気取りすぎず抜けすぎず、しっかりしつつおっとりな一面もあるその性格を表しているようでなかなかいい感じだ。いい歳して父とラブラブなのも頷ける。その母とふたりで、パスタの茹で方とかどんな鍋使ってるかとか、日頃の自炊について話しながら調理器具を見たり海外の本やZINEを見たりして、そうだお土産にお菓子でも買ってこってなって移動してる最中に不穏な噂話が聞こえてくる。“最近町で暴動を起こしている反社会組織。彼らは人種が違うらしい。いやそうじゃない、奴らはそもそも人間ですらない。人間の皮を被って成りすまして社会に溶け込んで害する機会を伺っている、人間のようで人間ではない何かだ。見た目では違いがわからない。違いはひとつ。奴らはスチールに触れると皮膚が爛れる”
アニメの話っすか?笑。そもそも僕はこの町の住民じゃないから暴動があるって話自体が初耳だったけど、別にここへは通りすがりに立ち寄っただけだからへー意外に危ない町なんだなって程度で特に気に留めず、母に至っては多分聞いてもいなくて、輸入菓子の試食なんかしながらショッピングを続けていたら棚の陰に蹲っている女の人。「大丈夫ですか?」母が声をかける。女性は顔を上げて
ぎゃあああああああああ!
すごい形相で叫ぶと母を押し退けてどこかへ走っていった。ざわつき始める店内。女の顔、左半分ほどが青黒く痣のように変色してガビガビと皮膚が毛羽立っていた。えっ。痣っていうか、もしかしてあれが“スチールで爛れた”状態? え? ん? びっくりして固まってしまっている母を見る。ロングヘアを片寄せした母のうなじに、えっ、あれ、四角形の何かを押し当てられた火傷のような青黒い傷……。

広い店内の奥から叫び声と何かが崩れる大きな物音。振り返った範囲では何も見えないが、何かが起こっている。僕らはこの町の住人じゃないから、何も見てもないし聞いてもないってことでさっさとこの場を後にした方がいい気がする。「お父さんのところに戻ろう」見ると、母が顔を押さえて蹲っている。怪我したのか!? 母の足元に大きめの安全ピン。顔を覆う指の間からちらりと見えた目元の青黒い傷。僕は一瞬息を呑んでしまって一呼吸遅れたその間に母が口を開いた。「先に戻って。お姉ちゃんを探してから行くから」お姉ちゃんここにいるの!? どういうこと??? 姉も僕と同じく実家を出ていて、今は東京で働いているはずだが……。店内にパニックが広がってきている。真後ろを誰かが慌てた様子で駆け抜ける。つられてこっちまで焦ってくる。「お父さんに話せばわかるから」僕は何がわかってないのかもわかってないのでは? って気がしたが母の有無を言わせぬ口調に足は駆け出していた。

起きた

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